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受験生、就活生必見!読書感想文、小論文、自己PR文を上手に書く方法

文章を書いている男性

読書感想文、小論文(大学入試など)、自己PR文(就職活動など)は、人生で避けては通れない代表的な文章かと思います。文章を書くのが嫌いな人、苦手な人でも、この3つの全てを書かずに大人になったという人は少ないでしょう。今回は、読書感想文、小論文、自己PR文を上手く書くテクニックについて見ていきましょう。

 

文章を書く練習には「読書感想文」からスタートを切ろう

小学校時代から読書感想文は、何かと書く機会があったのではないでしょうか?夏休みの宿題の定番でしたし、国語の授業でも書かされた経験はあるでしょう。無理矢理書かされたイメージもあり、読書感想文に対して、苦手だと思っている人も多いでしょう。

 

でも、この読書感想文は、文章を書くというスタートの一歩目としては、とてもとっつきやすいものです。感想文など書かずに、本だけ読みたいと思うかもしれませんが、他の文章を書くためにも役立つことがたくさんあるので、実際に文章を書く練習のためには、読書感想文からスタートするのが良いのです。

 

読書感想文を書く時、まず1行目にはタイトルを書くと思いますが、よく見かけるのは「○○を読んで」というタイトルです。皆が同じ本を読んだら、同じタイトルになってしまいます。このお決まりのようになっているタイトルでは、面白くありません。

 

「○○を読んで」と書いてしまうと、本が主役で、書き手が脇役になってしまいます。そして、まずは、あらすじを書こうとしてしまいます。そのあらすじも、本の最後にある解説の部分を写したようなあらすじです。読書感想文は、あらすじ紹介文ではありません。

 

読書感想文の主役は、まぎれもなく、書き手であるあなた自身です。本に主役の座を奪われないように、あなたが、書きたいように書くべきです。本に屈することなく、自分の想いを自由に書くことを決して忘れないで下さい。

 

少々傲慢でも良い!自分の立場を本より上に持っていこう

読み手自身が主役になる読書感想文は、どのように書けば良いのでしょうか?それは、読書感想文を「読書エッセイ」であると認識して書いてみることが良いでしょう。

 

本について、「ここが面白かった」とか「ここが良かった」とか、本に従属する必要など、全くありません。あなたが書くエッセイなのですから、「この部分が私に刺激を与えてくれました」という感じで、本より自分が上の立場で書けば良いのです。

 

少し偉そうかな、傲慢かなと思うかもしれませんが、「私をここまで、その気にさせてくれるとは、このお話は大したものだなあ」と、自分が上の立場であることを崩さないで下さい。

 

本の著者が有名な人であっても、それは変わりません。有名な著者より、読書エッセイを書いているあなたが、大きな態度で書き進めて良いのです。著者をけなすのではなく、好意を持ちながらも、あなたは図太く、生意気に、自分の好きなように感想を述べていきましょう。

 

本の著者を嫌って、さらに生意気な文章を書いてしまったら、その読書エッセイは、悲しいことに、エッセイを読んだ人に嫌な印象を与えてしまうことでしょう。本や著者に好意を持ちながら、生意気なことを述べると、その読書エッセイは、読み手が主役になった文章になっているはずです。

 

どんな本の読書エッセイを書く際にも、その本や著者に精神的に圧倒されてしまわないようにすることが重要です。あなたにしか書けない、あなたらしいエッセイを書いて下さい。

 

独自の視点で切り開けば、新たな世界が現れる

同じ本を読んでも、読み手が異なれば、その解釈の仕方は人それぞれ異なって良いのです。それぞれの読み手が、独自の視点で、その本を捉えていけば良いのです。

 

本を読んで、「その本からどんな刺激を与えられたのか」や、「その本を読むことよって、自分の視点が変えられたことがあったのか」などが、とても大事です。その刺激を受けたこと、今までの自分にはない新しい考えを見出したことなどをテーマにして、読書エッセイを書いてみるのです。

 

どんな本でも、読む前後では、何かしら小さなことでも自分の中に変化が現れるものです。その本の意見に同感だと思うこともあるだろうし、自分は少し意見が違うけど、そういう考え方をする人もいるのだと、改めて気づかされることになるかもしれません。これらも、立派な変化です。

 

小説を読んで、登場人物の発したセリフに心打たれたり、新たな発見があったり、その一言によって、あなた自身のものの見方が、何か少しでも変わる可能性があるかもしれません。

 

その時の何か発見したものを見る新しい視点で、身近なところからで良いので、あなたの周りを見直してみてはどうでしょうか?視点を変えることで、今まで見たことのない違う世界が現れてくるかもしれません。

 

そのような新たな発見からの新境地を開拓していくような文章を書いてみると、それは、読書感想文の次元をはるかに上回り、読書エッセイに到達出来るでしょう。それが、目指すべきベストな読書感想文ではないでしょうか。

 

実は絵画と読書感想文は似ている

読書感想文を独自の視点で書いていくということは、絵を描くことと共通していると言っても良いのではないでしょうか?ゴッホ、マネ、ゴーギャン、セザンヌ、マティスといった画家を知っていますか?現在でも人気がある後期印象派、ポスト印象派と称される画家達です。

 

この画家達の作風は様々で、似ているものではありません。共通して言えることは、絵の上手下手に関係なく、写実的に実際のものに忠実に描写出来ていなくても問題ないのです。今までの写実的な絵とは別物の世界観が、画家一人一人にそれぞれあるのです。

 

写真に間違われるくらい上手く絵を描くのが良いというわけではなく、自分が感じとった世界観で、自分が表現しやすいように、新しい世界の見方を相手に伝えることが出来れば良いのです。それは、絵画の写実的な技術を学ばなくても、自分なりのスタイルを確立することで、歴史に名を残すような有名な画家になり得るかもしれないということです。

 

印象派の画家達の絵は、「これはゴッホの絵だな」、「こっちはマネの絵だ」、「これはセザンヌで、あっちがゴーギャンの絵だ」と、絵を見て作者が分かるような絵が多いです。

 

アンリ・ルソーの絵を見たことはありますか?「蛇使いの女」や「戦争」などが良く知られていますが、美術館で本物を見ると、ものすごい迫力があります。ルソーは、画家が本業ではなく、趣味で日曜日に絵を描いていました。そのため「日曜画家」と称されることもあり、遠近法は上手に使えていませんでした。

 

しかし、ルソーの絵には、彼の世界が確立していて、絵を見た人は、「これはルソーの絵だ。タッチから分かる」と言います。絵画の難しい技法をマスターしていなくても、有名になった画家はいるのです。ちなみに、ルソーの本業は、パリの税関職員です。

