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紫外線は身体が盛んに成長する子どもには特に危険!

紫外線

少し前の話になりますが、女子高校生の間でいわゆる「ガングロ」ブームが起こりました。タンニングマシンなどを使って顔面を不自然に日焼けさせた高校生の姿を見た記憶がある方も多いのではないでしょうか。「ガングロ」をはじめとする「日焼け」が子どもたちにどんな影響を持っているのかについて見てみましょう。

 

日焼けによる危険――皮膚障害

一時期流行した「ガングロ」ブームは今では過ぎ去ってしまい、最近ではむしろ美白がブーム。しかし、若い世代の間ではよく日焼けした肌へのあこがれというのが根強く見られます。

 

2005年、WHOからタンニングマシンに関する勧告が出されました。18歳未満の若年層がタンニングマシンを使用することにより皮膚がんになる危険性が上がるということで、利用すべきではないという内容です。

 

アメリカにおいては、人間が一生の間に起こす皮膚障害のうち、80%は成人する前の18歳までに紫外線によって受けてしまうとされています。環境や人種の差がありますので日本人にこれを一概に当てはめることはできませんが、それでもそれほど差は生じていないと考えられます。

 

普通に暮らしていた場合にこうなのですから、その上わざわざタンニングマシンを使って顔や体を焼けば皮膚障害が起きる危険性をむやみに上乗せすることになります。

 

危険な紫外線――特に危険なUV-B

太陽からの光のうち地球上まで降り注ぐ光は、波長の長い順に赤外線、可視光線、紫外線に分けることができます。このうち赤外線と可視光線が全体の94%に達し、残り6%が紫外線になります。

 

紫外線は、人間の健康や環境への影響の観点から、波長の長い順にA波(UV-A)、B波(UV-B)、C波(UV-C)といった具合に分類されています。波長が短ければ短いほどエネルギーが高くなり、細胞に与える害も大きくなります。

 

このうちUV-Cは地球の大気にあるオゾン層によって吸収されているので地表に到達することはありません。地表まで到達して人間などそこに住む生物に影響を及ぼしうるのはUV-AとUV-Bであり、内訳はおよそ9:1ほどとなっています。

 

従って、地表まで到達している太陽光全体から見れば、UV-Bの占める割合は0.5%程度になりますが、それでも人間の皮膚に悪影響を与えるだけの力を持っています。UV-Aによって過剰に反応を起こしてしまうような疾病を持っているといった特殊なケースを除けば、UV-Bの影響力はUV-Aの千倍近くになるとされているのです。

 

UV-Bは皮膚の表皮層に作用を及ぼし、人間の体はこれを防御するためにメラニン色素を作るという反応を起こします。これがいわゆる「日焼け」です。UV-Bは表皮細胞にあるDNAに直接ダメージを与えます。ほとんどの場合はダメージを受けても元通りに修復されるのですが、修復ミスが起きることがあります。こうしたミスが積もり積もっていくことで起こってくるのがシミや皮膚がんです。

 

誕生直後、人間の体細胞は3兆個程度しかありません。これが成人するころまでには60兆個と、約20倍になります。誕生から成人まで、つまり子どもと呼ばれる時期には盛んに細胞分裂が起きていることになります。理論上、子どもの時期にはDNAのダメージが修復される前に細胞分裂が起きやすくなっていることになるわけですので、子どもの時期に不必要に紫外線を浴びることがたいへん危険であるということが分かるかと思います。

 

危険な紫外線――UV-Aも十分危ない

地表まで到達している太陽光全体のうち、UV-Aの占める割合は5.6%程度になります。UV-Bの方がUV-Aよりも千倍も危険ですが、かといってUV-Aを浴びることがまったく問題が無いというわけではありません。

 

UV-Aは皮膚の真皮層に作用を及ぼし、皮膚の弾力を失わせて老化を促進するとされています。この他にも、UV-AがUV-Bの危険度を高めたり、体の免疫反応を抑えたりする可能性があるとされています。

 

また、UV-Aが当たると体内に活性酸素が生じ、それがDNAに作用して間接的にダメージを与えることがあります。そればかりか、ヨーロッパでの研究ではUV-AもUV-Bと同じような傷をDNAにつけるということが報告されています。

 

UV-Bよりも傷を付ける力はずっと弱いものの、それでもUV-AはUV-Bの10倍近く降り注いでいますから、UV-Aも十分悪影響を持っているのではないかとする研究者が増えてきているのです。

 

タンニングマシンは、人体への危険性が多いUV-Bをまったく発生させないため安全に日焼けができるという売り文句がついていますが、こうして見てくればたとえUV-Aであっても多く浴びれば十分危ないということが分かるかと思います。

 

紫外線を浴びることによって皮膚に障害が出る度合いは人種による差が大きいとされています。また同じ人種や民族であっても皮膚の種類によって差がつくことも分かってきています。

 

日本人は黄色人種で、白色人種に比べれば紫外線による悪影響には強いとされています。紫外線の影響から皮膚を守るためのメラニン色素が多いため、皮膚がんにもなりにくいのです。

 

そんな日本人であっても大きく3つの皮膚の種類があります。もともと肌が白く、日焼けによって赤くなってしまう皮膚、もともと色黒な皮膚、そしてその中間の皮膚の3つです。このうち紫外線による影響を一番受けやすいのは日焼けで赤くなる皮膚の持ち主です。子どもは紫外線の影響を受けやすいわけですから、親は自分の子どもがどんな種類の皮膚なのかを把握して注意をしてあげる必要があるでしょう。

 

日本では平均寿命が延びているため、一生のうちに浴びる紫外線は以前に比べて増加しています。ですから人種的に紫外線に強いといって油断していいとは言えなくなってきているとする考え方もあります。

 

紫外線をむやみに恐れて避ける必要は無いかもしれませんが、人体に害があるものであることは間違いないので、過度に浴びるようなことがないようにしっかりと気をつけたいものです。

 

色素性乾皮症――皮膚がんになりやすい病気

色素性乾皮症とは、紫外線でダメージを受けたDNAを元通りに修復するメカニズムが生まれつき働かない病気です。日本人の場合、10万人に1~2人ほどの割合で発症していると考えられています。

 

色素性乾皮症はDNAを修復できない理由によって8つの種類に分類できますが、日本ではそのうち一番症状が重いタイプのものが多くなっています。

 

色素性乾皮症を抱えている子どもは、生まれてからすぐに紫外線を浴びると皮膚が真っ赤になってしまい、普通とは違う日焼けを起こします。それによって医者にかかってはじめて病気であることに気づくケースが多いといいます。

 

子どもが色素性乾皮症であった場合、何も対策を取らないでいると皮膚がんになってしまいます。多くの場合、4歳~6歳には皮膚がんをおこしてしまうようです。

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