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大学附属系、公立、通信制の個性派女子校の実態

女子校の学生

日本には私立学校だけでなく、大学附属系の教育一貫校、公立校、または通信制の学校まで様々な女子校が存在します。どの学校も独自の設立背景を受けて個性を伸ばし、日本の女子教育の振興を目指しています。

 

また学校の個性も多様ならば、そこに通う生徒たちの個性もまた多様です。しかし、多様な生徒にも一つ共通して「社会に貢献できる可能性」を感じます。個性派女子校の実態を探りながら、生徒たちに共通する可能性について考えていきましょう。

 

「本物」に触れて成長する:神戸女学院

小高い山頂の上に立つ神戸女学院は、正門から中学・高校がある校舎までたどり着くためにはちょっとした山登りをすることになります。はじめて訪れる者にとっては、息の切れる思いがするかもしれません。その山登りを終えると、目の前には中世ヨーロッパの荘園を思わせるような、スパニッシュミッションスタイルの校舎たちが広がります。

 

1873年にアメリカ伝道会宣教師団が作った私塾を前身にし、1875年に「女学校」として発足した、西日本では最も古い女子高等教育機関です。永久標語として「愛神愛隣」を掲げています。

 

女子学院、立教女学院と同様のプロテスタント系の学校であり、自律を促す自由な校風が特徴です。制服もありません。日本で最初の女子サッカーチームが作られ、「なでしこJAPAN」発祥の地としても有名です。

 

超のつくお嬢様学校として名高いですが、その実態は「出しゃばりさんが多い」と舩橋昭・中高部長は言います。体育祭のクラス対抗で行われるダンス競技では、クラスの約3分の1がリーダーに立候補する学年もあると言います。また提携共学校と合同で行う奉仕活動も、神戸女学院の生徒たちが場を仕切りはじめます。

 

体育祭には男子校に劣らず、騎馬戦や棒倒しも行われます。最も盛り上がる競技は、「人生レース ゆりかごから墓場まで」という、女性の人生を乳児期から召天(他界)までに見立てた障害物競争です。途中成人期には、くじで決まった男性教員と二人三脚で走ります。

 

児童養護施設の子供たちと触れ合う奉仕活動も盛んに行われています。命の大切さや幼いものを育てる意義など、生徒たちが奉仕活動を通して得られるものも多くあります。

 

神戸女学院の校舎は、文化庁から登録有形文化財に指定されています。大学と共有の敷地には、四季折々の花々が管理されています。まるで庭園美術館のような、美しい環境で生徒たちは生活をしています。

 

舩橋部長は、女子教育には環境の力によるところが大きいと言っています。朝の慌ただしい登校時間にはクラシックを流し、気持ちを落ち着かせるというのも、舩橋部長のアイディアです。毎朝の礼拝ではパイプオルガンの音色を聞くところから始まります。

 

神戸女学院には「本物」が日常の中にあふれています。そのような環境で生活する生徒たちの感覚は、日々研ぎ澄まされていきます。

 

神戸女学院は、過去に何度も「国際数学オリンピック」や「国際哲学オリンピック」の日本代表を輩出しています。また大学進学実績も関西の女子校では随一ですが、それを公表することもない珍しい学校です。

 

生徒の自覚こそが自律の秘訣である:白百合学園

白百合学園は、1881年の創立以来、130年以上の歴史を持つ伝統のある女子校です。湘南白百合を始め、全国に姉妹校を持つお嬢様学校の代名詞的存在です。

 

千代田区のキャンパスには、幼稚園から高校までが隣接しており、密な一貫教育を行っています。白百合女子大学とは系列校ですが、進学するのは約一割で、その多くは他大を受験します。小学校からの6割が併設する中学校へ進学することもあり、外部からの入学生も早々と白百合の風土に染まっていきます。

 

制服は90年間変わらないセーラー服に、真っ白なソックスです。傘やマフラーの柄にまで規制があり、女子校としては厳しい校則を設けています。

 

授業が始まる前は、教室にて各自の席にて起立して教員が来るのを待ちます。「ごきげんよう」のあいさつで授業が始まるのもなんとも特徴的です。

 

