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あなたの睡眠時間は本当にあっていますか?

睡眠

近年テレビでよく睡眠不足、寝すぎ、二度寝など多くの良くない睡眠ワードを耳にしませんか?哺乳類が本来本能として行っている睡眠ですが、ルールや社会、時間によって睡眠は管理され、睡眠の質が脅かされている状況にあります。睡眠について楽観視しているのであれば、まずい事になりかねません。

 

あなたは、本当に睡眠時間が足りていますか?

あなたは一日何時間睡眠を取っていますか?残業や夜更かしによって睡眠を疎かにしていませんか?実は現代人の睡眠時間は、著しい減少傾向にあります。

 

総務省の「社会生活基本調査」によると、40年前の睡眠時間の平均は8時間12分。しかし2016の平均睡眠時間は7時間42分。労働時間が原因でしょうか。いや、労働時間はバブルの頃よりも減り、残業が減り、ワークライフバランスが叫ばれ私生活の質も向上しました。それにも関わらず、バブルの崩壊とともに日本人の睡眠平均時間はどんどん減っています。

 

睡眠時間を減らしても人間は大丈夫なのでしょうか。活動時間が増えたことで、自分の時間が増えて良かったという意見もあるでしょう。

 

しかし、ある製薬会社の調査によると、睡眠に不満がある人が調査対象の半数以上でした。しかもその人々に聞くと、大半が睡眠に不満はあるが、対策は取っていないというのです。自分の為に睡眠の時間を削っているのに、睡眠に対して不満を持ち続けるという矛盾した状況に陥ってしまっています。

 

睡眠時間を減らした結果どうなってしまったか

睡眠不足になる事で一体どうなるのか、過去の事例を挙げてみましょう。世界的ニュースになったチェルノブイリ原子力発電事故は、広島に投下された原子力の実に400倍の放射量だと言われています。この事故は、ある責任者の睡眠不足からの判断ミスで起きたと言われています。

 

日本では、居眠り運転・睡眠不足による事故などで起こる国内の経済損失を、10年ほど前に日本大学の教授が算出しました。その合計額が3兆5000億円です。

 

3兆5000億といえば、東日本大震災直後に世界銀行が発表した日本の経済損失約19兆円の5分の1に相当する額です。東日本クラスの大地震による被害は、地震大国日本でも1000年に一度といわれています。日本人の睡眠不足が5年続くだけで東日本大震災と同等の経済損失になってしまいます。

 

自分には関係ないと思う人の為に身近な例を挙げてみましょう。最近イライラすることはありますか?仕事の効率は落ちていませんか?ストレスを感じていませんか?それは睡眠時間が原因かもしれません。

 

近年の医学的な研究結果で、睡眠不足と関わりのある病気に、肥満・高血圧・うつ病があるとの報告があります。ストレスで眠れなくなってしまうと、益々睡眠時間が削られてしまい、睡眠不足のスパイラルから中々抜け出せなくなってしまいます。

 

日々ため込むストレスのせいで快適に過ごす事ができない、うつ病や糖尿病を誘発、更に集中力の低下から起きる事故、身近に潜む睡眠不足に多少は危機感を持ってもらえたでしょうか。

 

睡眠不足は、あれが原因だった!?

安眠・快眠を求めているはずなのに、なぜ睡眠不足になってしまうのでしょうか。それは、夜についついやってしまう「ある事」が原因になっているのです。皆さんはいくつ当てはまりますか。

 

就寝前に液晶画面を見る

就寝前についついスマートフォンをいじっていませんか?テレビ・ゲーム・パソコン等全てアウトです。夜寝る前にちょっとだけ・・・といった誘惑が睡眠不足になってしまいます。

 

画面の光が睡眠を誘発する「メラトニン」という分泌物を抑えてしまって、目が冴えてしまいます。このメラトニンは朝日を浴びてから14~16時間後に分泌するので、丁度眠るタイミングでメラトニンが抑えられてしまうのです。就寝1時間前には画面を見ないようにしましょう。

 

就寝前の夜食はNG

夜遅くまで起きていると無性にラーメンが食べたくなる時があります。ラーメンに限らず、お菓子や軽食等食べたくなってしまう時があるでしょう。コンビニに向かえば食料はいつでも手に入ります。

 

満腹になると眠くなります。入眠効果には良いと言えますが、あなたのお腹の中は消化しきれていません。たとえ眠れたとしても胃腸や脳が消化のために動いていて、深く眠る事はできません。結果的に不自然な時間に起きてしまい、睡眠不足になるのです。空腹で寝られないという方は消化に良い乳製品や温かい柔らかなものを少量取りましょう。

 

寝酒は危険な行為

お酒をよく飲む人はしてしまいがちな寝酒。確かにアルコールを取る事で寝つきは良くなります。しかし、それは一時的な事です。3時間程度でアルコールは抜けてしまい脳が覚醒してしまいます。更にアルコールの利尿効果で、トイレに行きたくなって、再び寝るのは困難でしょう。

 

寝酒には危険がいくつも潜んでいます。寝酒が入眠作用として働くのは、1週間程度と言われています。効果がなくなってしまった時人はどうするのか。お酒の摂取量が増えます。やがてアルコール依存症へと繋がるのです。

 

やめようと思ったときはもう遅く、既にあなたの体は依存体質になってしまっています。

止めよう止めようと考えるうちに、うつ病になる可能性もあります。更には大量のアルコール摂取による様々な合併症の恐れもあります。寝酒を気軽に取っている人は、一度しっかりと考えましょう。

 

あなたの睡眠の常識あっていますか?

