子供の頃から合理的に考えるクセをつけさせよう!
私たちは生活する上で、絶えず何をするべきか?を考えながら行動しています。日々変化する生活の中で、何を優先するべきか?を間違えずに段取り良く行動出来れば、大抵のことはトラブル回避できます。
また、勉強ができるようになる為には「優先順位」と「段取り力」を身につける必要があります。それには、物事を広い視野で考えること、物事には繋がりがあることを見抜く力が必要です。
日常生活から常に優先順位を考える
何をするべきかを考える
生活する上で、きちんと段取りが出来ることはとても大切な事です。仕事であれば、通常業務・会議資料の作成・来客・電話等、やるべきことが沢山あります。そして、仕事の一つ一つに期日、時間があります。それを見極め、仕事をこなさなければ、クレームやトラブルに繋がることは言うまでもありません。
大人と同様に、子供も「何を一番に優先するか?」を常に考えることは大切です。学校から帰って、寝るまでの間の過ごし方もそうです。何をどういう順番でするべきか?宿題、お風呂、食事、TV、習い事、友達との約束、ゲームをしたい等。寝るまでに、何を優先さるべきかを考えなければいけません。
優先順位を間違ってしまうと、友人との約束でトラブルになることもあります。また、親からも「まだ宿題が終わっていないの?」と叱られることもあるでしょう。
優先させるべきは何か?を判断する方法は、「大事な事は何か」を考え、順位を付けることです。生活する中で常に順番を整理して、行動する必要があります。順位を正確につけることが出来れば、生活の中でのクレームやトラブルを未然に防げるようになります。
優先順位を見極める練習方法
「優先」とは、一番にすること、大切な事を見極めて、行動することです。子供に優先順位を判断させると、TV、友達との約束、ゲームなど、自分のしたいことが上位に上がるでしょう。大人は客観的、概念的に順序だてて理解しますが、子供はその反対で、主観的、直感的、飛躍的に物事を捉えがちです。
「自分のしたいこと」を優先するのではなく、「することで価値があるもの」を最優先するべきだと教える必要があります。子供はこの感覚を理解するのが難しく、正しく判断することが出来ないこともあります。
何を優先させるべきかを、きちんと判断できるようにするには、訓練していく必要があります。それは、物事を客観的・主観的に判断することです。何を優先すべきか書き出し、線引きして、整理していく方法です。
①客観的に見て大切な場合、二重線を引く(=)
②客観的に見て、まあまあ大事な場合、一重線(-)
③主観的に見て大事な事は波線(~)
宿題をすることは、学生の義務で大切なもので①に当たります。習い事は、自分がやると決めたことで②になります。TV・友達との遊ぶ約束・ゲームは③になります。
本を読むときにも同じように、①②③の様に線引きすることが出来れば、情報が整理され、何が大切かをきちんと頭で整理することができます。また、最重要な①が出来ていないのに、③の遊びばかりであれば、順番を間違えていると理解することが出来ます。
子供に「一番にするべきことは何?」と問い、客観的に見て何が一番大切かを判断させる。訓練を重ねていく事で、間違った判断を繰り返すことがなくなっていく事でしょう。
正しい判断かを一緒に考える
子供は自分の考えを優先して、間違った判断をしている場合があります。子供に「何から始めるべき?」と問い、正しい判断をしているか、間違えていないか、教えることも大切です。
例えば、テストを解く場合、ほとんどの子供がテストの第一問から解き始めるでしょう。しかし、「何から始めるべき?」の答えは「重要な物を優先」です。それならば、得点が高いものから解いていく必要があります。
第一問から順番に解くと、時間がなくなり、最後まで出来ない場合もあります。多くのテストは最後の問題に、配点の多いものが来ることが多いです。配点の大きい問題は、得点を取るために「重要な物」です。テストを始めて一番にする大事な事は、問題の全体を見て時間配分することです。
