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子どもの忘れ物、叱る前に工夫をしよう

忘れ物

子どもの忘れ物の多さに悩んでいませんか?同じ悩みを持っている親御さんは少なくありません。「忘れ物をして『困った』という気持ちにならなければ治らないから、もうあきらめて子どもに任せる」という方も多いと思いますが、あきらめる前にこれから紹介する方法を試してみませんか?親がほんの少し工夫するだけで忘れ物がなくなることが多いのです。

 

学校用品はひとまとめに!これで忘れ物は劇的に減ります

子どもが忘れ物ばかりするということは、多くの親御さんの悩みになっています。「どうして忘れものばかりするの!」と怒ってみても、忘れ物が減るわけではありません。「忘れ物癖を直さなければ」と考えすぎてしまうと、小言が増えて親子共々疲れてしまいます。叱る前に、忘れ物をしなくなる工夫を考えてみましょう。

 

忘れ物をしてしまう原因の一つに、「学用品が部屋のあちこちに置いてある」という状態が挙げられます。思い当たる節はありませんか?教科書は机の本棚にあるけど、リコーダーは別の棚の引き出しに、ハンカチはタンスの引き出しにあるけどティッシュは机の引き出しに…という具合に、持ち物がバラバラに置いてあると、用意がしにくく忘れ物をしがちです。

 

部屋の中に、学用品置き場を一か所、作ってみましょう。ここには、教科書やノートだけにとどまらず、体操着や赤白帽子、折り畳み傘やハンカチ、ティッシュなど、学校に持っていくかもしれないあらゆるものを全て集めます。

 

といっても、一つの場所にどさっと山積みにすればよいということではありません。大事なのは、学用品を一か所にまとめることと、何が置いてあるのかパッと見て分かるようにしておくことです。ただ置いただけでは、物の陰に隠れて他のものが見えなくなってしまいます。

 

つまり置き場をどこかに決めたら、全ての学用品がどこにあるのかすぐわかるように、置き方を工夫しなければならないということです。この時に便利なのが、格子状になったワイヤーネットです。ここにフックをひっかければ、帽子や袋類は直接ぶら下げられますし、かごにフックをつけてネットに引っかければ、そのかごに名札やハンカチなどを入れられます。

 

もちろん、学用品の全てがこのように収納できるわけではありませんから、適宜棚や引き出し付き収納などが必要になるでしょう。そこに物を入れた場合も、物が重ならないように収納し、一目で物のありかが分かるようにしておきます。

 

置き場を一つに決めて学用品を集めると、あちこち物を探して回る必要がなくなるため、簡単に学校の準備をすることができます。それだけではありません。学用品置き場には全ての学用品があるのですから、そこで準備をしているうちに、忘れていたけどこれも持っていかなくちゃいけなかった、という具合に気づくことができるのです。

 

家具の配置とか部屋の広さとかによっては、なかなか学用品全てを置くような場所を確保できないというご家庭もあるでしょう。そのような時は、1か所にこだわる必要はありません。家の事情に応じて、子どもの部屋に1か所、リビングに1か所という風に分けてもいいですね。リビングのほか、玄関などもおすすめです。

 

もちろん、このようなやり方を、子どもだけで思いつくわけがありません。それに、ワイヤーネットやフックの設置を子どもだけでやるのは無理がありますし、どうやってフックに物をかければよいかなどという使い方についても、大人なしで考えるのは難しいでしょう。

 

ですからこの仕組みは、大人がリードしてやってあげたり、教えてあげたりしなければなりません。大変だと思うかもしれませんが、そうすることで子どもは忘れ物をしなくなってくるし、忘れ物の事でいちいち叱ることもなくなってくるのです。

 

子どもが忘れ物をするのを何とかしたいと思いながらも、忘れ物をしないための工夫を何もせずして叱ってばかりいるのはやめましょう。大人も子どももストレスがたまるばかりですよ。

 

持ち物リスト作りで、細かいものも忘れなくなる!