睡眠時間は8時間が適正だと思っていませんか?

睡眠のサイクルは二の倍数がいいとか、八時間が一日の三分の一で丁度良いとか色々な話を耳にします。厳密には全部嘘です。全ての人の適切な睡眠時間は、七~八時間ではありません。年齢・性別・季節・職業・環境等様々な条件で、睡眠時間の個人差があります。

 

例えば、1960年代から5年毎に実施されている「NHK生活時間調査」では、男性の方が女性よりも多く睡眠を取っているというデータがあります。また、国によっても睡眠時間の違いがあります。ショートスリーパー呼ばれる人は、六時間未満の睡眠で十分と言われています。

 

八時間が睡眠の適正時間というのは、「何となく」や「皆が言うから」といった思い込みです。人それぞれ睡眠適正時間は違うのですから、自分にとって最適な睡眠時間を見つけ出す必要があります。まずは八時間睡眠が正しいという考えを止める所から始めましょう。

 

睡眠時間は取れば取るほど良いと思っていませんか?

睡眠時間は沢山取れば大丈夫・健康に良いと考えてはいませんか?睡眠時間が短いと早死にすると聞いたことはありませんか?いやいや、確かに短いと死亡率はあがります。しかしアメリカで、1980年に行われた睡眠時間と寿命の関係を調査した研究では、死亡率が高い人は睡眠時間が6時間以下の人達と、7時間半~8時間以上の人達だったのです。

 

日本でも名古屋大学で同様の研究をしています。結果一番死亡率の低いグループが睡眠時間6.5時間~7.4時間のグループでした。それ以下でも以上でもぐんと死亡率がアップする結果が出ています。

 

更にこの結果は肥満率とも関係があります。死亡率と同様に6時間~7時間の睡眠時間グループは肥満率が最も低く、それ以上・以下では肥満率が高くなる結果が出ています。睡眠・食欲ともに、食べ過ぎ・寝すぎも健康に悪く、また食べなさすぎ・寝なさすぎも悪いのです。何事も丁度良い、が良い生活を送るために必要な事です。

 

「寝だめ」で何とかなると思っていませんか?

「今日は3時間しか眠れませんでした。明日10時間寝て調整しよう。」「土日でだらだら寝続けてしまった。明日から早起きしよう」等、睡眠時間を2~3日のスパンで考えていませんか?残念ながら人間の体はそう都合よくはありません。

 

不規則な生活パターンが睡眠のリズムを狂わせてしまい、夜いつもの時間に眠れなくなってしまいます。寝ようと思い続けますが、余計に眠れない負のスパイラルに陥り、眠れた頃にはすでに朝だったとった事もあります。

 

いつもよりも2時間以上睡眠がずれてしまうだけで睡眠リズムを狂わせるきっかけになります。睡眠のリズムは体に刻み込まれています。安易な寝だめや睡眠の調整では睡眠のリズムが治るとは考えない方が良いでしょう。

 

睡眠はただ眠っているだけじゃない!

睡眠とはどのようなものでしょうか。一般的にはただ体と脳を休めているだと思いがちです。しっかり眠れた次の日の朝は頭がスッキリしているからでしょう。ただ、完全には休んでいません。実は脳は記憶の整理を睡眠中に行います。

 

睡眠とは記憶の整理

あなたは昨日すれ違った人の事を覚えていますか?昨日のご飯のメニューは?後者を覚えている人はいるかと思いますが、前者を覚えている人は多くはありません。その原因は脳にあります。私たちが目覚めた時から寝るときまで受け取った情報は、一旦脳に蓄えられます。睡眠中にその記憶の中から必要なもの・要らないものを脳が判断し、取捨選択を行っています。

 

あなたが何かを思い出すとき、パッと思い出す時と何かを思い出し、そこから関連するものを連想し思い出す。この二通りが考えられます。これも脳が睡眠中に記憶を検索しやすいように記憶同士を組み合わせ、記憶の固定を行ってくれているからです。

 

この複雑な作業を行っているのは、脳の中心の海馬と言われる部分と、人間としての高い知能を持つ大脳皮質の二つの部位です。この二つの部位が記憶の取捨選択と整理を行っています。時には昼間よりも睡眠中の方が活発に行われているとても重要な部分になります。

 

体も睡眠中に動いている

脳は睡眠中でも活動しているわけですが、体はどうでしょうか。体が完全に停止してしまうと心臓が停止して生命活動を維持できないでしょう。睡眠中も心臓、消化器官、肺等の生命維持に必要な部分は全て睡眠中にも活動しています。

 

更に体の成長に必要なホルモンや、睡眠のリズムを整えるホルモンは睡眠中に分泌されます。日中の生産活動に必要なものは、睡眠によって支えられているといっても過言ではありません。だからこそ、睡眠は重要といえます。

 

早起きばっかり意識していませんか?