礼の方法も、行事の礼、会釈の礼、着席の際の礼とその場に応じたものが指導されます。字がきれいで美術の作品なども丁寧に仕上げますし、宿題をやってくるのも当たり前です。白百合生はこうであれ、という暗黙のルールが生徒たちの中には存在します。

 

マナーと礼儀を重んじるのが白百合の文化・伝統であり、白百合生の誇りでさえあります。

 

最初は普通の女の子としての自分や、やんちゃをしたい年頃の自分と、白百合生としこうありたいと思う自分の間に揺れる生徒もいます。しかし、中学生から高校生になるにつれて、先輩として、そのような生徒が後輩に礼儀を説くシーンも見かけます。

 

白百合の合唱祭は、お嬢様学校らしい行事の一つです。中高それぞれにクラス対抗で行われ、勝手も負けても涙を流す生徒たちの姿は、実に女性らしく微笑ましいものです。

 

一方で、お嬢様学校のイメージとは少し離れた行事で言えば、球技・スポーツ大会も行われています。バレーボール、バスケットボール、卓球、バドミントン、リレー、綱引きが定番の競技で、時には騎馬戦を加えて行った年もあります。

 

各種目の優勝チームと、教員とのエキシビションマッチでは、普段礼儀正しい生徒たちの間でさえ、珍しくブーイングが飛ぶと言います。また憧れの先輩からゼッケンを譲り受けるといった習慣もあり、女子校らしい一面も見ることができます。

 

父親の活躍が求められる学校:東洋英和女学院

東洋英和女学院は、1884年、カナダから来日した女性宣教師の手により設立された、プロテスタント系ミッションスクールです。校訓は「敬神奉仕」であり、日々のあいさつや授業の始まりも終わりも「ごきげんよう」と交わされるのが特徴です。

 

創立期には鳥居坂の上に男子校の東洋英和学校(現:麻布)があり、坂の下に女子校がありました。男女共学があり得なかった時代に、理科教材の豊富な男子校へ出向き、机を並べて理科や数学を学ぶこともありました。

 

講堂には二・二六事件で凶弾に倒れた斎藤實の文字が飾られています。その妻、斎藤春子は東洋英和の出身であり、夫が襲撃されたときに手を広げて立ちはだかったという逸話は、有名です。また作家の阿川佐和子さんも同校の出身です。

 

数年前からは、卒業生からの申し出をきっかけに茶道のおもてなしをする心と客人の心を学ぶ茶会の機会が設けられるようになりました。新宿御苑や五島美術館の茶室を借りて、茶道の心得のある卒業生が在校生をもてなします。

 

幼稚園から大学への一貫教育を行っていますが、系列の大学へ進学する生徒は約1割と非常に少なく、多くの生徒は他大学を受験します。

 

クラブ活動の他にも、6つの課外活動制度(ピアノ、オルガン、器楽、英会話、日本舞踊、華道)があるのがユニークです。興味を持った生徒は、プロから直接指導を受けられる仕組みです。教養もまた、自主的に学ばせるスタイルです。

 

野尻湖にキャンプサイトを有し、中三以上の希望者が校外学習に参加します。その際は在校生の父親が大いに活躍します。キャンプの他にも、文化祭の警備、合唱、ハンドベルの披露など、同校では父親たちが多く学校運営にかかわっていきます。

 

元気でたくましく、しなやかな強さがあることが東洋英和の生徒たちの特徴です。「爽やかに電車で席を譲っていただいたという礼状もあれば、元気が良すぎてクレームがくることもあります」と露木部長は苦笑いを浮かべていました。「ありのままを受け入れ尊重する」というキリスト教の精神に従い、東洋英和の生徒たちは日々のびのびと育っています。

 

「トイレ掃除」から学ぶ:共立女子中学高等学校

共立女子中学高等学校は、1886年に創立され、キリスト系の女学校が多かった当時、女性の自立や社会進出を目指して建学されました。女子教育、女子キャリア教育のパイオニアといってもいいでしょう。

 