 

絵を描く画家自身が、物事をどのように捉えたかが大事です。絵を描く時は、画家の感性を前面に出すべきです。画家が世界を見る時の視点が重要です。大げさかもしれませんが、画家自身の人生のテーマを絵に表現しているのかもしれません。

 

描いている人物や、静物、風景に気に入られようと、ご機嫌を取る必要はありません。画家自身の主観を作品にどんどん取り入れていきましょう。絵を描く上で、主役は、その絵を描く画家です。画家の独自の視点です。

 

絵画の話はこれくらいにして、話を戻します。読書感想文では、主役は本を読むあなた、つまり、感想文を書く本人です。感想文を書く人の感性、視点で書き進めて下さい。

 

本のあらすじをまとめて書いていくような読書感想文ではなく、読書エッセイを目指しましょう。自分がその本を読んで、刺激を与えられたこと、感銘を受けたこと、新しい発見など、自分なりにテーマを決めて、そのテーマと本を関連させて述べていくと、レベルの高い読書感想文が出来上がるはずです。

 

ひいきにしたい登場人物をピックアップする

読書エッセイを書く時は、本を読んで自分なりのテーマを見つけたり、独自の視点を見つければ良いわけですが、どうやってテーマや視点を見つけたら良いのでしょうか?そもそも視点の見つけ方が分からないという場合には、試してみてほしい方法があります。

 

本に出てくる登場人物の中から、一人だけ、ひいきの人を決めて下さい。主人公が好きかもしれませんが、敢えて主人公以外の人物を選ぶのが面白いでしょう。サブキャラの登場人物を中心に置いて、話を別の角度から見直してみるのです。主人公中心のメインのあらすじから、ずれた視点を見出すことが出来ます。

 

映画では、たまにメインの映画の何年か後に、スピンオフ作品が製作されることがあります。織田裕二さん主演の「踊る大走査線」からのスピンオフ作品として、メインの映画ではサブキャラだったユースケ・サンタマリアさん主演の「交渉人真下正義」が製作されました。これらはどちらも大人気でした。

 

2006年に公開された映画「デスノート」を知っていますか?主人公は、夜神月(やがみライト)で、藤原竜也さんが演じていました。その主人公と対決することになる世界的名探偵のL/竜崎を松山ケンイチさんが演じていました。

 

2年後の2008年には、「L change the world」というデスノートのスピンオフ映画が公開されました。これは、デスノートで、Lが主人公の夜神月を葬った後の物語です。メインの物語では、主人公は亡くなって話は終わっているのに、他の視点での話が展開していっているのです。

 

アニメでも、スピンオフ作品はたくさんあります。「ちびまるこちゃん」の同級生の男の子の永沢君を主人公にした、そのタイトルも「永沢君」という作品もあります。

 

これらのスピンオフのように、登場人物の中から、ひいきにしたい人物を選び、その視点で物語を新しく捉え直すと、あなただけの独自の物語が出来上がります。そして、あなたが選んだ、ひいきにしたい人物を、何が何でも弁護してみましょう。主人公の影で今までは目立たず、たたずんでいたような人物に、日の目を見せてあげて下さい。

 

普通なら、注目されなかったかもしれない主人公ではない人物を、あなたは、一生懸命弁護して下さい。それこそ、あなたの視点となるのです。そのようにして、書き進めていった文章は、素敵な読書エッセイになっていることでしょう。

 

独自の視点を発見する方法は他にもある

独自の視点を見つける方法は他にもあります。本を読んだら、その中であなたが「好きな場面」や「引用してみたい文」を選択してみましょう。一つだけでなく、1位から3位まで選択してみると良いでしょう。

 

次に、その1位から3位までの選択したものに、あなたが、なぜその場面を選択したのか、なぜ、その文を引用したいと思ったのか、それぞれにコメントをつけていきます。直感で、なんとなく選択したかもしれませんが、選択したからには、何か心の動きが存在したはずです。

 

ちょっとしたことでも構わないので、その心の動きを包み隠さず、コメントにしてみましょう。あなたがつけたコメントには、もちろんあなた自身の視点が存在しています。こうやって、独自の視点を見つけることが出来ます。

 

さらに、他の方法も見ていきましょう。「好きな場面」や「引用してみたい文」以外で、その本の著者は、どうしてすごいのか、どうしてその作品はすごいのか、ポイントを3つ列挙してみましょう。

 

一冊の本の中から、あなたが気になった3つのポイントを列挙します。その列挙した3つに関連するキーワードはありますか?あれば、そのキーワードをタイトルに持っていきましょう。関連するキーワードがない場合は、3つのポイントの中で、最も重要なものをタイトルにもっていきましょう。

 

タイトルのつけ方でお勧めなのが、疑問文のタイトルです。「どうして主人公はいつも○○してしまうのか?」などです。このようなタイトルをつけて、どうしてすごいのかの3つのポイントを列挙して、それを解説しながら、最後にはタイトルの疑問文に回答するようなやり方にもっていきます。

 

タイトルで提示した疑問文に対して、本当に正しい回答が出来ているのかを心配する必要はありません。文学は、数学と違って、たった一つの回答が存在するわけではなく、正解が「ない」と言っても過言ではありません。それが、また文学の良いところなのです。

 

突飛な解釈は読み手を惹きつける

何かを批評するという行為は、民主主義の根本だと言えるでしょう。民主主義ではない旧ソ連時代のような社会や、共産主義の中では、自由な批評は出来たものではありません。日本が、自由な批評を許されない社会だったなら、一語一語を気にかけて、不自由さを感じていたことでしょう。

 

しかし、日本は、自由な批評を許されている社会です。あなたは、周りの人の意見にとらわれず、「これは正解ではなかったのではないか」と不安がらなくても大丈夫です。「様々な読み方があって当然だ」と、開き直るくらいの気持ちで、作品を批評して良いのです。

 

あなたは、太宰治の作品を読んだことがありますか?自殺未遂や薬物中毒を克服し戦前から戦後にかけて多くの作品を発表した作家です。

 

様々な作品がありますが、それらを読んで、あなたが「太宰治の作品の主人公は、なぜいつも女性を道連れに自殺しようとするのだろうか?」という疑問を掲げたとします。その回答は一つではなく、いくつも存在するでしょう。

 

あなたが考えた回答は、他の人が考えた回答のうちの一つであっても良いし、他の人とは全く異なった回答であっても、構わないのです。正解はないのです。

 

