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アルコール類を飲まなくても肝臓の病気になる?!

お酒で乾杯

健康な肝臓を維持するためにとアルコール類を控えている人も多いと思います。しかし、肝臓の病気になるかどうかは、アルコール摂取の有無とはあまり関係ないのです。どんなことが肝臓の病気を引き起こすのか見ていきましょう。普段お酒は飲まないという人も要チェックです。

 

肝臓とはどんな臓器?

肝臓の病気はどんなことが原因となって起こるのかの前に、肝臓という臓器について知っておきましょう。「肝心(かんじん)」という言葉もあるくらいですから、肝臓は心臓と同じくらい人間にとって大切な臓器です。肝臓は、体に害のある物質を解毒したり、食べ物の栄養を体が使いやすい形に変えて貯蔵したり、老廃物を排出するための胆汁を作ったりしています。

 

肝臓の中には肝細胞という肝臓を構成する細胞があり、その数何と3000億個以上です。その膨大な数の肝細胞の間に毛細血管が張り巡らされています。毛細血管の中の血液によって、すべての肝細胞に酸素や栄養が運ばれます。

 

食べ物の栄養は、数百種類もあると言われている酵素の働きによって、体の中で使われやすい形に変えられます。酵素によるこのような化学反応の数は1万種類以上もあります。このようなことから「体内の化学工場」と呼ばれることもあるのが肝臓なのです。

 

「肝炎」の原因の多くはウイルス

日本では、肝臓の病気の中で一番多いのが「肝炎」です。読んで字のごとく、肝臓に炎症がある状態で、肝臓が赤く腫れ熱くなり痛みもあります。

 

この肝炎はアルコール摂取によってなることもありますが、他にも薬剤やアレルギーが原因になることもあります。しかし最も多い原因は「ウイルス」です。肝炎患者のおよそ80%がウイルスを原因とする肝炎です。

 

肝炎を引き起こすウイルスの主なものは、A、B、C、D、E、Gの6つです。この中で最も注意が必要なのが、よく聞かれる「B型肝炎」「C型肝炎」です。この2つは自覚症状が現れないことが少なくありません。ですから、ウイルスに感染したことにも気付けず、いつの間にか肝炎が慢性化する人が感染者の70~80%程度を占めています。

 

症状がはっきりと表れないまま少しずつ肝硬変や肝臓がんへと移行していくことにもなります。肝臓がんというとお酒が関係しているように思われがちですが、実は日本人の肝臓がん患者の9割以上が肝炎ウイルス、7割以上がC型肝炎を原因としています。

 

「脂肪肝」は、アルコール類をやめるだけでは防げない

「脂肪肝」は、肝臓に中性脂肪がたまってしまうことによって起こります。お酒の飲み過ぎが原因になることもありますが、多くは脂肪分や糖分の摂り過ぎが原因とされています。特に最近ではアルコール摂取以外のことが原因となった脂肪肝(NASH、非アルコール性脂肪肝炎とも呼ばれる)を問題視する傾向にあります。

 

近年の研究によると、このタイプの脂肪肝は肝硬変や肝臓がんに進行するというデータがありますので、私たちは十分気を付けなければなりません。脂肪肝にならないようにするには、お酒をやめるだけでは足りません。脂肪分や糖分の摂り過ぎの方を十分注意する必要があるでしょう。

 

「肝硬変」のほとんどが肝臓がんへと進行する

「肝硬変」というのも肝臓の病気としてよく聞かれます。そしてこれもアルコール摂取が主な原因と思われがちですが、意外にもアルコール摂取だけが原因になっている肝硬変は、全体の約13%に過ぎません。

 

では何が主な原因になっているのかというと、肝硬変患者のおよそ65%がC型肝炎を原因としています。ですから、お酒をいくら控えたとしても、肝硬変になることがあるというわけです。

 

肝硬変という病気は、肝臓の細胞が破壊されて硬化し、ごつごつとしたこぶをたくさん持つ肝臓になってしまうものです。肝硬変になると肝臓の中での血液がうまく循環しなくなり、肝臓が本来持つ役割を果たせなくなってしまいます。

 

最も恐ろしいのが、肝硬変患者の約67%が肝臓がんへ移行しているという事実です。さらに、肝臓がん患者の約90%が肝硬変になった経験を持っています。肝硬変のほとんどが肝臓がんへ進行すると言っても過言ではありません。

 

日本人は肝臓がんにかかる人が多く、1975年を境に急に増えてきています。2014年に肝臓がんで亡くなった人は29,543人です。また、がん死亡者の中でも肝臓がんは5番目に多くなっています。

 

沈黙の臓器と呼ばれる肝臓

肝臓のことを「沈黙の臓器」と呼ぶことがよくあります。この名の由来は、肝臓の高い再生能力にあります。肝細胞の半数以上が死んだとしても、残りの肝細胞がそれをカバーして、肝臓の働きを正常に保つことができるのです。ですから、よほど深刻な状態にならない限り自覚症状が出てきません。これが「沈黙の臓器」と呼ばれる所以です。

 

黄疸や腹水といったよく分かる症状が出て初めて、肝臓の病気であることに気付くことも多いのですが、そうなったときにはもうだいぶ病状が進んでしまっています。

 

沈黙の臓器ですから、なかなか不調を訴えてはくれません。だからこそ、定期的に健康診断やがん検診を受け、不調にいち早く気付けるようにする必要があります。そうしないと、知らないうちに病状が進み、あっという間に肝硬変や肝臓がんへと移行していくかもしれません。

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