2006年には高校募集を廃止し、完全な中高一貫体制へと移行しています。2012年にはその一期生も卒業し、浪人率を下げ、難関大への進学者を増やしています。附属の大学もありますが、約8.5割の生徒は他大への進学を希望します。

 

中学校の三年間を使い「礼法」の授業で、生徒たちは時間をかけて場に即した礼儀を学びます。卒業生の中からは「最も役に立った授業」との評判も高いです。授業を受けている時は窮屈でも、身につけてみると正しい礼法を振る舞える心地よさというものが身に染みてわかります。

 

「礼法を身につけることで、他者への思いやりの心とどこに出ても恥ずかしくないという自信が身につく」と進藤教諭は語ります。

 

共立の名物として、夏休みの宿題の「トイレ掃除」があります。中学一年生の宿題です。掃除の基礎が身につくと同時に、家族の一人として重要な役割を担わせるのが狙いです。保護者からも評判は高く、この宿題を通して日頃の母への感謝や自身の生活の見直しを行う生徒も多いと言います。

 

英語以上に、美術、音楽、体育など実技系科目に力を入れています。渡辺校長は、これが女子校のメリットだと語ります。女子と男子では体力も成長速度も異なるため、6年間の時間の使い方、学習の仕方が大いに異なってしまうからです。

 

共立の名物は、厳粛な卒業式です。生徒たちは「間」を合わせるだけで号令もかけずに、「起立・礼・着席」を行います。6年間の教育の賜物で、タイミングはぴったりです。生徒たちの繰り出すこの礼法は、卒業式を厳粛なものにします。

 

2012年の卒業式では、時間の都合でほとんど予行練習を行うことができませんでしたが、当日は寸分の狂いもなく「起立・礼・着席」を生徒たちはやってのけました。このようなエピソードは「ここぞというときに決めるのが共立の生徒」だと進藤教諭に言わしめる所以です。

 

小学校から高校までの新たな一貫教育:聖心女子学院

聖心女子学院は、1908年に聖心会修道女により開かれた語学校が起源であり、美智子皇后さまや、緒方貞子氏を輩出した有名校です。

 

初等科から大学までの一貫教育を行っており、女子校にしては珍しく、高等科の約6割が姉妹校の大学へと進学をします。聖心インターナショナルスクールには幼稚園もあります。

 

キャンパス内には、東京都の歴史的建造物に指定される正門を始め、聖堂や何気ない手すりやドアノブなど、芸術作品に負けず劣らない逸品がそろっています。「女子は感受性が豊かなため、美術品や歴史的、宗教的建造物から多くのものを感じ取ることができます。女子教育にとって環境は非常に重要です」と鎭目教諭は言います。

 

語学校が起源であるため、英語教育への定評は高く、生徒たちの模擬国連での活躍も目立ちます。キリスト教の奉仕精神に基づき、フィリピン、カンボジア、パラオ、ケニア、ウガンダ、ハイチなどとの海外交流も盛んです。

 

2008年に100周年を迎えると、聖心は新しい一貫教育の形を打ち出しました。それが初等科から高等科までの12年間を、4年後との3つのステージに分ける「4-4-4制」という教育カリキュラムの導入です。

 

心理学的にも脳科学的にも、11歳くらいで子供の認知の仕組みが変化することが分かっています。それに伴って、学習方法も変化します。具体的な操作から、抽象的な概念理解を含んだ「形式的操作」に切り替わる段階で、まずは初等科からの第一ステージを区切ります。

 

続いて、思春期によって起こる反抗期のピークの終わりを第二ステージの区切りとします。「思春期における反抗期の終わりは男子と女子で異なるからこそ、女子校でやる意味があるのだ」と徳田教諭は補足しています。

 

「4-4-4制」の導入に伴い、ホームルームの配置も工夫がなされています。初等科の五・六年生と、中等科の一・二年生が同じ建物内で学びます。

 

また高校からの募集がもともとなかったのに加えて、2013年度の入試を最後に中学校からの募集も終わりました。代わりに初等科五年生での編入・転入という制度を、2012年から導入しています。募集人数は24名で、国語と算数、作文の筆記試験に加えて、面接の結果で合否を判定します。

 