「配点の少ない問題」と「配点の大きい物」がある場合では、後の方から解くのが正解です。また、テストをする場合、うっかりミスを防ぐために、見直しをする事も大切です。名前の記入忘れや、答えは正解なのに解答欄を間違う。初歩的なミスが無いように、チェックする大切さを教えることも大切です。
また、決められた期限を守ることも大切です。大学に進学すると、決められた時間・期日までに提出しないと、受け付けてもらうことは出来ません。どんなにいい内容で完成してていても、単位がもらえずに卒業できない場合もあります。
子供が小さいうちは、お友達と物の貸し借りをすることもあるでしょう。約束までに返さず、借りたままでトラブルに発展する。そういった事の無いように、約束の期限はきちんと守る大切さも教えるべきです。
「今、一番にするべきことは何?」「今考えている、優先順位は何?」と聞いて、正しい判断ができているか、判断力を磨いてあげましょう。
自由時間を有効に過ごす工夫
小学生の睡眠時間の理想は、9~10時間と言われています。起床時間が7時なら21時頃には寝る生活リズムが理想です。学校から帰って必ずする事、食事・お風呂・宿題の時間を抜いた時間が、自由に過ごせる時間です。そう考えると、自由に過ごせる時間は限られたものです。
友達と遊ぶ・習い事・TVやゲームなどしたいことがあるとします。しかし、全部をこなすと21時頃に就寝することは難しいでしょう。そうなると、自由時間に何をしたいかを決め、時間配分することが大切です。
就寝時間は21時と決めたなら、自由時間はどれくらいあるか?を考えさせ、優先順位は何か?どういった段取りで過ごすか?を考えさせます。
「平日はゲームをしない代わりに、休みの日はゲームをする。」「習い事のある日は、TVは30分」など、子供が納得するルール作りをすると良いでしょう。食事やお風呂の時間を確保しつつ、余った時間で予定を組む習慣をつけます。
普段から段取りと優先順位を考えて行動していると、何かの予定を組むとき、何が一番大切で、何をどういった順番にするべきか、予定を組むスキルを養うことが出来ます。
段取りが身につくと要領が良くなる
段取り力のスキルを磨く
「段取り」とは、もともと歌舞伎の世界で使われていた用語です。歌舞伎の演目の区切りを「段」と呼び、お話の内容が途切れることの無いように、場面転換をしていきます。
場面転換は手際よく、効率が良いように工夫されています。段取りが良ければ八分方成功した、という意味で「段取り八分」という言葉があるくらいです。
農家の方は使い終わった道具を綺麗にして、手入れを怠りません。道具を常にいい状態にして、次に使うために準備をしておく。これも段取りです。段取りはもともと備わった才能では無く、常にどうすればいいのか?を考え、恵を使って工夫することで身に付くものです。
お米を作る農家の方は、ただ苗を植えるだけではなく、どうすれば美味しいお米が収穫できるか?土の状態はいい状態か?沢山収穫するためには、どうすればいいか?を工夫した結果、私たちは品質の良い、お米を食べることができています。
効率よく工夫出来る人は、段取り上手な人です。要領よく、勉強して結果を出せる人は「出来る人」と言えるでしょう。段取りが上手になるには、自分の意識で鍛えることが出来ます。磨けば磨くほどスキルアップ出来るでしょう。
段取りで思考力を刺激する
子供と映画を見に行ったとして、「映画はどうだった?」と聞くと、段取り意識のある子どもは「○○で○○な内容だった」と流れを説明することができます。しかし、漠然と見ている子供は「おもしろかった」「眠たかった」など簡単な感想しか話すことが出来ません。この二人を比べると、映画を見て吸収したものの違いがはっきり理解することができます。
段取り意識を持つ事は、生活をする上で重要なスキルです。例えば、家庭科の授業で料理をする時にも、この段取り意識は試されます。次に「何をするべきか」を考えながら調理できる子供がいると、その班の作業はスムーズに進むでしょう。