正解はないとは言っても、最終のゴールに向かって回答に導くための説得力は必要です。回答に到達するまでの道のりで、あなたが一番だと思う視点のキーワードを提示することが、説得力を獲得する極意となります。

 

例を挙げると、「なぜいつも女性を道連れに自殺しようとするのだろうか?」という疑問に対して、あなたが考えついた回答が、「一人で死ぬことが恐ろしいから」というものだった時、そのエッセイを読んだ人からは、「予想通りの回答だな」、「当然そう思うな」という反応しかもらえません。

 

そんな時は、もっと考える必要があります。「きっと、自意識過剰で、死んだ後に自分がどんな風に思われるか考えているからではないか」とか、「この男は、どこまでもモテようとしていたのではないか」と、考察してみます。そこから、「モテる」というキーワードを発見します。

 

「モテる」ということに着目して考えていくと、太宰治は、「女性にモテる」ことが自分らしさと関係している人だと、捉え直した際には、彼の作品の中で、それまでとは異なった見え方をする場面が出てくるでしょう。

 

強引なこじつけではないかと思われても良いのです。あなたが描いたストーリーが間違っていても問題ありません。気にせずに、関連する場面を抽出して、「モテるということが彼の自分らしさだったのだ」という最終結論に向けての要因として、抽出した個々の事柄を、無理矢理でもつなぎ合わせてみましょう。

 

普通では考えられないような、突飛な解釈の仕方であっても、それは、読み手にとって新鮮なものと受け止められるかもしれないし、とても面白いものになるはずです。少々無理があるものに対して、論じていく行為は、「書く」ということの神髄なのです。

 

本の中から「決めゼリフ」を見つけよう

独自の視点を確立する方法はまだあります。本の中に出てきたある人物が、別の人物に対して発した「セリフ」を手がかりとして、その理由を代理人となって弁護してみましょう。

 

太宰治の「ヴィヨンの妻」という作品を知っていますか?新聞に「人非人」と書かれた主人公が、妻に「ごらん、ここに僕のことを、人非人なんて書いていますよ。違うよねえ」と話しかける場面があります。

 

詩人である主人公は、妻以外の女性とも付き合うし、酒は飲むのに、カネは稼がないという、ダメ男なのですが、妻はその主人公に、「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」と言います。

 

この妻のセリフが、心にグサッときました。セリフを発した人物と私の間に「人非人と言われても、生きていけばいいという視点でつながっている者同士」という関係が、生まれたのです。

 

本を読んでいて、自分が共感できると感じたセリフに出会ったら、メモしておきましょう。「このセリフを中心に文章を書いていこう」と思える決めゼリフを1つは準備しておきましょう。2つあっても構いません。決めゼリフがあると、文章は断然書きやすくなります。

 

文章を書き進めていく途中で、読み手が「その結論は本当なのかなあ?」と怪しまれるような箇所で、その決めゼリフを出してくれば、読み手を納得させることが出来ます。文章のテーマの大きな根拠になってくれます。

 

一冊の本から、気の利いたセリフを1つ発見出来たら、良しとしましょう。そのセリフを軸に文章が書けたら、儲けものだというぐらいの気持ちで、本を読めば良いのです。

 

緩急をつけて速く読めるようになろう

有名な小説であっても、500ページを超えるような長編で、読んでいると退屈で飽きてしまうような場面が続く場合もあります。そんな場面が延々と続いて、結局、そのまま終わってしまう小説も中には存在します。

 

そんな小説の中にも、輝きを放つキラキラした言葉を発見したら、「しめた!」と思うことが出来ます。「この言葉を軸に、エッセイが1本書ける」という具合です。長編小説の場合、500ページもの中には、軽く済ませてしまっても大丈夫だと思える部分があるものです。

 

それに気づいて、軽く目を通すだけの部分があっても構いません。500ページ全体をくまなく均等に読む必要はありません。緩急をつけた読み方がお勧めです。

 

本を読む時は、最初から宝探しをするように、何かエッセイになる箇所はないかと探しながら読むので、何もないところで、いつまでも探し続けても何も出てきません。宝探しをするハンターのように、宝のありかを察知しやすいように、金属探知機の精度を上げておかなければなりません。

 

金属探知機が反応するまでは、軽く読み進めます。けれども、登場人物の関係や大枠のストーリーはきちんと追うようにしましょう。金属探知機に反応が現れたら、そこからは、目を光らせて、モードを切り替えて、「使える引用文を探し出すぞ」、「これだという、決めゼリフを探すぞ」というように、じっくり読んでいきます。

 

このように、一冊の本を読む時にも、緩急をつけて読む習慣をつけると、読むスピードが急激に速くなります。ただ文字を追って読んでいるだけより、読書の勘も鍛えられます。是非、緩急をつけた読み方に挑戦してみて下さい。

 

平凡な小論文ではなくキラキラ輝く小論文を書こう

ここからは小論文の書き方について見ていきましょう。小論文は、大学入試の科目にもなっています。多くの受験生達は、小論文が苦手だと言います。なぜ、小論文が苦手な受験生が多いのでしょう?それは、小論文自体をあまり理解していないことに、起因していると思われます。

 

小論文を書く時は、何を求められているのかを理解した上で書けば、それほど難しいものではありません。小論文への苦手意識もなくなるはずです。

 

大学のレポートと、大学入試の小論文の違いは何だか分かりますか?それは、激しい競争に置かれているかどうかです。大学のレポートには、激しい競争はありません。授業の単位が取得出来るかがかかっている可能性はあります。大学入試の小論文は、競い合う受験生の中の上位20%くらいに入らなければいけないのです。

 

入試の小論文などは、採点者は、数多くの小論文を読んで点数をつけなくてはいけません。その際に、平凡な文章を書いていたのでは、採点者の目に留まることはないでしょう。受験生の80%の小論文は、平凡なものらしいです。そうではない非凡な小論文は、20%くらいです。キラキラ輝いている小論文も中には存在します。

 

平凡な方の80%の小論文は、輝くものが見当たらないと既に判定されているので、高得点はもらえません。非凡な上位20%に入る小論文とは、どのようなものなのでしょうか?