聖心女子は、『聖心会における学習の精神と指導要領』という総ページ433にもおよぶ書籍を軸として、時代に即した教育を行っています。最初の学習指導要領は、創立者の聖マグダレナ・ソフィア・バラにより1805年に書かれ、幾度もの修正や加筆を加えて今のものへとなりました。

 

書籍の中には教科ごとに「役割と重要性」「教授法」「授業の精神」といった形で、女子教育の特性をふまえた各論が説かれています。特に第七章の数学の「役割と重要性」には「数学は、純粋な客観性、実用性から離れた論理という性格によって、ややもすると主観に傾きやすい女性の知性にとって、バランスの役をする」などと書かれています。

 

聖心の生徒たちは聖マグダレナ・ソフィア・バラのことを「ソフィー」の愛称で親しみ、死後150年以上たった今でも、聖心生のロールモデルとして君臨しています。

 

大山校長は「創立者に関する様々な逸話を、あたかも昨日のことのように生徒たちに語り掛けるよう、校長として心がけています」と微笑みます。ソフィーの精神が、生徒たちの身に染みて理解されることで、人生を助けてくれると考えています。

 

健康教育で生徒の一生を支える:川村中学高等学校

川村中学高等学校は、1924年、関東大震災の翌年に混乱した世相を、女子教育の振興によって支え、復興を目指そうと、創立者・川村文子が「川村女学院」を設立したのが始まりです。現在も震災での奉仕活動として行っていた炊き出しは、「記念作業」として残っています。

 

幼稚園から高校までを目白に、大学を我孫子に構える一貫教育校です。高校から附属の大学への進学は2割程度です。

 

「自立した女性になるためには、女性の特性を活かすことが重要です。女子校において、性差を深く理解すれば、女性として自分らしく豊かに生きることを自覚できるようになると考えます」と渡邊教諭は言います。

 

川村では、テーブルマナー教室が毎年の恒例行事です。中学生は高級ホテルでフランス料理を、高校生は懐石料理をいただきながら、マナーやエチケットを学びます。どこにいっても恥ずかしくないマナーを身に着け、自信をつけてもらうのが狙いです。

 

小学生・中学生の給食であっても、ナイフやフォーク、ティースプーン、お箸を正しく使って食べるように指導します。

 

「川村スタイル」という新しい教育スタイルを15年ほど前から打ち出しています。

 

まず一つが企業でのインターンシップ体験を含む先進的なキャリア教育プランのことです。この成果もあって、2012年には全国大会で川村から出場した2チームがそれぞれ「企業プレゼンテーション部門」の優秀賞と佳作を受賞しています。

 

さらに川村では英語教育にも力を入れており、小学一年生から英語の授業を設けています。中学と高校の授業では、インターネット経由のテレビ電話サービスを利用して、オーストラリアの学生と話す機会を設けるなど、新しい取り組みも行っています。

 

最後に、健康教育も忘れてはいけません。川村スタイルの代名詞と言ってもいいでしょう。「健康ノート」を活用し、生徒自身に健康の記録を取らせ、健康への意識を向けさせることで、女性特有の体のメカニズムに注目させるよう指導しています。

 

キャリア教育も英語教育も、資本となる健康な体がなければ役に立ちません。生徒の一生を考え、支えるために生み出された教育スタイルです。

 

体験をもとに自ら考えさせる教育:学習院女子中・高等科

学習院の歴史は古く、江戸時代にまでさかのぼります。1847年に京都御所日御門前に開港された学習所をはじめとし、1885年に開校した華族女学校が中等科の始まりです。

 

正門の両脇を固める赤い鋳鉄門は、明治の文明開化の時代の様式と技術を今に伝えるものとして、国の重要文化財に指定されています。1877年に神田錦町に学習院が開かれた際に、正門として作られた物です。

 

繁華街に近い明治通り沿いに面してはいますが、キャンパスは小高い丘の上にあるため喧騒を免れています。正門からは桜を始め、四季折々の花々や樹木を楽しむことができます。

 

