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子供が不登校になってしまったら・・・

不登校の子供

思春期になると、子供の体や心には大きな変化が生じてきます。この時期はこうした変化が一生の中で一番たくさん起こる時期です。こうした変化は体や心のアンバランスを招き、感情面で不安定になったり、自立心の芽生えによって大人とその社会に対して反発を覚えたりと、この時期に特徴的な精神的動きを示します。いわゆる「不登校」が急に増えるのもこの時期です。

 

不登校の実態

不登校になる児童・生徒が最も多かったのは平成13年度で、この年には小学生と中学生だけで14万人近くに達していました。それ以降は年とともに数が減っていましたが、平成25年度に6年ぶりに増加して小学校で全体の0.36%、中学校で2.69%、高校で1.6%という割合となっており、思春期の子供たちの間に多いことが見て取れます。

 

中学生や高校生が不登校になってしまうきっかけについて見ると、学校生活、本人の問題、家庭の問題の順で多く、不登校が継続してしまう理由としては、中学生では不安感などの情緒面における混乱が最も多く、一方高校生では無気力という理由が最も多くなっています。

 

「不登校」と一口に言いますが、どんな内容なのかを調べて見ると内実は多岐にわたります。

 

文科省では、

・一年間に30日以上欠席している

・病気であったり経済的な理由が原因ではない

ことをもって不登校と定義しています。

 

また、この定義においては「心理的、情緒的、身体的、社会的な要因・背景」というものを原因とするものとしており、非行型、過保護型、いじめ(られ)型の3種類に分けることができますが、近頃ではこうした理由以外にも無気力であったり親の虐待などが原因となるケースも増えてきており、より種類分けが困難になってきています。

 

不登校に悩む子供の心理についてみてみると、次のような特徴が見られるといいます。

①登校時:登校することを考えると緊張したり不安になり、それが原因で頭痛や下痢が生じる。

②授業中:静かな教室の雰囲気の中で圧迫感を感じる。

③休み時間:他の子供が楽しそうにしていると阻害されているような感じを受ける。

 

思春期に達する前の子供は、自分と同じような仲間を求めて幼稚園や小学校と行った集団生活に加わります。それが思春期になると、子供たちはめいめいが個性を持っているということを認識しはじめ、自分とは異なる人間で構成される「群れ」を求めるようになり、やがてそこに社会を発見します。

 

このように子供は成長とともに群れを欲する傾向を持ちますが、仲間同士で遊ぶのが不得手で群れの中で適応できない子供や、異質化していく群れのあり方に戸惑ったりそうしたあり方を受け入れることができない子供も存在します。こうした子供は学校という群れの中で自分の場所を見失ってしまい、ひいては群れに対する恐怖を抱くようになります。

 

つまり、不登校という現象には社会という群れに属していたいという「求群感情」と、そうした思いに問題が生じたときに発生した「対群恐怖」の2つの感情が複雑に混ざり合っているということが言えます。

 

特に日本の場合、子供・大人に限らずいわゆる「世間」というものが強く、「~らしさ」というものを演じている側面が強いという特色があります。これは個を重んじるヨーロッパ的社会とは対照的です。

 

そんな中で自我の目覚めを経験し、学校の中に「嘘臭さ」を感じ取ってそれに異論を挟んだりすれば、適応できない人物と見なされます。そうなってしまうと自分がいわゆる「いい子」からドロップアウトしてしまったと感じてしまい、「正しい人生」から脱落したと思って混乱してしまうのです。

 

そういった意味では、不登校も「キレる」と同じような側面を持っています。キレた子供に大人になってから困るぞと言ったところで耳を貸さないように、不登校の子供にそうした助言をしたとしても自分の周りに対する不信感を増幅させ、焦って自分を責めてしまうだけに終わってしまいます。

 

不登校の子供への対応

子供の不登校にはどう対応していけばいいかについて、学校側の主な対応として考えられるのは、家庭訪問と保健室登校です。

 

日本学校保健会の調査によれば、中学校や高校において保健室登校は増加してきており、平成22年10月~23年9月末までの期間に保健室登校があった学校の割合は、中学校で41.6%、高校で37.3%となっています。

 

不登校の子供からすれば、保健室登校は一般の教室に通えるようになるための中継ぎになるとされています。

 

保健室登校をしている子供たちは、はじめは保健室の一部をカーテンなどで仕切り、その中にいることが多いといいます。最初のうちは養護教諭といっしょにいて自習などをしていますが、そのうちに休憩時間に保健室にやって来た同級生と話をしたり、保健委員会の活動を手伝ったりするようになります。

 

そうした活動を通して対人関係を再構築し、自分にもすぐれたところがあるということをに気づきを得て自尊心を取り戻していきます。

 

少し前までは不登校の子供に早く学校に来るように促すいわゆる「登校刺激」は状況をかえって悪化させるだけと考えられてきましたが、担任の教師などがこまめに家庭訪問をしたり電話で連絡したりするなどして生徒本人や保護者との信頼関係を構築したり、友だちが励ましたりすることによって効果が上がるということも分かってきています。

 

このように、不登校の子供にはけっして押しつけがましくはせず、自分のことを気遣ってくれる人もいるということをごく自然に再認識させることが大事になってくるのです。

 

学習のための選択肢は広がってきている

高校生が不登校に陥ってしまうと進級面で問題が出ることが多く、そのため途中で退学を余儀なくされることが多くなっています。しかし、最近では学校に通わない状態でも学ぶことのできる通信制校などに転校してもう一度出直す子供も増えてきています。

 

中には通信制に進路変更する生徒について、自己管理面や学習の面できめ細かいサポート体制を取り始めた学校も出てきました。昔に比べると学びのための選択肢が充実してきているとも言えるかもしれません。

 

不登校になってしまった子供たちが退学する場合、学校に通うことには未練がある中で退学を余儀なくされるケースが多いと言います。しかし、どうしても登校できないのであれば、一般的な学校だけしか選択肢がないわけではないということを、子供たちに示してあげる努力も必要でしょう。

 

最近では学校や進路についての社会の意識も変化してきており、普通高校にこだわらずに子供の特色にあった学習環境を用意し、不登校の子供の能力開発を進めて社会に送り出すことが大切だと言えます。

 

不登校になってしまった子供たちに対しては、学校や家庭が自分を見捨てずにいてくれたという感覚を持てることが何より大切です。学校や家庭はそうした子供たちのために何かができないのか、さまざまな手を尽くすことが求められていると思います。

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