 

ただ、まとめ方が上手いだけではダメです。大学の合否を決定する入試科目なのですから、「この小論文を書いた受験生にどうしても、うちの大学に来てほしい」とか、「是非、我が大学に入学してほしい」と、大学側から受験生に来てくれとお願いしたくなるような小論文を書けば、高得点がもらえるに違いありません。

 

「まあ、入ってもいいよ」のレベルの小論文では、高得点は望めません。常識的な平凡な小論文は、採点者は求めていません。他の受験生とは違うキラキラ輝くものがある小論文を求めています。

 

小論文では遠慮せずに「引用」しよう

小論文のお題は、試験会場で問題用紙を見て初めて判明します。ですから、事前に下調べを行うことが出来ません。しかし、小論文は、あなたが過去に経験したことをもとにしたり、話したり、書いたりしてきたことの複合体と考えることが出来ます。下調べ出来ないと言っても、全くのゼロからスタートを切るわけではありません。

 

試験会場でどんなお題が出されるかは分かりませんが、日常的に、話したり、書いたりすることにおいて、エッセイ的な視点を意識しておくと役に立つでしょう。本番の試験の時に、その視点を少し強引にでもつなげて、小論文を書くことが出来ます。

 

キラキラ輝くような小論文を書かないと、入試を突破することは難しいでしょうが、そんなキラキラの文章を、自分の力だけで輝かせなくても大丈夫です。どういう意味かというと、何かを「引用する」という手法をとれば良いのです。

 

『超訳ニーチェの言葉』で有名なフリードリヒ・ニーチェなどを活用させて頂くのです。ニーチェの存在を太陽として利用して、あなたは月のように光ることを目指すのです。それが「引用する」ということです。

 

例えば、ニーチェは多くの名言を残していますが、『ツァラツゥストラはかく語りき』の中から、一文を選んで、「このような現代社会の閉塞状況を打破するためには、ニーチェの唱えるこの言葉が回答になっているのではないでしょうか」とか、ニーチェに上手く便乗してしまうのです。

 

多少、無理矢理感が見られても気にしなくて良いのです。無理なものでも、それをつなぎ合わせるための論理性があれば、逆に高評価を得られるに違いありません。採点者に「よく考えられているな」と思われるはずです。

 

受験生の小論文は、どうしてもべたになりがちです。高校生らしいのかもしれませんが、それでは、他の受験生に差をつけることが出来ません。大勢の受験生の中から、突出した輝きを放つような小論文を書かなければいけないのです。

 

鋭い切れ味、他の人にはない独自の視点、強引さ、論理をまとめる説得力が兼ね備わっている文章が、キラキラ輝く小論文になるのでしょう。

 

本を読む時は自分に関係あるかどうかの視点で読んでみよう

そんなキラキラ輝く小論文を書くための練習として、読書感想文を書くことが有効ですが、普通の読書感想文では、キラキラ輝く視点を獲得することは無理です。本のあらすじの説明に終わってしまってはいけません。

 

読書エッセイを書いて、新たな独自の視点をたくさん見つけて下さい。何本も読書エッセイを書く練習をすることで、あなたの頭の中には、独自の視点が蓄積されていきます。100%オリジナルの視点でなくても構いません。有名な作家や思想家の視点を真似して、自分なりに、ちょっとアレンジした程度で構いません。

 

読書をする時も、心構えとして、ただただ読んでいくのではなく、「この一冊の中から決めゼリフを探し出すぞ」という意気込みで読んでいくと良いでしょう。そうすることによって、読む速度も上がります。

 

本の中で自分と関係があるかどうかを念頭に置いて、自分に関係なさそうな箇所は読み飛ばしていくぐらいの気持ちで、緩急をつけて一冊の本に接していきましょう。本に書き込んでも良い場合は、自分なりにペンなどでチェックしていくと後で便利です。

 

例えば、1つ目は、あらすじとして大事なところ、2つ目は、老若男女問わず誰が読んでも大事だと思うところをチェックします。文章を要約する際には、必要になってくるからです。そして、3つ目は、あなたが、「ここだ」と感じた、惹きつけられたところをチェックします。

 

読書エッセイを書くためには、1つ目や2つ目より、3つ目の部分がとても大事です。直感で構いません。「このセリフ好きだな」とか、「この一言に惹きつけられる」とかで良いので、チェックしましょう。そのセリフが、キラキラ輝く小論文を書く時の有効な材料になるかもしれません。

 

引用する本や、作家が文学的なものでなくても構いません。意外性が功を奏する場合もあります。

 

例えば、スポーツ好きでよく筋トレをするが、筋トレの本を熟読していて詳しかったとします。筋トレに関して、多岐に渡るルールが存在します。小さい負荷で回数を稼いで持久的な筋肉を鍛えたい場合や、瞬発的な最大筋力を鍛えたい場合では、行うべきトレーニングは異なってきます。

 

そんな筋トレのルールを他の関係ない小説と重ね合わせてみましょう。関係性のなさそうな2つをつなげるのです。無理があると思われるでしょうが、「この小説の主人公の快感は、筋トレの快感ととても似ている」と、強引に重ね合わせてみます。

 

なかなか初めは難しいかもしれない手法ですが、これが使えれば、あなたの小論文のレベルは格段にアップします。

 

「定義だけ」でも覚えておこう!○○名言集も活用できる

前述したような異なる概念同士をぶつけて新しい視点を得るという手法は、実際には、初心者だけでなく、プロの文章でも頻繁に使用されるものです。『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』という本を知っていますか?累計販売部数がダブルミリオンを記録し、アニメ化、映画化もされた作品です。

 

ドラッカーは、オーストリア人の経営学者で、「マネジメントの父」とも呼ばれています。そのドラッカーの理論と、高校の女子マネージャーという概念には、かけ離れた2つのものと思われます。それを上手くつなげているから、この本は、大ヒットしたのです。

 

「実は、経営者と運動部のマネージャーは、やっていることは同じだ」という感じで、堅苦しい難しそうな理論と、日常の身近な事柄を連結させました。それこそが、読み手を「読んでみたい」と思わせたのです。

 

あなたも真似をして、ドラッカーの本を読んでみたとします。「企業の目的は利益を上げることではなくて顧客の管理である」という文章を読んで、「なるほど、利益の獲得だと思っていたが、顧客の管理か」と感銘を受けるかもしれません。そして、「では、その視点でこれを活用してみよう」と思いめぐらして下さい。

 

本を読んで、「これはいいぞ」、「これは使える」というような概念を発見したら、活用出来ないかを検討しましょう。「これは、前に読んだ小説の読書エッセイに使用できるかもしれないな」とか、「映画の批評を書く時の役に立つかもしれないぞ」と、常にあなたは頭の中で、アンテナを立てておいて下さい。

 

普段から、次に文章を書く時に、「これ使えるな」という思いを習慣にしていると、いざ小論文を書かなくてはいけないとなった時に、あなたの小論文のレベルは格段に上がっていきます。

 