2010年に新設された公社は華族女学校当時のイメージを再現した作りになっています。中は家庭科室が5つ、美術室が4つ、理科実験室が5つあります。また第二体育館には「作法」の授業を行う和室があり、生徒たちはここでふすまの開け方など、日本女性ならば知っておきたい礼儀作法を身につけます。

 

12月にはお茶会、1月には百人一首大会、2月には能楽鑑賞など、各学年に合わせて日本の伝統文化に触れる機会も多く設けています。

 

学習院女子は、体験をもとにして自ら考える教育を旨としています。新校舎に実習室が多く設備されているのも、体験授業が多いのもそのためです。日頃から自分の意見や考えを怠らず、発表する姿勢を大切にしています。高校三年生が卒業の際に作成する卒業レポートは、まさにその集大成にふさわしいものと言えます。

 

生徒の自治、自主性で成り立つ:立教女学院

立教女学院は、1877年、アメリカ聖公会の宣教師ウィリアムズにより設立された女子校です。1927年に日本の女子校では最も早く生徒会が設立されており、今も生徒の自治、自主性を重んじる伝統校です。

 

制服はなく、服装規定も生徒総会による生徒の自治によって決定されています。学校行事ももちろん生徒会の企画運営によって行われています。

 

生徒の問題も、教員よりも早く生徒が解決へと動き出します。朝の登校時、駅周辺の混雑が問題となった時には、生徒たちが率先して立ち番をし、整理に努めたというエピソードもあります。

 

中学一年生のオリエンテーションは、三年生ボランティアが集まり、礼拝の仕方、勉強の仕方、部活について、など事細かに説明してくれます。「上級生が下級生に手取り足取り世話を焼くのは女子校ならではの光景なのではないでしょうか」と山岸教頭は言います。

 

中学・高校ともにダンス部は全国大会優勝の常連校です。さらに体育祭では、高校三年生がほぼ一年をかけて作り上げた創作ダンスを披露します。この出来に保護者や下級生は、涙を流します。

 

「全国トップレベルのダンス部がリーダーとなり、作り上げるダンスの質や縁起のレベルは、学年での創作ダンスとしては全国一だと自負しています」と山岸教頭は語ります。

 

高校三年生の卒業論文発表会を公開行事としているのも、同校の特徴です。同じ創立者を有する立教大学とは「関係校」であり、推薦制度もあります。

 

校内には聖マーガレット礼拝堂を始めとした、歴史を感じさせる建物で溢れています。この歴史の重みを感じさせるキャンパスの中で、生徒たちは女性としての感性をのびのびと育んでいます。

 

関係校への進学、留学制度の充実:香蘭女学院

香蘭女学院は、1887年に英国国教会から来日した伝道団により設立された女子校です。有名な卒業生は黒柳徹子氏です。

 

毎朝礼拝堂では全国礼拝が行われます。11月23日のバザーは110年以上続く香蘭の伝統行事で、売り上げは各施設へ寄付しています。

 

また華道、茶道、箏曲、能楽入門といった日本の伝統文化について、自己啓発の一環として選択制の講座を設けています。教育理念は「日本女性のもつ特性をキリスト教の倫理観によってよりいっそう高めるキリスト教教育」です。

 

他の自己啓発学習には、バイオリン、韓国語と歴史、英語基礎、数学基礎、テニス初級・中級などユニークなものを揃えています。

 

2003年からは関係校である立教大学への推薦制度や、イギリスへの海外研修・留学制度が充実し中学受験者数を増やしています。

 

新しい実践女子学園を想像していく取り組み:実践女子学園

実践女子学園は、1882年の桃夭学校を前身として、1899年に実践女学校・女子工芸学校として設立されました。創立者の下田歌子は明治の女子教育の先駆者であり、宮内庁より欧米の女子教育の視察を命じられるほどの物でした。「メイポールダンス」を運動会で踊る伝統も、同氏が欧米留学中に見たことに由来します。

 

2007年から「新しい実践女子学園を想像していく取組」をはじめました。「3プラス1」の教育を核として、「キャリア教育」「感性表現教育」「国際交流教育」を三本柱にして「学力改革」を支える構図をとっています。

 

キャリア教育においては「25年後の世界と私」というテーマで、高校一年生がライフデザインをまとめる取り組みが目玉となっています。

 