きちんと時間割を見て毎日次の日の準備をしているのに、忘れ物をしてしまう…そんなお子さんもいます。実は、これは当然のことかもしれません。最近の子どもたちは、昔に比べて物に恵まれています。その分、その日の予定によって、プラスして持っていかなければならないものが増えてきているのです。

 

国語なら教科書とノート、筆記用具があればよかったころとは違って、その日の予定によって国語辞典が必要になったり、別冊のワーク類が必要になったりするのです。算数でも、単元によって三角定規を持っていかなければならなかったり、分度器を用意しなければならなかったりするわけです。

 

だから、基本となる教科書とノートはきちんと用意したのに、その日に必要だった別冊資料集を忘れてしまった…となりがちなのです。

 

明日は習字があるとか、図工で絵を描くとかいうことになれば、もっと大変です。習字なら、半紙に筆、硯、墨、墨汁、文鎮、下敷き…。絵画の準備なら、絵筆に絵の具セット、水入れ、雑巾…。細かいもののオンパレードです。子どもでなくても一つくらい忘れてしまいそうですよね。

 

そんな細かい忘れ物をしないようにするには、教科ごとに持ち物リストを作るのが効果的です。国語であれば、教科書やノートの他に、名前ペン、国語辞典、漢字辞典、ローマ字練習用ノート、漢字練習帳、別冊ワーク類などが挙げられます。それらを逐一記入して、持ち物リストを作っていきます。

 

そして、明日は国語があるな、と思ったら、国語の持ち物リストに目を通すのです。そうすると、明日もっていかなければならなかったものに気づきやすくなるわけです。

 

文字がたくさん並んでいるのを読むのは苦手な子どももいます。そんな時には、写真を有効活用しましょう。1つの教科におけるすべての持ち物を集めて並べ、1枚の写真に収めるのです。そして明日の準備をするときに、持ち物リストのかわりにその写真を見ることにするのです。そうすれば一目で持ち物がわかり、細かいものも忘れにくくなります。

 

文字でも写真でもいいですから、各教科それぞれに持ち物リストを作ってみましょう。準備が楽になるだけでなく、細かい忘れ物をだいぶ防げるはずです。リストの置き場所は、その教科や内容によって効果的なところに決めてください。絵画の時に必要な物のリストは、クリアファイルなどに入れて、絵画セット入れバッグに入れておく、といった具合です。

 

忘れ物も防げて親子のコミュニケーションも深めてくれる連絡帳!

学校では、宿題や次の日の持ち物などを、子どもが連絡帳に書いてきますね。この連絡帳、うまく使えていますか?子どもだけでなく、ぜひ親御さんも、この連絡帳に目を通してください。連絡帳を上手に利用すれば、様々なメリットを得ることができるのです!どのようなメリットがあるのかをご説明しましょう。

 

忘れ物を防ぐことができる

家に帰ったら、連絡帳を開いて書いてあることを確認し、宿題をしたり次の日の準備をしたりしましょう。その際、忘れ物をなくすことがありますのでご紹介します。それは、連絡帳に書かれてあることをやったら、その部分に印をつけさせることです。

 

宿題の音読が終わったら、連絡帳の「音読」という文字をまるで囲んだり、線で消したりして、やった印をつけるのです。もちものの欄に「プール道具」と書かれてあったら、まずはプール道具を準備し、その後、連絡帳のその文字に印をつけます。次の日の時間割が書いてある場合は、1教科ずつ、用意しては印をつける、ということを繰り返します。

 

この方法を子どもに教え、実行させてみてください。さらに、そのようにしてチェックを済ませた連絡帳を、必ず親に渡すようにさせましょう。親に見せなければならないため、子どもはちゃんと準備をしなくちゃと思うようになります。印をつけ忘れたとしても、帰ってきてから自分で連絡帳を見る機会にはなります。

 

きちんと連絡帳を開いて準備し、できたものから印をつけていけば、次の日の準備をする習慣がつきますし、確実に忘れ物は減ります。その作業をきちんとできなくても、帰ってから1度は連絡帳を見るという習慣はつくはずです。実は学校で連絡帳を書いてきてはいても、自宅で開くことがないというケースもあるのです。これでは忘れ物は減りませんね。

