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アルコールにむしばまれる子どもたち

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飲酒

平成22年、中学生や高校生の飲酒の割合について調査が行われました。それによると、率は下がってきているものの、未だに高校生では30~40%が、中学生では20%ほどが飲酒の経験があるといいます。未成年の飲酒について見ていきたいと思います。

 

子どもはアルコールの害を受けやすい

厚労省では数年ごとに中学生や高校生の飲酒実態について調査を行っています。この年代の子どもたちの間では男女を問わず学年が上がるに従って飲酒している率が増える傾向にあり、高校三年生では男子14.5%、女子16.7%が1ヶ月に1回以上の飲酒経験があるといいます。

 

飲酒と共に喫煙もしているという子どもも多く、そうした子どもたちといずれもしないという子どもたちの二極化が進行してきているということが分かってきています。

 

ある高校生は対人恐怖症の気があり、他人に接するときの緊張から逃れ心を落ち着かせるために酒を飲むようになりました。不登校で学校に行けなくなっていたときに家でみつけた酒を一杯飲み、酒の勢いで登校できたというのが飲酒の始まりだったといいます。

 

結局この高校生は断酒できずに学校をやめ、結局は引きこもりとなり酒浸りになってしまったといいます。

 

親はこの高校生が16歳の時に専門機関に相談に訪れたのですが、次にまた連れてこられた時には20歳になっていて依存症の状態だったと言います。この少年はアルコールの治療を初めて現在25歳になり、なんとか断酒できたものの、物事を考える力が落ちてしまうなどまるで別人のように変わってしまったそうです。

 

このように、子どもの体と脳はまだ成長している段階であるため、アルコールによる害を受けやすいという特徴があります。アルコールによる害が脳に及んでしまうと回復が大変難しくなるのです。

 

子どもにはアルコールは毒にしかならない

アルコールは俗に百薬の長などとも言われ、体がきちんとできあがった成人が適切な量たしなむ分にはリラックス効果などを得ることができるものです。

 

一方で子どもの体はまだ発達途上であるばかりか、アルコールを代謝するための酵素が完全にできあがっていません。このためこの時期の子どもにとってアルコールはわずかな量であれ毒にしかならないのです。

 

アルコールによる害で一番危険なのは急性アルコール中毒を起こすことです。子どもはアルコールを代謝する酵素がまだできあがっていないためにより危険で、人によって差はあるものの一般に年齢が低い方が発生しやすく、時に死亡することさえあります。

 

人間の体にアルコールが入ると、胃や小腸から体の中に取り込まれます。体内に取り込まれたアルコールは神経細胞の中に入り込み、中枢神経の働きを抑える効果があります。

 

短い時間に多量のアルコールを摂取した場合、血液の中のアルコール濃度が一気に上がり、その抑制効果が大脳皮質、大脳辺縁系、脳髄といったところまで麻痺させてしまいます。そうなると昏睡が起きることになり、呼吸中枢まで麻痺が及べば死亡することもあります。

 

仮にそこまで害が及ばなかったとしても、子どもがアルコールを飲むと内臓に負担がかかり、肝臓や膵臓といった器官にトラブルが起きやすくなります。この他精神的な面でも悪影響があり、知能の低下を初めとするアルコールに関連した障がいが早いうちから出やすくなることが分かっています。

 

こうした直接的な害ばかりでなく、アルコールには依存性があるというのも問題になってきます。アルコール依存症を発症するまでの期間を見ると、例えば40代であれば毎日飲酒を続けて20年ほどして依存症となっていますが、10代ではほんの数ヶ月ないし数年飲酒を続けるだけで依存症となる傾向があるのです。

 

特に未成年の場合大っぴらに酒やたばこを飲むことができず、周りから隠れて飲むようになりがちです。そうすると酒をゆっくり楽しむというよりは手っ取り早く酩酊感が得られるような危険な飲み方をしがちになります。このように、飲み方という側面から見ても依存症になりやすいという悪循環が発生しがちになってしまうのです。

 

まずは社会の認識を改める必要がある

大人、それも年齢が高くなってからのアルコール依存症の場合は本人を取り巻く周囲の環境が原因となることが多いのですが、若い時期に依存症に陥ってしまうようなケースではそもそも親が飲酒関連のトラブルを抱えていたり、遺伝的な要因が大きく影響することが多いといいます。

 

特にアルコール依存症の親の元で育ったような場合は若くしてアルコール依存症になりやすく、アダルト・チルドレン(AC)などと呼ばれることもあります。親がアルコール依存であるために情緒面でトラブルを起こしやすく、親とこの間に適切な関係が構築されにくくなり、それによって子どもが精神に傷を被った結果、子どももアルコール依存の道に陥ってしまいやすくなるのです。

 

海外での研究になりますが、親がアルコール依存症であるような子どもを親元から離し、養子として別の里親のもとできちんと育てられた場合であっても、その子どもはアルコール依存症になりやすいという調査結果があります。また、アルコール依存症を起こしやすい遺伝子も見つかっています。

 

子どもをこのようなアルコールの害から守るには、社会や大人のアルコールについての認識を改めることがまず大切になってきます。「子どもでもちょっとぐらいなら」という考え方が一番危険で、そうした間違った考え方を変えるためにさまざまな機会を捉えて啓発を行っていくことが必要だと言えます。

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