「3プラス1」の教育は、「クエストエデュケーション」の全国大会「クエストカップ」でのグランプリ受賞を輩出するなどで、その成果を出しています。

 

2008年からは従来のクラスのほかに、「グローバルスタディーズクラス」を設置し、海外への進学や海外での就労を見据えた教育を行っています。

 

自分自身に問いかける自律の精神:大妻中学高等学校

大妻中学高等学校は、1908年に創立され、創立者大妻コタカ氏が定めた校訓「恥を知れ」が有名な女子校です。自分自身に恥じない行動をしなさい、と自分自身に常に問いかける言葉です。

 

体育祭では袴姿で、男子顔負けの迫力のある応援合戦をする伝統があります。一方でひな祭りにはひな人形を飾り、可動部が花を生け、箏曲部が演奏し、日本舞踊部が舞い、茶道部がお茶をたてるという、なんとも女性らしい文化も根付いています。

 

成人の日には成人した卒業生たちが振袖を着て集まり、当時の担任を招いて同窓会を開くような女子校らしい伝統もあります。

 

「ごきげんよう」のはじまりの学校:跡見学園

跡見学園は、1875年に開校してから、140年にも及ぶ歴史を持つ女子校です、あいさつの「ごきげんよう」を都内で最初に採用するなど、女子校の草分け的な存在です。

 

生徒会による自治活動が盛んで、校則などは生徒たちが決めています。学園祭の伝統行事である「小学生探検隊」は、訪れた小学生に校内を案内しようと生徒たちから生まれた企画です。

 

体育祭のダンスが名物です。高校三年生と中学三年生は創作ダンス、高校二年生は「ペルシャの市場にて」、中学二年生は「メイポール」を踊ることになっています。

 

創設者への敬意を忘れずに、生徒たちは今も跡見花蹊の像に、毎朝あいさつをします。創立当初正課とされていた華道、茶道、箏曲は、現在も課外活動として実費のみで生徒たちに指導されています。

 

自ら考え、学び、行う:日本女子大学附属中学高等学校

日本女子大学附属中学高等学校は、1901年、日本女子大学の開校とともに高等女学校も設置され、今では幼稚園から大学までの一貫教育を行っています。

 

「自念自動」、自ら考え、自ら学び、自ら行うことを教育方針においています。中学と高校をあえて分離させ、それぞれに自治を任せてうえでリーダーシップを伸ばすことを狙っています。様々な活動をもってして、自由であるために自律が必要であることを学び取らせます。

 

上級生へのあこがれが強く、あこがれが引き継がれていること、「自発創生」の建学の精神に従い、卒業生に起業家が多いことが同校の最大の特徴だと、下村校長は語ります。

 

近年女子高等学校からは附属の大学への進学率が低い傾向にありますが、同校では約8割の生徒が附属の大学に進学しています。

 

文武両道の名門校:県立浦和第一女子高等学校

県立浦和第一女子高等学校は、創立100年を超える全国屈指の伝統ある女子校です。全国に数少ない公立の女子校で、「一女」の名前で親しまれています。

 

戦後の学制改変で公立校の共学化が進む中でも、一女は女子校であることを変えませんでした。2001年に再び埼玉県で公立高校一律共学化の議論があった際にも、一女の関係者が団結し反対運動を繰り広げるほど、女子校への誇りを強く持った学校です。

 

「個性輝き次代を担う女性を育てる、県民が誇れる進学校」を目指しています。「自主自立」の校風を体現すかのように、生徒たちは強い気概を持ち続けています。

 

進学実績、部活動の成績、その他コンクールでの受賞歴などどれをとってもトップクラスです。

 

「進路ガイダンスノート」を用いたり、「実力養成講座」を開催するなど、徹底した学習指導が行われています。またスーパーサイエンススクールにも指定されており、先進的な科学教育を受けられる環境も整っています。

 

部活動においても、運動分野でも芸術分野でも全国レベルの活躍が目立ちます。

 

「勉強+部活+行事」で社会性やリーダーシップを身につけさせるのが、一女の教育です。体験を通して、異なる意見を持つ者同士での交流、問題の解決、関係修復の術、その他様々なことを身につけていきます。

