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人間が持つ言語本能――言葉を作り出すこと

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0歳児

言語というものは本能に根ざしたものではなく、人間が生き延びるために有利になるように後天的に作り出されてきたものだという考え方が以前までは主流でした。

 

しかし、1960年代にアメリカの言語学者であるノーム・チョムスキー氏が主張した「人間には言語を生み出そうという強い本能が備わっている」という考え方が、近年、生物学や心理学の間でも重要視されはじめ、遺伝の影響を重視するようになりました。それとともに赤ちゃんの言語についての研究が行われるようになりました。

 

産まれてからすぐの赤ちゃんがどうやって言葉を学ぶことを知るのか、簡単に見ていきましょう。

 

人間は本能的に言葉を学ぼうとする

赤ちゃんは生まれてから6週間ぐらいたったころから「あーん」「うーん」といった声を立てるようになります。そして生まれて半年ぐらいになると一音節での発声(「あ、あ、あ」といったようなもの)を行うようになります。

 

少し前までは、0歳の赤ちゃんが立てるこういった声と、1歳すぎの子どもが口にする言葉は別のものであるというとらえ方がされていましたが、最近ではそうではないと考えられるようになってきています。こうした発声はすべて将来言語を発するための練習であり、赤ちゃんは日々そういった訓練をしながらだんだんと言葉を話せるようになっていくと考えられるようになってきているのです。

 

人間には言葉を身につけて話そうというたいへん強固な本能が備わっているとされています。そして、そうした本能に従って言語を話すための練習を行っているということが分かってきました。

 

たとえば、赤ちゃんは母乳を吸い、そして休み、ということを繰り返しますが、これは数多あるほ乳類の種のなかでも人間の赤ちゃんのみに見られる行動です。では人間の母乳が吸いやすいからかといえばそんなことはなく、むしろ他のほ乳類に比べて出が悪いとさえいえます。母乳の出が悪ければむしろなるべく続けざまに吸ったほうが進化の過程で生き延びる確率が増すと考えられますので、そうした点から見るとむしろ逆の方向に進化してきていることになります。

 

ではなぜ赤ちゃんは吸い、休み、といった形で母乳を吸うのかですが、これは赤ちゃんが言葉を使いこなせるようになるために本能的にトレーニングを行っているのだ、とする説があります。赤ちゃんが母乳を吸い、いったん休むと、吸われている側のお母さんはほとんど意識せずに赤ちゃんを揺すります。そうされると、赤ちゃんは特に教えられたわけでもないのにまた母乳を吸い始めます。赤ちゃんと母親の間で意思の疎通の初歩的な形態が取り交わされているのだ、というのです。

 

自分と誰かの間で意思疎通をするには、相手が何かをこちらに訴えているときには自分の働きかけを待ち、相手の主張が終わったら自分からの働きかけを行う、という繰り返しになります。赤ちゃんが休み休み母乳を飲むのは、お母さんが揺するのと交互に行われ、赤ちゃんはそれによってそうした意思疎通の基礎を学んでいる、というわけです。

 

ちなみに、赤ちゃんと母親の間のこうしたやりとりは、赤ちゃんが成長するにつれて時間が短くなり、かつ頻度が増していきます。産まれてから2週間目の赤ちゃんと6週間目の赤ちゃんを比べると、乳首に吸い付く時間がおよそ半分になり、それに対してお母さんが赤ちゃんを揺する時間も半分になります。

 

赤ちゃんが吸って、お母さんが揺する、というやりとりが、より短い時間でなんども繰り返されるように変わっていくのです。これは、赤ちゃんが成長するに従ってお母さんとの間で交わされるやりとりがよりタイミング良くなっていっていることを示しています。

 

産まれてから6週間目ぐらいになった赤ちゃんは、「あーん」「うーん」といったような声を立てるようになりますが、そうするとお母さんの側は喜んで赤ちゃんの名前を呼ぶなど、声によるコミュニケーションが始まります。

 

それを繰り返すことで、赤ちゃんは自分がたてた声にお母さんが答えを返してくれている、ということをだんだんと認識するようになっていくのです。これは誰にも教えられずに成立するプロセスですから、人間の中には言葉を話すということが本能的にプログラムされているということになります。

 

赤ちゃんは周囲とのやりとりで言葉の練習を始める

赤ちゃんがさらに成長し、より言葉に近いような声を立てるようになると、周囲の人たちは赤ちゃんをかわいらしいと感じ、さらに愛情のこもった応答を返すようになります。そうした応答に込められた愛情は赤ちゃんにも伝わり、赤ちゃんはうれしいと感じるようになります。そうすると、もっと愛情表現を求めて赤ちゃんはより頻繁に声をたてたり、四肢を動かしたりして周囲に働きかけをするようになっていきます。

 

何度も何度も繰り返されるこうした形のやりとりの中で、赤ちゃんは言葉のもとになる音声の出し方というものを学習していきます。お母さんや周囲の人たちからかけられるさまざまな言葉を記憶し、それがある程度たまってくると自らまねして話し始めるのです。

 

よく、産まれて間もない子どもにどんなふうに働きかけをしていいかが分からない、と悩んでしまうお母さんがいますが、そういう場合には赤ちゃんに愛情を込めて話しかけたり、歌いかけたり、絵本を読み聞かせてあげたりするといいでしょう。たしかにこの時期の赤ちゃんはまだ言葉の意味を理解することはできませんが、言葉のもとになる音とはどういったものであるのか、ということを学習することができるからです。

 

言葉を学ぶということが赤ちゃんの本能に根ざした行動だということを裏付ける例としては、生まれつき耳の聞こえない赤ちゃんの場合をあげることができます。こうした赤ちゃんを観察すると、産まれてから8ヶ月目ぐらいから独自に手や指を使ったサインを出し始めるのです。

 

つまり、耳や音声を使ったコミュニケーションではなく、視覚や手指の動きを使い、誰に教えられることもなくコミュニケーションのための「言語」をつくりだそうとするわけです。

 

このようにして赤ちゃんが言葉を学ぶのは本能的なもので、意識せずに行っているものです。このため、そうした練習の助けになるように、と大人の側がむやみに意識をする必要はありません。「言葉を早く教えてやろう」などと意気込んだりせず、赤ちゃんが興味を示しやすいような童話を繰り返しお話ししてあげるであるとか、愛情を込めて童謡を歌ってあげるといったことをするようにしましょう。

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