 

親の目からも忘れ物がないかチェックできる

学校でのことは、なかなか親には伝わりません。連絡帳はまさに、学校からの毎日の連絡を知ることができる、とても大切なものなのです。明日何が必要なのか、今日はどんな宿題があるのかを知るとともに、きちんと準備ができたかどうかを調べることもできますので、ぜひ、連絡帳には毎日目を通しましょう。

 

勉強に対するアドバイス、サポートができる

連絡帳に明日の予定が書かれてあれば、明日何を勉強するのかが分かります。そうすれば、その勉強に対して助言したり、予習となる知識を教えたりすることができます。

 

例えば、次の日は算数でかけ算を勉強するということが分かったとします。そんな時は、おやつの時間にさりげなく、「いちごを、ママとあなたとお姉ちゃんのお皿に3個ずつ入れたいのだけど、何個必要かな」などと、お手伝いをさせながらかけ算に関する概念に触れさせることができるのです。

 

明日から水泳授業が始まると知ったら、お風呂の時に「どれだけ長く潜っていられるか競争しよう!」と遊びに誘ったり、「バタ足をするときは、ひざを伸ばして足をまっすぐにするといいよ」とアドバイスしたりすることもできますね。

 

下校後の親子の会話を膨らませることができる

前の日に連絡帳を見て、今日何をやるのかを知っておけば、そのことを話題にして親子の会話が弾むものです。

 

「今日はソプラノリコーダーを吹いたんだよね。初めてだったけどどんな感じだった?」「穴をおさえるのが難しいかも…」とか、「調理実習でゆで卵を作ったんだよね。ママの時は目玉焼きを作ったな」「フライパンを使った卵料理もしてみたいなあ」などなど…。勉強したことを振り返ることにもなりますし、何より、親子のコミュニケーションになりますね。

 

良いところを見つけてほめれば、連絡帳をしっかり書くようになる

連絡帳を見ていると、何か一つでも良いところがあるものです。例えば、昨日よりも丁寧に書けたとか、漢字を交えて書けるようになったとか。毎日一つ、そのような良いところを見つけてほめてあげてください。言葉で言うだけでなく、はなまるを描いてあげたり、かわいいスタンプを押してあげたりするのもいいですね。

 

そうすることで、もっとほめられたいという気持ちから、子どもは毎日きちんと連絡帳を書いてくるようになります。忘れ物をしないためには、まずは宿題や次の日の予定を知らなくてはならず、そのためには連絡帳に宿題や明日の予定、持ち物などをきちんと書いてこなければならないので、その習慣づけは非常に大切なのです。

 

それに、親の方も子どもをほめる習慣づけになるので、一石二鳥です。

 

連絡帳を通して、忘れ物をしにくくなるコツを教えてやれる

ただ連絡帳を書いてくるだけでは、なかなか忘れ物は減りません。でも、親が連絡帳に目を通すことで、忘れ物を減らすコツを教えてやれれば、忘れ物は次第になくなっていくでしょう。

 

連絡帳を見て、「写し間違いが多かったり、読みにくい字が多かったりするな」と気づいたら、「きちんと丁寧に書かなければ、後から見ても分からなくなってしまうよ」とアドバイスできます。

 

その他、絶対に忘れてはいけないものは赤鉛筆で囲うようにする、忘れ物をしなかった日は好きなシールを貼るようにして、そのシールが増えるように頑張るように励ます、連絡帳に書くだけでは忘れそうなら、油性ペンで自分の手に書く、等、いろいろな工夫を伝えることができますね。

 

このように、連絡帳を有効活用すれば、様々なメリットを受けることができるのです。このほかにもきっとたくさん利用法があるはず。ぜひ、ご家庭なりの連絡帳の使い方を探ってみてくださいね。

 

ゲーム感覚で楽しく明日の準備をする子に育てる

親が声をかけてもなかなか明日の準備をしない子に、いきなり自分から準備する姿を求めても、達成は難しいことでしょう。そのような場合には、一つ一つ段階を踏んでいき、最終的に目指すべき姿になれるようにしていってはいかがでしょうか。最終目標に到達するための小さな目標を設定し、それを一つずつクリアしていくわけです。

