産後の母乳とおっぱいの基礎知識
母乳育児をしたいママさんのために、母乳と産後のおっぱいトラブルについて説明していきます。
母乳の素晴らしい仕組み
赤ちゃんを出産した後、お母さんの体では、ホルモンの一つであるプロラクチンとオキシトシンが分泌されます。プロラクチンの働きによって、乳腺にある腺房という部分で母乳が生成されます。そしてオキシトシンは、出来上がったお乳を乳頭にまで押し上げる働きをします。
赤ちゃんにとって欠かすことのできない母乳が出てくるには、上記の2つのホルモンが必要不可欠だということです。
母乳が出る仕組みは、本当に不思議なものです。赤ちゃんがおっぱいに吸い付くと、それが乳首にとっての刺激となります。この感覚が、より多くの母乳を出すように働くのです。
ですから、なかなか母乳が出ないと思っても、焦らず赤ちゃんに乳首を吸わせ続けてみましょう。それが、母乳の分泌を活発にさせる方法なのです。
少しずつ、母乳の出る量は増えていきますから、出ていないと感じるからと言って、すぐにミルクだけに頼ろうとせず、授乳を続けてみましょう。
母乳の良さ
母乳育児は推進されていますね。これは、赤ちゃんには最も適した食べ物が、母乳だからです。母乳には、赤ちゃんにとって欠かせない栄養が全て入っています。栄養面で特に注目したいのが、初乳です。
初乳というのは、赤ちゃんが生まれてから5日間くらい分泌される、黄色っぽい母乳のことです。この初乳には、アレルギーやウイルスに対抗する、免疫物質がたくさん含まれているのです。
それに、母乳はとても消化が良く、赤ちゃんの内臓に余計な負担をかけません。
母乳は、赤ちゃんによってよいだけではありません。お母さんにとってもメリットがあるのです。母乳が分泌されることにより、子宮の収縮が活発になり、お母さんの体が早く回復するのです。
また、授乳のときには、赤ちゃんを抱っこするので、お母さんと赤ちゃんが密着した状態になります。授乳のたびにスキンシップがとれ、自然と親子のつながりが強くなっていくという良さもあるのです。
母乳の出をよくするためには食事に気をつけて
母乳の出をよくするには、食事に気をつけてみましょう。お母さんが食べたものによって、母乳の味も変わってきますし、分泌量にも影響します。授乳中は、以下のポイントを意識して、食事をとってみてください。
■和食中心のメニューを心がけましょう。
昔からある日本食には、お乳の出を良くしてくれます。
■乳製品や動物性脂肪のとりすぎにご注意を。
これらの食品を食べすぎると、乳腺を詰まらせて、母乳が出にくくなってしまうのです。
■炭水化物、植物性タンパク質、野菜類のそろった食事にしましょう。
炭水化物はご飯や麺など、植物性たんぱく質は豆や豆腐など、野菜類は、根菜類も含めてたっぷりと摂ります。また、肉類に偏らず、魚も積極的に食べましょう。
母乳の出が悪い時は
母乳は赤ちゃんによって最もよい栄養源であることは、間違いありません。でも、母乳の出が悪いということは、よくあることです。母乳は赤ちゃんによってよいから、と考えすぎると、それがストレスとなり、さらに出にくくなってしまいます。
最近のミルクは、母乳を深く研究して、母乳に比べてそれほど大きく劣ることなくできています。ミルクに変えたとしても、それが育児を左右する直接的な原因にはなりません。
母乳にしてもミルクにしても、赤ちゃんにあげる時にはちゃんと抱いて、赤ちゃんの目を見たり話しかけたりしながら、心を込めて与えるということが、最も大切なことなのです。そうすることによって、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンは、活発に分泌されます。
母乳の出が悪いことが大きな悩みとなっているなら、ミルクをあげることも考えてみてはいかがでしょうか。
どうしたら母乳が出やすくなるか
母乳育児をしたいお母さんたちの一番の悩みといえば、どうやったら母乳が出やすくなるか、ということでしょう。母乳を出やすくするために、以下のような工夫をしてみてください。
・おっぱいを頻繁に赤ちゃんに加えさせる
・マッサージなど、おっぱいの手入れは欠かさないようにする
・ストレスを上手に発散させる
・疲労が蓄積しないよう気をつける
・食事は栄養バランスを整えて、和食を基本とする
日常生活で取り入れられることばかりですので、ぜひ続けてみましょう。
おっぱいに起こりがちなトラブル
産後のおっぱいは、いろいろなトラブルを起こしがちです。
①乳汁うっ滞
乳房が固い状態になるもので、これは母乳が乳房にたまってしまっているために起こります。なぜ母乳がたまっているのかというと、母乳は分泌されているのに、乳腺が完全に開いていないからなのです。
このまま放っておくと、乳腺炎になってしまいます。たまってしまった母乳を出すために、母乳マッサージをしましょう。
まずは乳房のマッサージから。
乳房に、ワキの方から手のひらを当て、中央に向かって乳房を寄せるようにします。また、下の方から乳房を支え、上へ押し上げます。
次に、乳首のマッサージです。
乳首を乳輪ごとつまみ、くるくると回すように動かしましょう。
きちんと行っていれば、乳房が固くなった状態も改善してきます。続けて行ってみましょう。
②乳頭部亀裂症状
乳頭亀裂とも言います。乳頭に傷ができ、痛む症状です。赤ちゃんが強く吸い過ぎる、おっぱいを長時間あげていたなどが原因になります。産院に相談し、傷を治療するための軟膏をもらうとよいでしょう。
③乳腺炎
乳房に痛みを感じたり、乳房が腫れたり、ひどくなると熱を持った状態になり、乳首からは膿が出てくることもある症状をもちます。原因は、乳汁うっ滞が悪化し、細菌が入ったことにより炎症が起こったのです。乳腺炎は、病院での治療で治りますので、気が付いたらすぐに診てもらいましょう。