そもそも、高校生でドラッカーの理論を知っている人は少ないでしょう。小論文に「ドラッカー」というその名前が出てきただけでも、採点者は驚いて、あなたを入学させたくなるかもしれません。

 

ドラッカーの他にも、フランスの哲学者である「ミシェル・フーコー」や、フランスの社会学者の「ピエール・ブルデュー」なども、高校では習いませんが、大学の授業ではよく取り扱われます。彼らの著書を読んで理解するのは、簡単ではありませんが、彼らの定義を知っておくだけでも価値はあります。

 

どういうことかと言うと、『ドラッカー名言集』など、名言をまとめてくれている便利な書物があります。こういったものも有効に利用してみましょう。難しい定義の中にも、「これなら使えるかもしれない」というものだけでも理解して、自分のものにすれば、きっと利用価値があるでしょう。

 

また、あなたが受験生の親なら、あなたが本を読んで、「これは使えるかもしれない」と感じたところは、子供に教えてあげるのも良いでしょう。「会社の目的は利益ではなくて、顧客の獲得なんだよ」とかで良いです。親子でそのことについて、論じてみると、子供の記憶に定着しやすくなります。是非、試してみて下さい。

 

名の通った誰かの名前を投入して目立つ工夫を

社会学者のピエール・ブルデューによって用いられた「ハビトゥス」という概念があります。これは、何かと言うと、「人々の日常経験において蓄積されていくが、個人にそれと自覚されない知覚・思考・行為を生み出す性向」のことです。

 

あなたに子供がいたら、自分の子供にこのブルデューの概念を説明してみましょう。説明する時は、難しい言葉をいくら並べても、子供には理解出来ませんから、子供が分かるレベルまで簡単にして話してみましょう。

 

「言葉で説明されることはなくても、意識していないのに自然と自分の習慣になっていることはあるよね。それをブルデューさんは、ハビトゥスって呼ぶことにしました。そんなハビトゥスがたまっていって、知らず知らずのうちに、人は自分の行いや判断を選んで生きているんだよ。

 

身近な生活の中で考えてみようか。スーパーのレジを思い出してね。スーパーにはレジがいくつも並んでいて、そこにはレジの係の人がいるね。そのレジ係の中には、お客さんととてもなじんでいる人と、そうでない人がいます。言い換えると、感じが良い人と良くない人と言えるかな。

 

同じレジ係の仕事をしているのに、なぜ違いが出てくるのかな?それは、一人一人が、無意識のうちに習慣になっている行いが違ってきているんじゃないかな。気が利くとか、丁寧に声かけしているとか、お客さんのことをよく覚えているとかがありそうだよね。

 

理由はいろいろあるかもしれないけど、そういうハビトゥスが異なっていることが、レジ係の感じの良し悪しを決定づけているのかもしれないね。そう思わない?」

 

具体的な例を挙げながら、このくらいのレベルまで簡単に説明すると、子供にも理解出来るはずです。さらに、この理解したことを応用して、「スーパーのレジ係におけるハビトゥスの役目について」という文章を書くことだって可能です。

 

文章の内容は、決して難しくなくて良いのです。しかし、文章の中に「このハビトゥスは、フランスの社会学者であるピエール・ブルデューが用いた概念で、これは、身体化した習慣的な行動なのです。」などと、書き込めば、その文章は、全てがオリジナルではなくても、高水準の文章になります。

 

読み手としては、「ハビトゥス」や「ピエール・ブルデュー」ということすら初耳だったかもしれませんが、あなたの文章を読んで、簡単な文章の中から、「ハビトゥス」や「ピエール・ブルデュー」という知識を習得出来たというお得な感じがする文章です。

 

自分が本を読むことはもちろんですが、親や、先生から話してもらった概念が、小論文を書く際には、読み手に与えるお得感や魅力を決めることになります。

 

小論文を高く評価してもらうためには、平凡ではダメです。キラキラ輝く何かがなくてはいけません。他の書き手の小論文より目立たなくてはいけません。そのために、名の通った誰かの名前を投入したり、お得感を匂わしたりと、あなたなりの工夫を施して下さい。

 

ディベート的な議論を持ち込んでレベルの高い小論文に仕上げる

小論文を書く時には、普通は課題があります。その課題に合う小論文を書いていかなければいけません。

 

「東京・銀座の中央区立泰明小学校(和田利次校長)が、一式4万円を超えるイタリアの高級ブランド『アルマーニ』の標準服を今春から導入すると報じられている。標準服は必ずしも購入しなくても良いが、購入していない児童はほとんどいないため、実質的な制服にあたる。公立の小学校としては、あまりにも高額である。

 

義務教育中の小学生にアルマーニの標準服は必要なのだろうか。現行品の標準服は男子1万7000円、女子1万9000円程度と、アルマーニの標準服の半額以下で購入可能だ。この高額過ぎる標準服導入には反対だ。4月からの導入は待つべきだ。この標準服を購入するには親の負担が大き過ぎる。」

 

この考え方に対して、あなたの思うところを書いて下さいという問題が出たとしましょう。受験生の多くは、「反対か賛成か」の2つのうちから、どちらか一方を必ず選択しなければいけないと思い込んでしまします。

 

この場合、2つのやり方があります。1つ目は、論理で詰めていくやり方です。「論理的に検討していくと、このようになります」という具合です。2つ目は、体験に基づいて論じていくやり方です。「自分の体験はこうです。この体験を踏まえて、このように言えると思います」という感じです。

 

この2つのやり方のいずれかを選んで、「反対です」と書くことも出来ます。しかし、課題の文に書かれた論拠に反対する際には、確固たる理由を提示して、反対意見を書いていかないと、普通のことしか書けていないという結果に陥ってしまいます。

 

逆に、「賛成です」と課題文に賛同することは、安全かもしれませんが、内容が平凡にならないように注意しなければなりません。

 

反対すべきか、賛成すべきか、迷うところではありますが、ワンランク上のレベルを目指すなら、ディベート的な発想をしてみるのはどうでしょか。イエスかノーかという考え方はやめて、部分的に賛成したり、反対したりするのです。

 

「ここの部分には、非常に賛成です。しかし、こちらの部分はおかしいと思います」というように、その部分ごとに、冷静に分類するのです。

 

「80%は賛成だけれども、残りの20%においては、異論があります。そこの論がやり過ぎなので、ここを修正すればさらにブラッシュアップされる」と、最終調整をしてまとめていき、良い結論を導き出すようなディベート的な感覚で攻めるのです。

 

「気づき」の力を小論文で表現しよう

「課題文の意見に賛成・反対」という立場を取らずに、そこで展開される論理の構造を選んで、そこに他の事柄も探してみるのも手です。「親の負担が大き過ぎる。」ということを他の事柄で発掘してくるのです。