 

「帰ってきたら、親から言われる前に、自力で明日の準備をする」。これが最終目的だとしましょう。そこに向かっていくための最初のステージの目標は「親が手伝いながら明日の準備をする」です。それがクリアできたら、次のステージの目標は「そばに親がいる状況で、明日の準備を自分でやる」です。

 

これにも慣れてきたら、親の声掛けをきっかけにして明日の準備を自力でやり、親にチェックをしてもらう、それをクリアしたら次は声掛けをなくす、それもクリアできたら親のチェックの回数を減らす、という具合に進んでいきます。最後のステージは、最初に述べた最終目標になります。

 

この目標は、子どもにもわかりやすいように紙などに書いて説明しましょう。その時、「ステージ」「クリア」といった、ゲームでもよく使う用語を用いると、子どもは俄然やる気になるようです。

 

小さな目標ごとに難しさのレベルの名前を付けるとよりわかりやすくなりますし、もっと子どものやり気を引き出せます。一番始めの目標は「赤ちゃんレベル」、最後の目標がクリアできたら「中学生レベル」というように。赤ちゃんではいたくないでしょうし、中学生のようだと言われたらかっこいいですから、子どもを奮起させるのにはぴったりです。

 

この方法には、もっといろいろな工夫が考えられます。始めてみると分かることですが、最初はどの子も張り切ってやるので、その日は難なく最初のステージ目標をクリアしてしまうのです。大事なのは続けてできるかということですから、数日間はその目標通りにやり遂げることが、次のステージに行くための条件になるでしょう。

 

そのようにやってみると、途中で忘れてしまうこともあります。そうなったら残念ながら前のステージに戻ってやり直しということになります。子どもにとっては悔しいことでしょう。その悔しい気持ちが、「次こそは忘れないぞ」という意識を強くさせます。

 

また、ただ言葉で「今はこのステージだね」と言うよりも、視覚的に分かるように工夫するとよいでしょう。例えば、ホワイトボードに各レベルを記入し、子どもの顔写真やお気に入りのキャラクターを張り付けたマグネットを用意して、今自分がいるレベルのところにくっつけておくのです。

 

そうすれば、自分が今どのステージにいるのか一目瞭然ですし、うっかり準備をし忘れてステージが戻ってしまった時の悔しさも倍増します。

 

このように細かい工夫を凝らしながらこの方法を実行することで、親から言われなくても自力で明日の準備をするという姿に、確実に近づいていくはずです

 

もう一つ、子どもが目標とする姿になるために、とても効果的で欠かせない工夫があります。それは、「ほめる」ということ。この時のコツは、ちょっとの事なら大目に見て、できてるとみなしながらほめるということです。

 

例えば、一番最初の目標は「親が手伝いながら明日の準備をする」ですが、親が一緒にやるのですからできて当然なのですが、「自分で準備できたね!すごいじゃない!」とほめる。親がチェックしたときに入れ忘れたものがあったと気付いてやり直しになっても、「ちゃんと自分で明日の準備ができたね。えらいぞ!」とほめる。

 

ちょっとミスがあったとしてもそこは目をつむってほめるのです。昨日よりちょっとしか上手になっていないなと思ったとしても、そのちょっとした変化を大げさにほめるのです。そうすれば、子どもは自信を持ちます。その自信こそが、「これからも明日の準備を頑張るぞ!」という気持ちを生むのです。

 

ここまでは明日の準備に焦点を当てて、目標達成のためのプロセスをご説明しましたが、この方法は明日の準備においてだけ有効なのではありません。もしもお子さんが、なかなか進んで宿題に取り組まないとお悩みでしたら、全く同じ方法を試してみてください。きっと効果が上がるはずですよ。

 

絶対に忘れてはいけないことを覚える方法

朝は雨が降っていたので傘を持っていったが、帰りに雨が止んでいるとどうしても傘を持って帰るのを忘れがちになりますね。しかも、次の日も晴れていたりすると、連日傘を持ち帰るのを忘れてしまうなんていことも多いのではないでしょうか。