「早起きは三文の徳」という言葉があるように、昔から早起きすることが認知されています。「朝活」などが流行り、残業よりも早出残業が推奨されるようになってきています。あなたにも早起きする人は、できる人だと思ってしまうことはありませんか?

 

とある飲料メーカーのアンケートでは、「一時間朝早く起きた時に、どのくらい得をした感覚ですか?」といった質問の平均は4353円でした。この金額をどう捉えるかは自由です。ただ、無理をして朝早く起きるのは、果たして得と言えるのでしょうか。

 

睡眠時間を削ってまでも朝早く起きてみた。しかし頭がスッキリしないので結局二度寝して、日中ボーっとしてしまった。これでは得とは言えませんね。

 

また、早出残業は自主的なら良いと思いますが、その残業が強制されたものや、前日片付かなかった仕事のために残業をしていたら、それは得とは言えません。いずれも睡眠時間をわざわざ削る事は得とはいえません。

 

早起きは別に偉くない!

昔から認知された「早起きは良い事」のせいで、早起きしない人はダメな人と思いがちです。本当に早起きしない人はダメなのでしょうか。人の適切な睡眠時間はバラバラです。睡眠リズムを大切にした結果、早起きをしないのであれば、むしろ推奨されるべきと言えます。

 

周りの環境や世間の価値観で、「朝活」をやらなければならないという考えは、捨てるべきです。人間らしい活動は、決して日中だけではありません。睡眠も立派な人間らしい活動です。無理をして早起きをしている人は、一度考え直してみてください。

 

目が覚めたらすぐに起きなきゃ!本当ですか?

朝目覚まし時計が鳴り響いたらすぐに起きていますか?小さなころから目が覚めたらすぐに起きなさいと言われませんでしたか?「目が覚めてすぐに起きた方が得」「いつまでも起きない子はだらしがない」が世間の一般的な常識になっています。

 

ただ、根拠はあったのでしょうか。何となく感覚として刷り込まれていませんか。すぐに起きない事が本当にだらしのない事なのでしょうか。

 

例えば二度寝を挙げてみましょう。二度寝は悪い事でしょうか。たとえ悪い事だとしても、悪い事をしている人は意外にいます。気象情報会社のウェザーニュースのアンケートでは、「冬の朝、一番好きなことは?」という問いに、1位が「澄んだ空気」36%ですが2位に「二度寝」で16%でした。

 

SNS、「ねむログ」では、二度寝の頻度についてアンケートを取ったところ、「毎日」と答えた方は41%もいました。二度寝が本当に悪い事だとしたら、悪者だらけになってしまいます。

 

これは社会的な体裁を保っている傾向からだと言えます。「今日4時間しか寝てないよー」「最近寝てないなー」と言っている人は、たいてい見栄をはっているものです。自分の睡眠欲求よりも、世間体をとりつくろうとする考えから、二度寝を悪だと言っているだけです。

 

昼間の活動をベースにしていると思いがちな世の中のために、何時しか睡眠を「いけないこと」「だらしのない事」だと思ってしまっています。

 

すぐに起きると体に悪い!?

すぐに起きる事が善という考えが世間一般的ですが、あなたの体にとってそれは悪です。私たちの体には自律神経という自分の意志と関係なく動くものが張り巡らされています。さらにこの自律神経は、日中活発に動く交感神経と、睡眠中に体の動きを抑える副交感神経の二種類に分類されます。

 

朝起きる時には、体を抑制する副交感神経が中心になっていますから、通常ゆっくりと交感神経に移行します。体に徐々に徐々に血液を送り体が動けるようになります。しかし、すぐに体を動かしてしまうと、体がついていきません。一気に血液を送るために心臓に負担をかけ、脳梗塞・脳血管障害など、血液の流れに関する病気を引き起こす要因になってしまいます。

 

人としての「睡眠」をもっと考えよう

哺乳類は皆睡眠をとります。しかし睡眠で悩んだりするのは人間だけです。犬や猫は寝たいときに寝て、起きたいとき起きるでしょう。でも人間は?例えば学校が9時から始まるから8時には起きなければならない。

 

友達との待ち合わせの為に8時には起きないと間に合わない。これらは人間独自が持つ時間のルールや社会規範から成り立つものです。他にも様々な文化や嗜好の影響も受けるようになり、それらを含め生活スタイルとして受け入れています。

 

睡眠とは元々昼が来て夜が来る、夜の間は寝ようとする生命活動であったはずです。しかし文明が発達して電気が当たり前になって、夜でも明るいから起きていられる。見たいテレビのために夜更かしできる。そして生活スタイルが深夜型になるにつれて、睡眠が脅かされています。便利を求めてきた人間の文化が、今度は人間の生命維持活動を脅かそうとしています。

 

本来抱え込まなくてもいい睡眠のストレスと無縁になるために、今一度睡眠とは何のためなのか、その本質と向き合う必要があります。

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