現代人の体にも起こっている栄養失調とは
世界には、栄養失調が深刻な問題となっている国があります。彼らは毎日の食べるものに困り、身体はやせ細っています。しかし、栄養失調の問題はよその国のこと、と思ってはいけません。日本でも栄養失調は起こっているのです。日本人は見た目には健康そうに見えても、体の中では栄養失調が起こり、様々な不調が生まれているのです。詳しく見ていきましょう。
栄養失調のために現代っ子の体はどうなっているか
「栄養失調」だと体がやせ細る。それは確かにそうですが、それだけではありません。現代っ子ならではの栄養失調があるのです。
日本人はもともと、日本でとれる米などの穀物やいも、魚や貝類、野菜や豆などを食べて生きてきました。しかし戦後、日本人の栄養状態に問題があるとして、欧米型の栄養教育が導入されました。それに伴い、日本人は輸入小麦や乳製品、肉類、白砂糖、各種の油脂類などをたくさん摂るようになったのです。これらはもともと日本人が食べていなかったものです。
その結果、日本人の体は昔とは違う不調を起こすようになりました。日本の現代っ子たちは、命に関わる重病を患ったり、急病でなくなったりすることが、昔よりは少なくなりました。
その代わり、何とはなしに元気が出ないとか、体が重く感じられるとかいうことを訴えることが多くなり、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状に悩まされる子どもも増えたのです。これらの不調はすべて、現代ならではの栄養失調が起こしたものなのです。
なぜ現代っ子の栄養失調が起こったか
見た目は体格がよく健康そうではあっても、現代っ子の体の内部では様々な不調が起こっており、それはすべて、日本人にふさわしい食生活を送らなくなったことで、栄養失調状態になったことに由来しています。では具体的にどのような食生活が、現代っ子の栄養失調を引き起こしたのでしょう。それは主に次の5つです。
運動量に見合っていない摂取カロリー
子どもの遊びといえば、昔は外遊びが主でした。しかし現代は違います。テレビゲームやマンガが子どもたちを夢中にさせ、遊びの主流になってきているのです。それに、塾や習い事などで忙しく、そもそも遊ぶ時間が不足しています。ですから、子どもの運動量は昔に比べて激減しているのです。
そうなると、おやつの時間におにぎりなどの食事に近いものは食べる気になりません。その代わり、現代は様々なスナック菓子やクッキー、ケーキなど、軽くていくらでも食べられそうなお菓子、咀嚼の必要がないジュース類は簡単に手に入ります。これなら空腹でなくてもどんどん食べられますし、やめられなくなることもしばしばです。
運動量は少ないのに、高カロリー、高脂肪のお菓子やジュース類はいくらでも口に入れてしまう。そのため現代っ子の肥満の問題が出てくるようになったのです。
日本人に合わない食材
日本の風土や日本人の体質に合っている食材は、国産の穀物やいも類、豆、野菜、そして近隣の海や川から取れる魚や貝類です。昔の日本人はこれらを使った食生活を送っていました。
しかし戦後、輸入ものの小麦粉や白砂糖、油脂類、肉、牛乳や乳製品といった、日本人に合わない食材や安全性が心配される食材がたくさん流通するようになりました。そしてそれらを中心とした食事が多くなったのです。
ビタミン・ミネラルなどの不足
現代っ子のビタミン・ミネラル不足も気になるところです。「野菜をたくさん食べさせているけど?」と考える人もいらっしゃるかもしれませんが、野菜をたっぷりとれば解決する問題ではありません。
食生活が変わったことで、私たちの周りには精製された食品が増えました。例えば、白砂糖や塩、油、白米や小麦粉などがそれに当たります。それらは、精製されることによってビタミン・ミネラル類が激減し、ビタミン・ミネラルの吸収を阻害するううものもあります。現代っ子のビタミン・ミネラル不足の原因は野菜不足だけではないのです。。
便秘を引き起こす食物繊維不足
便秘に悩む子どもも増えてきています。便秘を解消させるために野菜類をたくさん食べさせている親御さんも多いと思いますが、それだけでは便秘を解消させられません。なぜなら、現代っ子は野菜類由来の食物繊維だけでなく、穀物やいも、豆由来の食物繊維も足りていないからです。
体に害を与える物質の摂取
輸入食品、加工食品の流通が増えたことから、子どもたちの体に食品添加物や農薬など、体に害を与える物質が入ることになってしまいました。このことも、アレルギーや体の不調を引き起こすひとつの要因になっています。
このような食生活が、現代ならでは栄養失調を招き、子どもたちの様々な不調を引き起こしているのです。アレルギーや何となく感じる体の不調の原因として、よく食品添加物や農薬の問題が挙げられますが、決してそれが原因の主たるものではないのです。
安全性の高い食材というのは、それなりにお値段も張るものです。ですからまずは、昔ながらの日本の食事をとるように心がけ、その上で食品添加物や農薬がなるべく使われていない食材を利用するようする、これが正しい順番だと思います。
更新日:2019/11/29|公開日:2016/01/12|タグ:栄養失調