 

子どもがこのように何日も忘れてくると、毎朝「今日こそは傘を持って帰ってきなさいよ!」と叱ってしまって、すっかり疲れてしまう、どうすれば忘れず持って帰ってきてくれるだろう…と悩んでしまう親御さんもいることでしょう。

 

朝出かける前に叱っても、実は忘れ物に対する効果はあまりありません。学校についてしまえばいろいろなことに頭を使いますし、友達と楽しく遊ぶでしょう。そうこうしているうちに、朝言われたことなどすっかりと忘れてしまうものなのです。だから、朝叱ることは、子どもも大人も嫌な気持ちになるだけで、やるだけ損になることなのです。

 

「忘れないでよ!」と叱る前に、お手軽な記憶法を試してみませんか?それは、絶対に忘れてはいけないことを、10回繰り返して唱えるという方法です。傘を持ち帰ることを忘れたくないなら、「傘を持って帰る」という言葉を、登校前に10回唱えるのです。この作業で、忘れてはならないことが頭に叩き込まれます。

 

この方法をもっと効果的にするには、唱える言葉をもう少し詳しい文章にするとよいでしょう。「玄関を出る時に傘を持つ」という風に。どのタイミングでそのことをすればよいかということまで含めて、唱えるようにするのです。

 

国語の時間に音読をしますよね。あれは、書いてあることをより頭に入れやすくするために、声に出して読んでいるのです。目で文字を追いながら、耳でも音として情報が入ってくるから、理解をしやすくなるわけですね。それと同じ理屈です。

 

このやり方の効果をさらに強化するには、目と耳から余計な情報が入ってこないようにシャットダウンするとよいでしょう。つまり、目を閉じて、耳を両手でふさぐのです。そうすれば何も見えなくなるし、自分の声しか響いてこなくなるのです。入ってくる情報は「傘を持って帰る」それだけです。

 

もちろんこの方法は、朝家を出る前にだけやれるものではありません。家に帰ったら忘れずにしなければならないこともあるはずですから、その時には子ども自身で、「明日の準備をするときに必ずランドセルにリコーダーを入れる」と何度も唱えるのです。親はその場に居ませんから、このやり方をぜひ子どもに教えて、いろんな場面で活用させてあげてください。

 

ちなみにこの方法は、「最近物忘れがひどくて…」と思い始めてきた親御さんたちにとっても、大変便利な方法ですよ。ポストに出さなくちゃと思っているのにいつも忘れてしまう郵便物、課長に提出しなければならないのについ忘れてしまう書類…。大人にだってあるはずです

 

そんな時はぜひ、買い物に行く前に玄関で「郵便物をポストに入れる」、出勤前に「朝一番に課長に書類を提出する」と、繰り返し唱えて自分の頭にしっかりと入れてみてください。効果を実感できるはずですよ。

 

場面をしっかりイメージすれば、忘れ物は減っていく!

スポーツ選手は、練習中も本番前も、よくイメージトレーニングというものをしていますね。的確なシュートを打つイメージ、ジャンプをして確実に着地しているイメージ…。イメージトレーニングは、自分の体を思うように動かすのに最適な方法です。これを、忘れ物防止に応用することができるのです。

 

子どもが傘を学校に持っていったまま、家に持ち帰るのを毎日忘れてしまい、学校に置きっぱなしになっているというケースを例にとってご説明しましょう。家を出る前に玄関で、子どもにこう言うのです。「目を閉じてごらん。教室でさようならをして、学校の靴箱まで来たところを想像してみよう。」と。

 

「靴箱に来たね。そこで何をしている?」と聞けば「上履きを脱いで自分の靴入れに入れて、外履きに履き替えている」と答えるでしょう。さらに訊きます。「玄関から出る前に傘立てがあるね、見えた?」「うん、見えたよ」「自分の傘を見つけた?」「うん、あった」「じゃあそれを手に取って」「今しっかり持ったよ」「そう、そのまま家に帰ってね」と続けます。