「ご飯を炊き上げるには時間が掛かる。だから一番初めにしよう。その間に、おかずを完成させよう。」頭の中で段取りを組み、色々な事を同時に作業します。また、完成する全体像や、怪我の無いように注意する事、どう切ればいいか?等、工夫して作業をしなくてはいけません。
生活する中で、段取りを整える必要がある場面がほとんどです。子供に頭の中で考えさせるだけではなく、声に出してアウトプットをさせて確認することも大切です。
お手伝いを通して、どのようにすれば要領よくできるかを意識させ、段取り力を身につけば、複数のことを考えるようになります。それは、思考力を刺激して頭の回転を速くさせることでしょう。
段取りで文章問題も解くことが出来る
小学校の高学年になると、算数の問題でも文章問題が出てくるようになります。計算式と違い、文章問題は入り組んでいるように感じるのかもしれません。しかし、文章問題も「段取り」で答える事ができます。
一つ一つ整理して、順番に考えていくと、思っていたほど難解に感じないでしょう。一番初めにすることは?順番を整理して、段取りが出来れば解くことができます。
複雑に感じた文章問題も、順番に切り取り、考えていくと難しいものではなくなります。また、不正解であったとしても、段階分けすることで、どの部分で間違えたかを知ることが出来ます。半分まで正解していたのであれば、50%は理解している。全く分からなかったわけではないと分かります。
間違いを繰り返すことで苦手意識を持つ事もあります。不正解であっても、「段取りが間違っていただけ。きちんと整理して考えれば出来る」と伝えてあげましょう。文章問題の手順を理解すれば、似た問題は簡単に解くことができるようになります。
文章を書く力と読解力を身につける
文章の組み立て方
文章を書くことを苦手と感じている人は少なくありません。しかし、文章を書くことも段取りをしていれば難しいものではなくなります。何もないものから文章を組み立てることは大変です。しかし、手元の資料をまとめ、文章を組み立てる作業をすると考えるとそれほど難しく感じないかもしれません。
作文や論文など、文章を書く場合、キーワードとなる素材を探します。そして、キーワードと近い自分の経験や知識をメモします。メモはきちんとした文章ではなく、思いついたままどんどん書き出していきます。次はメモを見ながら、どの順番に話を組み立てるか?起承転結を考え、順番を付けて文章を書きます。
読書感想文であれば、線を引きながら読むのが良いでしょう。
・客観的に見て大切な場合、二重線を引く(=)
・客観的に見て、まあまあ大事な場合、一重線(-)
・主観的に見て大事な事は波線(~)
この方法で進めれば、「=」や「-」の部分がキーワードとなる素材になります。「~」は主観的に面白いと感じたところです。どのように面白く感じたかを書けば、読書感想文の完成です。
記述式の問題も同じように、キーワードとなる素材をいくつか書き出します。その中で優先順位を付けて、キーワードに肉付けして文章を書く事で完成です。これは、資料の作成、報告書、論文など文章を書く時に共通する作業です。書けば書くほど組み立てる作業が速くなり、質が上達するでしょう。
文の組み立て方で人の個性がでる
まとまりのない情報を整理して組立てる方法として、川喜多次郎氏が考えたKJ法があります。キーワードを付箋に書き出し、順序を変え、グループ分けをします。グループ分けするには、どういう切口で分類するかを考えなければなりません。
例えば、CDを棚に整理する場合、クラシック・J-POP・洋楽などジャンル分けした場合と、50音順で並べるのとでは、全く違う並び方に変化します。何に重点を置くか?その人らしさが表れます。
本を書く事、作る事、全て「どのように整理して組み立てていくか」を考える必要があります。物事につながりを見つける力は思考力の「軸」となるものです。これは文脈を読み解く力です。
繋がりを見つけること