 

入学式では全国レベルの音楽部によって、校歌やハレルヤが披露されます。また新入生は対面式という式典で、三年生の先輩からは「一女の手引き」、二年生の先輩からは「あひるバッジ」をもらうことになっています。この一女の伝統行事を通じて、新入生ははじめて一女の一員として認められます。

 

文化祭や体育祭では「クラティー」と呼ばれる、クラスごとのTシャツを作成する習慣があります。クラス内からデザインを募集し作成するためとても愛着を持っています。

 

体育祭のクライマックスでは、高校三年生によるクラス対抗の仮装行列が行われます。物語に合わせ、徹底的に凝った仮装姿に下級生は憧れを抱きます。

 

一女には「勉強も部活も全国レベルが当たり前」という伝統があります。この伝統こそが教育カリキュラムの根幹を担い、卒業生の誇りとなるのです。

 

「リケジョ」の養成学校:県立川越高等学校

県立川越高等学校は、1906年に川越町立川越女子高等学校として始まり、今や「川女」として親しまれる100年以上も歴史のある伝統校です。徹底した「学力の向上」と、自主自律の精神と豊かな人間性の養成という「人格の陶治」を二本柱の教育方針に掲げています。

 

体育祭での応援合戦は、応援団ごとに衣裳の作成から振り付けまですべて生徒たちの手によって準備され、とても華やかなものが披露されます。行事等で中心となった者をたたえる歌や、林間学校で踊る「ハッチ」というダンスが伝統として受け継がれています。

 

スーパーサイエンススクールとして指定されており、理数教育の研究校として先進的な取り組みを行っています。その成果として、毎年行われる日本学生化学賞では多数の受賞経歴があり、2011年には文部科学大臣賞を受賞し、2012年5月にアメリカで行われた世界大会には、日本代表を輩出しています。

 

小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンの研究開発者の一人、碓井氏も同校の卒業生です。

 

進学校でありながら、部活や行事も盛んな同校はまさに多才な女性が集まる公立女子校です。

 

通信制で多様な可能性を広げる:クラーク記念国際高等学校(横浜青葉キャンパス)

クラーク記念国際高等学校は、日本で最大級の単位制・通信制高校です。キャンパスは全国に60以上あります。単位制・通信制といっても「全日型通信制」というスタイルがあり、生徒たちは毎日制服を着て学校に通います。

 

キャンパスごとにユニークなコース設定があるのが特徴です。秋葉原ITキャンパスには「声優・放送クリエーターコース」、東京キャンパスには演劇を学べる「パフォーマンスコース」があります。

 

2011年には横浜市青葉区に女子限定キャンパス「横浜青葉キャンパス」が開校しました。クラーク記念国際高等学校の校長はプロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎氏であり、横浜青葉キャンパスの校長にはその長女三浦恵美里氏が就任しました。

 

三浦恵美里氏は、自身の就任について、「世界に通じる自立した女性のロールモデルとして期待されている」と語っています。

 

通信制の高校という性質上、中学校時代に学校で心の痛みを受けた生徒がとても多く通っています。そのような生徒たちを三浦氏は「生徒たちは痛みを知っている分、優しくて強い子です。受け入れてくれる場所さえあれば飛躍的に伸びます。また女子校だからこそ教育の焦点が絞りやすく、ケアやフォローもしやすい」と語ります。

 

横浜青葉キャンパスでは、製菓実習とライフデザインセミナーに力を入れています。キャンパス内にある調理室でお菓子作りに励み、実際に販売へとつなげます。2012年度にはこの売上金を使い、生徒が仙台へと出向き、東日本大震災の復興支援ボランティアに参加しました。

 

ライフデザインセミナーは年に6回行われ、各界の著名人や各分野の第一線で活躍する人を招いて開催されます。このセミナーをきっかけに、生徒の可能性を広げていきたいと三浦校長は語ります。

 

運営責任者の栗原キャンパス長は、クラーク記念国際高等学校として初めての女子校だが、教育に手ごたえを感じていると語っています。

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