 

こうして子どもは、学校の玄関で自分の傘を見つけ、それを手に取って持って帰る姿をイメージし、それを脳に焼き付けることができました。すると、実際にその場面になった時に、朝イメージしたことがふっと頭をよぎるのです。そして、「傘を忘れずに持って帰らなければならなかった」と思い出せるわけです。

 

このやり方は、連絡帳に書き込むように、頭の中にメモをしているということになります。イメージトレーニングは今や様々な場面で使われていますから、実際にやっている方も多いかもしれません。ぜひお子さんの忘れ物防止にも活用してみてください。そして、親御さんもいろいろな場面でイメージトレーニングの方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

付箋紙は便利!たくさん使って忘れ物を強力に防ぐ!

本などの重要な部分にピタッとつけて目印にする付箋紙。この良いところは、書き込みもできて、いらなくなったら捨てられるところです。本などに限らず、忘れてはいけない仕事を書き込み、会社のデスクや手帳などに貼っている方も多いのではないでしょうか。こんなに便利な付箋紙を、ぜひ子どもの忘れ物防止にも活用してみてください。

 

その際、貼り付ける枚数と場所に工夫が必要です。貼り付ける付箋紙は複数あったほうが効果的です。その複数の付箋紙に、持って帰ってくるのを忘れてはいけないもの、例えば「上履き」などと書いておきます。

 

さて、貼り付ける場所についてです。ここが一番重要なポイントです。この作戦を成功させるには、貼り付ける場所にかかっていると言ってもいいほどです。どのようにすればよいかというと、絶対に目が行く場所、貼っていることを忘れていたとしても必ず見える場所にするということです。

 

まずあげられるのが、筆箱の中です。学校に行っていて筆箱を開かない日はほとんどないでしょう。筆箱を開いたらすぐに見える、蓋の裏などに付箋を貼りましょう。この場所の良いところは、一日のうち何度も目にする場所だということです。かなり効果的です。

 

それから、連絡帳の今日記入する予定の場所もいいですね。帰る前に必ず目を通す場所です。後は、ランドセルの蓋の裏や前面のポケットにも貼れます。帰りの支度をするときには必ずランドセルを開くはずです。登下校の時に帽子をかぶるのであれば、帽子の裏に貼るという方法もあります。帰りのあいさつの後、帽子をかぶる際に必ず裏側が目に入ります。

 

忘れてきてはいけないものや、学校生活の流れによって、効果的な場所は変わってきますから、子どもにも話を聞きながら、どの場所が良いのかを探ってみましょう。

 

忘れ物をしないためには、その物を持ち帰る姿をイメージしたり、口に出して何度も唱えたりする方法も効果的ですが、付箋紙の良いところは、消えてなくなりにくいところです。学校で過ごすうちに頭からすっかりなくなってしまった場合でも、付箋紙はなくなりません。だから、忘れずに持って帰る成功率がグンと高まるのです。

 

「そんなにもあちこちに貼るの!?」と驚かれるかもしれませんし、面倒に思われるかもしれません。ですが、考えてみてください。付箋紙を何枚か書いて貼るだけで、登校前や下校後のお小言がうんと減るのです。付箋を書いて貼る作業と、叱りつけなければならないストレスと、どちらがいいかといえば、やはり前者だと言えるのではないでしょうか。

 

もしも付箋紙効果で忘れ物をせずに帰ってくることができたら、その時は思い切りほめてあげましょう。成功体験が、より忘れ物を減らします。慣れてきたら、付箋紙の数は減らしていって結構です。減らしても忘れずに済んだら、やはりその時も「減らしたのに忘れなかったね!すごい!」と言ってあげてください。

 

付箋紙を減らして忘れる頻度が高まったとしても、叱る必要はありません。冷静に構えて、また付箋紙を元の数だけ用意し、もっと効果的な場所を考えればよいのですから。

 

