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子どもたちの咀嚼力が弱まっている

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食事をする子ども

現代の食事は柔らかく、昔に比べてよく噛まなくなってきたと言われています。これは大人だけではなく子どもたちについても言えることですが、どれぐらい噛まなくなっているのでしょうか。

 

弥生時代から見ると1/6以下になった咀嚼力

乳幼児がものを噛むことについて調べた調査で、子どもが食事を必要なだけ噛んで食べていると感じるか、と保護者にたずねたところ、半数以上の保護者が子どもが食事を必要なだけ噛んでいないと感じていると回答した、という事実があります。

 

同じ調査では、子どもが食事を噛み切れずに口から出した経験をした保護者も半数以上に上り、また昔よりも現在の食事は柔らかいと感じている人の割合も7割に上っています。

 

この「昔よりも食べ物が柔らかい」ということを実際に実験で確かめた調査もあります。歴史資料を基にして弥生時代や鎌倉時代、第二次世界大戦前のメニューを再現し、それを現在の食事と食べ比べてもらって噛む回数を測定するという実験です。

 

例えば二次大戦前のメニューでは麦飯、野菜の味噌汁、煮物やたくあんなど。弥生時代のメニューではもち玄米のおこわ、鮎の塩焼きなどといったメニューが用意されました。

 

実験の結果、

・現在の食事を食べるために必要だった回数は、平均しておおよそ620回、かかった時間は11分

・第二次世界大戦前の食事では、およそ1420回・22分

・弥生時代の食事では、およそ3990回・51分

という数字が得られました。

 

これがそのまま咀嚼力に直結すると言い切ることはできませんが、単純に見ても食事を食べる際に噛む回数が減っているのは明らかです。戦前と比較しても1/2以下、弥生時代との比較ではなんと1/6以下にまでなっています。

 

現代のメニューではパンやハンバーグ、ポテトサラダなど柔らかいものが多用されていることが原因だと思われますが、これは毎日の生活が忙しくなり、ゆっくりと時間をかけて食事を食べにくくなっていることとも関連していると思われます。

 

時間がないのでより柔らかく食べやすい食事がもとめられるようになり、結果として全体的によく噛まずに食べられる食事になってきているというわけです。

 

かみ合わせは体全体の健康に直結している

顎がきちんと成長できなかったために口をうまく開くことができないという障がいがあります。こうした障がいに悩まされている患者さんの顎の閉じ開きを訓練するためのロボットが開発されています。

 

この訓練用ロボットの開発に際しては、まず早稲田大学の理工学部で人間が口でものを噛む動きをシミュレーションできるロボットが開発され、その研究によって得られた事実をもとにして訓練用のロボットが開発されるという順序をたどりました。

 

この訓練用ロボットにはマウスピースの形をした器具がつながっており、口をうまく開けない障がいのある方はそこを口の中に入れることで口を開くときの正しい動きを訓練することになります。

 

このロボットを用いた訓練は半年ほど行われ、それによって患者さんは訓練前よりも口を広く開けることができるようになるだけでなく、さまざまな体調不全もよくなるといいます。

 

口をうまく開けないという悩みを持った患者さんの場合、顎が相当程度細くなってしまっていることがあります。つまり、咀嚼力や顎をどれだけ動かしているかといったことがらは、顔の形や姿勢などにも影響を与えると言うことが分かります。

 

歯のかみ合わせがうまくいかなくなると、それはものを噛むということにとどまらず体全体に影響を及ぼすようになります。姿勢や歩き方が崩れてくるだけでなく、肩こり、腰痛、顎関節症といった症状の発生にもつながります。

 

口をきちんと開きものを噛むというのは体全体の健康に直結しており、かみ合わせを治すことが体調や健康を改善することにつながってくるのです。

 

楽しく食事ができる環境を整えよう

人間はものを食べるときに歯でかみ砕いて食べることになりますが、噛むという行為には食物を小さく砕くということの他にも唾液の分泌を促すという働きもあります。唾液がきちんと分泌されないと消化がうまくなされず、栄養の吸収面で問題が出ますから、噛むことは栄養をとることにつながってもいるわけです。

 

そして噛むことの効果はそれだけに留まりません。ものをきちんと噛むことは、健康な生活を送っていくために不可欠な行為であることが分かっています。

 

まず、きちんとものを噛んで食べないと、子どもの場合には顎や歯並び、ひいては顔全体の発育に遅れが出るとされています。また、唾液があまり出ないことによって口内環境が悪化し、虫歯や歯肉炎などの口内トラブルも発生しやすくなります。

 

また、普段からものをよく噛まない子どもの脳では、セロトニンという物質がうまく伝わらなくなるという研究があります。セロトニンは精神を安定的に保つ働きをするもので、不足すると感情を押しとどめることが難しくなったりするとされています。ガムを噛むといったような顎の運動により、セロトニンの刺激を伝える神経が鍛えられるという研究もあるぐらいです。

 

このように、特に神経や体が発育段階にある子どもにとってものをよく噛んで食べるというのはかなり大事な側面を持っていることが分かるかと思います。

 

子どもがよくものを噛んで食べるようにするには、まずもって家族で楽しく食事ができるように環境を整えることです。食事を楽しく摂ることができる環境が整っていると、ゆっくりとよく噛んで味わうようになります。そしてその効果はそれだけに留まらず、満腹中枢がきちんと刺激されることで早食い・大食いを防ぐことができ、結果的に肥満の防止につながるほか、脳の活性化という副次的な利益を得ることもできるのです。

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