 

課題文で示されたのは、標準服導入の話ですが、あなたがそのことだけで、小論文を書くと、「狭い」印象を採点者に与えてしまうかもしれません。「実は、この出題者が言わんとすることは、『親の負担が大き過ぎる。』ということで、他にも、標準だからと言って逆に負担になるようなことはあるのか。これも、それに匹敵する。」

 

そんな見方をしてみると、他にも様々なものが見えてきます。そういう論法にするのも有効です。この手法は、課題文から、選択した論理構造で、全く別の新しい事象を発見していることです。あなたの小論文から新しい価値が生み出されたことになります。

 

他者の意見をコピーしただけでは面白くありません。採点者はそんな小論文は欲していません。「そこからあなたは、新しい何かを見出すことが出来たのか」という点に注目しているでしょう。

 

「課題文について考えているうちに、他の事象に気づくことが出来て、こういうことが見えてきました。」というように新しい発見について、小論文の中で述べていくと、「この受験生は、新たに発見することが出来る人だ」と評価されるでしょう。

 

課題文の論理を他に応用したり、自分の体験をかぶせてきたりしながら、「新たに発見する」能力を持っていることを採点者は見ています。「視点移動能力」とか「気づく能力」と言えるでしょう。

 

多くの受験生が、「課題文の意見に私は賛成です。なぜなら・・・」とか、「私は、それには反対です。その理由は・・・」という論法にこだわって書き進めている時に、「気づき」が小論文の中に見られたら、「これは他のものとは違うレベルの小論文だな」と、採点者の目に留まること間違いなしです。

 

「気づき」は、そのレベルがたとえ高くなかったとしても、小論文を書く上でとても有効になってくるものです。学力のレベルが高くない受験生でも、小論文を書いている時の何かしらの「気づき」があって、そこからの認識の「変化」が起こります。

 

他の受験生と比較して、たとえ認識力が際立つものがなかったとしても、「変化」には、なぜか人を惹きつけるパワーが存在します。

 

大学側が受験科目に小論文を課してきて、そこで求める人材というのは、学力が高い学生を欲しているだけではないということです。「あなたは、なかなか見どころがあるな」とか、「柔軟な考えが出来る人だなあ」と評価されるような心の新鮮さを持ち合わせた学生を募集しているのです。

 

課題文に賛成/反対というお決まりの書き方で小論文を書いていく学生より、認識力は乏しくても、「気づき」の力を持ち合わせた受験生の小論文が高得点を獲得出来るのです。

 

キーワードを概念化する

では、この「気づき」はどうやって生み出せば良いのでしょう。やりやすいのは、課題文のテーマになるキーワードを決めることです。キーワードを課題文の中から探しても良いし、自分でキーワードを作っても構いません。

 

前述の課題文を例にすると、「親の負担」という言葉をキーワードに決めたとしましょう。そして、この言葉をカギカッコに入れてみるのです。カギカッコでキーワードをくくると、「この言葉を概念化しました。」と掲げたことになります。小論文を書く際に大変重要です。

 

「親の負担」という概念は、教育学者の小林雅之さんの『深刻化する教育費負担』というタイトルと類似しています。教育の自由、進学格差と絡めて様々な論議が出来そうにも思えます。

 

さらに、あなた自身の体験も織り交ぜて、外部テキストを1つ挿入して、最終ゴールを目指して下さい。これが本番で行えたなら、その小論文は輝きを放ち、受験生の中で上位20%に君臨出来るでしょう。

 

「他の人と同じ」はダメ!自分の角度をつけて書こう

小論文を書く時、無難にまとめようと安全策を取らないで欲しいです。人と同じで良いとか、普通が一番、という考えを捨てて、「一人勝ちしてやるぞ」というくらいの強気な姿勢で挑んで欲しいです。

 

いきなりは難しいと思いますので、そのための訓練が必要です。日頃から、普通のことを書かないようにして下さい。まずは、心構えが大切です。普通のことを書いてはいけないならと、わざとひねくれて書きすぎるのも良くありません。

 

文章を書く時、誰でも思いつくようなことを書くのは避けましょう。多くの受験生は、おそらく思いついたことを書くでしょう。そんな同じような思いつきの文章を書いていては、少数精鋭にはなれません。その他大勢に一まとめにされて不合格ゾーン確定です。普通の文章では、そうなってしまうことを、覚えておいて下さい。

 

書くということは、独自性がなくては成り立ちません。他の人と同じことを書いても、その文章は評価されないでしょう。他の人とは違う、あなた独自の角度をつけることが重要です。

 

「Aさんはこういう角度でこの事柄を見ているけれど、私は、こういう角度で見ました。」という、自分の角度をきちんと示せば良いのです。その見方を他でも応用することが可能です。小論文の出来栄えは、あなたが、いかにあなたらしい角度をつけているかによって決まります。

 

就職活動を成功させるには「自己PR文」をマスターしよう

「自己PR文」や「自己分析文」を書いたことはありますか?これらの文章は、就職活動の時に、多くの企業が学生に提出を求めてくるものです。履歴書と一緒に書類審査の対象となる大事な提出物です。この第一次審査をクリアしなければ、企業を訪問して面接を受けることすら出来ません。

 

自己PRは苦手とか、自己分析なんて無理だと言っていたら、今後の人生を左右する就職活動で、出遅れてしまいます。そうならないためにも、「自己PR文」を上手く書くためのコツを学んでおきましょう。「自己PR文」や「自己分析文」は、練習もせずに初めから上手に書くことは至難の業です。事前にきちんと練習しておきましょう。

 

手始めに、「自己PR」として、自分の個性、自分のよりどころとなるものを文章にしてみましょう。自己の存在を証明するものです。頭の中で考えるだけでなく、一度文章として書いてみると、実際に自己PR文を書く時に有効です。

 

そうは言っても、自分の個性やよりどころを書くという作業、言い換えれば、「自分は何者なのか」という問いかけに答えることは難しいはずです。そういう場合は、自分にはこういう面と、こういう面と他にも違う一面があるというのは分かりますが、その中から自分が重視したいポイントを1つに絞って、そこから話を広げていくと良いでしょう。

 

1つに絞ったポイントについて、そこから、「別れ」や「出会い」のエピソードを追加すると書きやすいと思います。大きな失敗をして、どん底に落とされて、何もかも失ってしまった時、人は自分のよりどころも失くしてしまいます。

 