本人が気にしなければ、忘れたくないものを手に書くことも効果的

絶対に忘れてはならないものがあるとき、大人はよくマジック、あるいはボールペンで手に書くことがありますよね。これはパッとできて確実に忘れない良い方法です。この時のマジック類は、断然油性のものがおすすめです。手を洗っても消えませんから。

 

ただし1つだけ注意が必要なことがあります。それは、子どもがその方法を納得できるかということです。やってみたことがある人は分かるかもしれませんが、あまり見栄えが良いものではありません。見た目を気にする子どもであれば、嫌がることでしょう。中には、忘れ物を続ける自分への、親からの罰だと思ってしまう子どももいるかもしれません。

 

子どもが「この方法はいいね!」と思わないようでしたら、無理にやらせる必要はないでしょう。他にもいろいろと方法はありますから。

 

逆に、その子が納得しているなら、学校にいる時にこの方法を、自分でやることもできます。筆箱に油性ペンを用意しておいて、家に帰ったら必ず用意しなければならないものなどを自分の手に書きとめるのです。ただし、この方法は有効だからと、担任の先生にお願いすることはやめてくださいね。学校で教師が子どもの手に何かを書いてしまったら、体罰に触れる恐れもありますから…。

 

マジックやペンで手に書く方法のほか、忘れ物をなくすためには、付箋紙を利用するとか、口に出して忘れてはいけないものの名前をくりかえし唱えるとか、いろいろな方法があります。それらは、学校から持ち帰って来なければならないものにも、家から持っていかなければならないものにも、同じように使える方法ですので、どんどん活用しましょう。

 

学校からのお手紙の見せ忘れを防ぐお助けアイテムは、大きめの蓋なし箱!

学校からは毎日のように、重要なお手紙が子どもたちに配られます。このようなお手紙は、親と学校をつなぐ、大事なものですね。それなのに、子どもたちはそのお手紙を、親に渡すのを忘れがちです。そうなると、子どもだけでなく親もとても困ることが多いのです。

 

参観日があったのに、お手紙が届かなくて行けなかった。家で用意して持っていかなければならないものがあったのに、持っていく日の朝にその手紙を見せられたので用意できなかった。このようなことは実際に多くあることです。これが原因で叱ることが増える、ということもあるでしょう。でも、この時に「叱る」という方法は、あまり効果がないようです。

 

子どもが確実に学校からのお手紙を見せるようになってくれる、お助けアイテムがあります。それは、大きめの蓋なし箱です。段ボール箱でもかごでも何でもOK。これを、玄関でも子ども部屋でもいいですから、帰ってきてまず目に付く場所に置いておきます。そして、帰ったらすぐにランドセルの中に入っているものをすべて、この箱の中に入れるのです。

 

手紙だけではなく、全て入れるのがポイントです。教科書やノートは当然のこと、下敷きや筆箱、そして大事なお手紙ももちろん入れましょう。その他、もうこれはいらないのでは?と思う折り紙作品、紙きれ、ごみに近いようなものまで、とにかく全部です。

 

こうすると、ランドセルに入っていたものがすべて、よく見える状態になります。これが大事なのです。大事なお手紙が入っていたことにも気づきやすくなります。それに、空っぽになったランドセルに、明日必要な物を入れるのですから、準備が簡単です。

 

また、もういらないものをいつまでもランドセルに入れっぱなしということもなくなりますので、ランドセルはいつも最低限の重さになります。やってみるとわかることですが、ランドセルが一度空っぽになるということ、そして余計なものは入っていない状態になることは、実にすっきりした気分になるものです。

 

この方法をやってみると、ランドセルの中身が良く見える状態になるため、意識がそこに向きやすくなります。すると、帰ってからすぐにランドセルを放り出してそのまま朝を迎える、ということもなくなり、その日のうちに明日の準備ができるようになるのです。

 

親としては、「カバンの中身を全部出したら、すぐに明日の準備をして、お手紙を見せ、宿題まで終わらせてほしいものだわ」と思うことでしょう。ですが、そんなに高い望みを持たない方がよさそうです。まずはランドセルからすべて出すことができ、その日のうちに明日の準備や宿題、お手紙渡しができれば良しとしましょう。

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