それを回復するために、自分自身の努力ももちろんですが、出会いがあったり、時間が解決してくれたり、ラッキーなことが降りかかってきたり、何かが起こっているはずです。その間には、あなたの物語があるはずです。これを上手にまとめて書けば、自己PR文の出来上がりです。

 

例えば、フィギアスケートの羽生結弦選手は、2017年11月のNHK杯の公式練習の際に、4回転ルッツで転倒し、右足関節外側靱帯を損傷してしまいました。そのため、NHK杯だけでなく、グランプリファイナル、全日本選手権も欠場することになりました。

 

怪我の回復が心配されましたが、ピョンチャンオリンピック代表には選ばれることが出来ました。怪我のせいで、オリンピック前だというのに、氷上でのジャンプ練習も十分に出来ず、どのくらい回復出来ているのか分からないため、マスコミもファンも右足の状態を心配していました。

 

羽生選手は、もともと幼い頃から持病である喘息とも戦ってきました。持病を抱えながらも、リンクの上では苦しい表情を見せずに素晴らしい演技を今までも見せてくれていました。四年に一度のオリンピックだというのに、順風満帆には行かず、どれだけ苦しい想いをしていたことでしょう。

 

しかし、2018年2月ピョンチャンオリンピック本番、ショートプログラムで堂々の1位となり、フリープログラムでもその1位の座を奪われることなく、金メダルを獲得しました。ソチオリンピックに続き2大会連続の金メダルです。しかも、冬季五輪通算1000個目のメモリアル金メダルにもなりました。

 

オリンピック直前の怪我から、苦難に耐えてあきらめることなく、信じて練習し続けた成果として、念願のオリンピック2連覇を果たすことが出来たのです。実力もさることながら、メンタルの強さは計りしれません。日本中が祝福しました。このような挫折から、金メダル獲得までの物語をまとめたら、良い自己PR文になりそうです。

 

あなたの人生の中で、今までに直面したピンチや危機は何ですか。そういったことを糸口に考えると、自分のよりどころは何かということが判明するでしょう。それを自己PR文に活用していくと良いでしょう。何かにつまずき、大きな挫折を味わった時こそ、その人の本当の値打ちや魅力が出てきます。

 

失敗談を盛り込んだ「自己PR文」で問題解決スキルをアピール

就職活動で、自己PR文を書く時、「私の得意なことはこれです。」とか、「私の性格的な短所はここだと認識していて、今後は良くなるように努めたいと思っています。」という具合の回答をすると、次のステップで面接に進んだ時、面接官は、「それは具体的にどういうことなのか?」と質問を掘り下げないといけなくなります。

 

企業から内定を獲得した学生の中には、敢えて失敗談を盛り込んで、その失敗を自分はどのように立て直して、回復したかを文章にした人もいます。自分の失敗したことを、わざわざ就職希望の企業に言わない方が良いのではと、不安に思うかもしれませんが、そうではありません。

 

ある学生は、バイト先で、チームの責任者として店を任されていましたが、大きな失敗をしてしまったことがありました。失敗したことを反省し、なぜ失敗したのかを分析した上で、同じ失敗が起きないように今後の対応策を検討し、それを実践し、見事に立て直すことが出来たという話を文章にしました。

 

これを見た企業側は、「この学生には修正能力が備わっている」と高い評価をしてくれたそうです。失敗の経験というのは貴重です。

 

トラブルに直面した時に、過去の経験をもとに解決するスキルを持った人材を企業は求めているでしょう。失敗の経験も就職活動の肥やしにして、上手く自己PR文を作ってみましょう。

 

ターニングポイントを取り入れる

自己PR文では、なんとなくこんな感じですという、あなたのぼんやりとした全体像を語っても意味がありません。何らかの出来事を糸口として、そこから垣間見えるあなたの側面を見せる必要があります。自分の人間性や情熱が現れる切り口を見つけることがコツとなります。

 

就職を希望している企業で、自分は何をやってみたいのかを語る際にも、自分の経験したトラブルや逆境からの解決策を上手くまとめていくことが重要です。マイナスの立場をプラスに持っていくために、どのように試練を乗り越えていったのかを盛り込んでいくと効果的です。

 

加えて、自分のよりどころとなるものに名前をつけて提示すると際立ってくるでしょう。「私はバイト先では、学生という身分を良いことに、甘い考えが抜けきらないところがあり、正社員の方とは一線を引いて働いていましたが、この事件を機にバイト中は学生であるという意識を破棄しました。」

 

「正社員ではなくても、お客様からみたら、お店のスタッフに区別はなく、学生であってもプロ根性を持たなくてはいけないと強く実感するようになりました。『失敗を機に芽生えたプロ根性』を持つようになりました。」

 

この例では、「失敗を機に芽生えたプロ根性」が名前をつけた自分のよりどころです。このように、自分の成長を企業にアピールすることが効果的です。このように名前をつけた自分の個性を主張出来るような人を、採用担当者は高評価するでしょう。

 

何かの出来事、事件をきっかけに、自分の中でのターニングポイントになるところを取り入れた自己PR文や自己分析文は、あなたの個性やよりどころを輝かせることになります。そんな文章を書くことが出来れば、採用担当者の心を揺さぶることに成功です。

 

その企業で働きたいという情熱をより具体的に伝えよう

自己PR文は、いくら頭の中で、ああだこうだと、考えていてもらちがあきません。文章にきちんと書いてみることがとても重要です。さらには、就職活動をしている仲間同士で、お互いの自己PR文について話し合ったり、読み合ったりすると、自分の自己分析度合いが分かってきます。

 

友達に自己PR文を読んでもらって、その友達をドキッとさせることが出来なければ、きっと企業の採用担当者の心にも響かないでしょう。まずは、友達をドキッとさせるような自己PR文を書く練習をするのが良いでしょう。

 

学生の中には、なぜこんなに頑張って就職活動しているのに、内定を出してもらえないのかと思っている人もいるでしょう。けれども、企業側からすれば、1人を採用するにしても、その人が本当に、今後何年も何十年も働き続けてくれるのか、その人に給与を払って、福利厚生も与えていくわけですから、企業が負担する費用は非常に高額になります。

 

とにかく内定が欲しいから、上辺のやる気を見せているだけの学生なのか、本当にこの会社に就職して働きたいと本心から思っている学生なのかを、書類審査や面接で、採用担当者は見極める必要があります。

 

上辺だけのやる気の学生は、就職したいというところが最終ゴールになってしまっている傾向があります。それを採用のプロは厳しい目をもってチェックしています。その会社に入って何をしたいのか、今後のビジョンを持って、具体的に自分のやりたい仕事がイメージ出来ているような自己PR文を求めています。

 

採用担当者は、そのような真の情熱が感じられる人には、「これは口先だけではなく、本当にやる気がありそうだな」と認識してくれます。

 

就職希望者が「私は、昔から出版業界に憧れていて、どうしても御社で働きたいです。編集者になって自分の書いたものが本や雑誌に載るように頑張りたいです。」と、自己PRをしたとします。これでは、ぼんやりし過ぎていて、はっきりしません。

 

面接官が「出版社は他にもたくさんありますが、なぜうちの会社を希望ですか?」と聞かれたら、「出版社ならどこでも良いんです」と本音を言ってしまいそうになります。きっと、面接官は、質問する時点で、本音がお見通しかもしれません。そうなると、採用されることは、まずありません。

 

出版社に仮に入社が決まったとしても、編集者になれるとは限りません。営業部門かもしれないし、広報部門かもしれないし、編集部門に配属される保障はありません。大企業なら、配属先の場所も全国各地に点在していて、どこに行くかは分かりません。

 

出版業界ならどこでも良いという雰囲気がかもし出されている自己PR文では、採用担当者は、読んでいて不愉快になり、とても採用どころではなくなるでしょう。たくさんある出版業界の中でも、敢えてこの会社を選んだ志望動機を明確に、「どうしてこの会社なのか」が書かれている文章は、好感がもてるでしょう。

 

就職面接では企業に対する質問はないかと問われることもある

就職活動では、複数の企業にエントリーするはずです。その際、全ての企業に同じ自己PR文を提出するのは得策ではありません。企業には、それぞれ必要としている人材のタイプが異なります。企業自体の雰囲気も違います。そういったことも考慮した上で、各々の企業にふさわしい自己PR文を提出しなければいけません。

 

例えば、商社志望なら、「学生時代から部活動で身体は鍛えているので、体力には自信があります。世界中どこでも行くタフな根性はあります。」とアピールするのは良いでしょう。実際、商社マンになって、「来週からサウジアラビアに行ってこい」と言われて、3年間帰って来られないという話はよく聞きます。

 

しかし、銀行志望なら、同じアピールはしない方が良いでしょう。銀行は、それほど体力的にタフな人材を求めていないかもしれません。それより、細かいミスも許さない几帳面なところが評価されるかもしれません。

 

それぞれの企業が求めている人材をよく考えて、そのタイプに合った自己PR文を書くようにしなければ、いくらレベルの高い自己PR文が完成しても、残念な結果に終わってしまうかもしれません。

 

書類審査をクリアして、面接に進むことが出来た場合、採用担当者から質問をされるだけでなく、「我が社に質問はありますか?」と、逆質問をされることもあります。そんな時のために、事前にその企業のことについてきちんと理解して、適切な質問が言えるように準備しておいて下さい。

 

「御社を取り巻く昨今の環境は、○○の状態だと理解しています。そういった世の中の流れの中で、5年後の主力事業として、何に力を入れようとお考えですか?そのビジョンと根拠を教えて下さい。」という具合に学生が質問したら、採用担当者は、「鋭い質問をしてくるな。」と一目置いてくれるはずです。

 

志望した学生の誰もが質問しそうなことを質問したり、その企業の事業内容とかけ離れた質問をしたりしては、「その程度か」と思われてしまいます。採用担当者に、「具体的な質問が出来るな。即戦力になりそうだ。」と思ってもらえることが大事です。

 

そのためには、企業研究が欠かせません。あなたが、他ではなく、その企業を選んだこだわりを見せることが非常に大切です。採用担当者が「我が社のことをよく調べてきたな。」と驚くぐらいの鋭い質問をすると良いでしょう。

 

「新聞スクラップ」作成で社会に対する見方を変えよう

自己PR文やエッセイなどの文章を書くための訓練にお勧めしたいのが、「新聞スクラップ」の作成です。まず、ノートを用意します。ノートの左側に、新聞を切り抜いて貼り付け、右側にはコメントを書きます。コメントには、その記事を選んだ理由や、その記事に対する感想、意見、提言などです。簡単なコメントで構いません。

 

最近の学生は、新聞を読む習慣がなくなっているかもしれません。ニュースはテレビやネットニュースでも十分知ることが出来るし、新聞を定期購読していない家庭も増えていると聞きます。しかし、文章力を向上させるためには、この「新聞スクラップ」の作成は、もってこいの方法です。

 

「新聞の中から記事を1つ切り抜きましょう」と言うと、まず、どの記事を切り抜くかを決めるために、新聞を一面から最終面まで全部を見ることになります。新聞全面に目を通すということ自体も、日頃からやっている学生はそんなに多くないでしょう。

 

切り抜く記事は、メインの記事でなくても構いません。自分に興味があるもの、惹かれたもので大丈夫です。1つ記事を選ぶという作業によって、自分はこういう記事に興味があるんだなと、改めて気づかされることでしょう。毎日、1記事選ぶという作業だけでも、自分のアンテナを張り巡らしていることになります。

 

新聞を切って、のりでノートに貼るという作業は、小学生でも簡単に出来る作業ですが、選んだ記事に好意を持つようになり、他人が書いた記事であるにも関わらず、自分が書いた記事に思えてきたりもします。そして、右側のページにつらつらとコメントを書いていきます。

 

記事に愛着がわくほど、コメントはスイスイ書けるようになり、1本のエッセイとして成り立つくらいのレベルに達することもあります。新聞の1つの記事で、こうやって文章を書けるようになります。そして、それを毎日継続してみましょう。この訓練は、継続すると、かなりの力がつき、本番の面接の時には、威力を発揮してくれるに違いありません。

 

毎日継続する自信がない場合でも、2週間で良いので、試してみて下さい。たった2週間でも、この作業を続けると、社会に対する意識が明確に変わってきます。

 

面接のとき、採用担当者からの質問で、「その話は、テレビで見た覚えがありますが・・・」という程度の答えでは不採用でしょう。ところが、「〇ヶ月前に、新聞でその記事がありました。記事のデータでは、数値が○○で・・・」という具合に、説明出来たら、採用担当者は、あなたを高く評価してくれるでしょう。

 

新聞記事を切り抜く時は、登場する数値を一緒に覚えておけば、面接の時に、「きちんと知識を蓄積出来る学生だな。」と思われます。

 

「新聞スクラップ」の作成は、切って、貼って、コメントを書くという、単純な作業ですが、コツコツやることで、読書では得られない力の獲得が出来ます。それは、面接時に、思わぬ威力を発揮してくれるはずです。是非、試してみて下さい。

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