「優先順位」「段取り力」「文脈を読み解く力」が身に付くと、さまざまな場面で的を外すことがなくなります。それは、的確に物事に対応出来るようになるということです。また、文脈を読み解く力は勉強に置いて、理解する基本になります。
テスト問題でも、「この解き方は、前と同じ」と気づくことが出来れば、素早く解くことが出来ます。算数の公式を覚える理由もここにあります。歴史も時代の流れを把握して、どのような影響がいつあったのかを理解しなければいけません。
物事に対して繋がりを読みとく事で「優先順位」「段取り」の仕方が変わってきます。本質を掴み、計画的に物事を進められると、その先にあることを予測できるようになり、トラブルを回避することが出来ます。繋がりを読み取る力は、頭の良さの要です。
狭い範囲で物事を捉えてはいけない
どの教科を勉強するにも共通して必要なものは、読解力です。この文章の中で一番言いたいことは「何か?」「どうして?」と気づきながら読み進めていく事が大切です。本を沢山読めば、読解力が付くわけではありません。
読む時は、キーワードは「何か?」「どうして?」と繋がりを意識する事が大切です。また、読み終わった後に、どのような繋がりがあるのかを問題にしてみるのもいいでしょう。
ストーリーのあるものであれば、どんなものでも構いません。子供にとって、難しい内容の本よりも、興味ある漫画の方が考えやすいかもしれません。「あの時○○はどうして○○したのか?」「何がきっかけでそうなったのか?」と質問することで、考える力がつきます。
子供が小さいうちは、「○○はこういう気持ちだったね」と、親が違った考え方に気づかせる事もいいでしょう。子供と一緒に考えていく事で、意見を言い合えれば「見方の違い」に気付かせてあげること出来ます。
読解力を身につける為には、狭い範囲で考えるのではなく、広い範囲で考えることです。広い範囲で考える事が出来れば、全体像を掴めて、何を伝えたいのかを読み解く事が出来るようになります。
言葉を言い換えて、子供に気づかせる
普段何気なく子供に対して、私たちはよく「考えましょう」と声を掛けがちです。しかし、「考える」とは具体的に何を考えるべきか、子供には理解しにくい場合があります。「考える」を「工夫する」と置き換える方が、子供には理解しやすい場合があります。
例えば、テストを持ち帰って、間違った部分を見直すとします。
・「次に正解するには、どうすればいいか考えて」
・「次に正解するには、どうすればいいか工夫してみて」
「考えて」と言われた場合は、間違いを復習してからその先は・・。と頭がぼんやりしがちですが、「工夫してみて」と言われると、どうして間違えたのだろう?間違わないために次に出来ることは何だろう?と考える事が出来ます。
ケアレスミスなら、「落ち着いて計算しよう」「見直しをきちんとしよう」文章問題での理解不足であれば、「筋道を立てて、順序を間違わないように考えよう」「似た問題を何度も解いて練習しよう」と次に正解できるよう具体的な方法を見つけようとします。
「考える」の言葉は漠然としていて、子供には抽象的な言葉です。「どうすれば良い?」と伝えることで、「解決策を見つける」具体的な行動をとりやすくなります。
本質を考える
順位は常に変わる、切り捨てる勇気も必要
私たちは生活をする中で、何をするべきかを考えながら生活をしています。仕事や勉強をする時も、何を優先的にするかを考えながらすることが大切です。
ある経営者は、毎朝会社に着くと、その日にするべきことに優先順位を付けて一番のものだけに集中して仕事をするそうです。そして、次の日も同じように順位を付け、一番のものだけをします。
この経営者は一番に来る大事な事に集中して、翌日は残った二番目、三番目をするわけではありません。翌日も順位を付けて一番の仕事をする。毎日変化する大事なものに合わせ、余分なものに手を付けない方法を取られています。この方法は、常に「大事な物だけ」をしていくことになります。
「大事な事のみに集中する」この方法は一見簡単なように思えて、情報社会で生活する私たちにとっては難しいものです。二番・三番に手を伸ばさず、一番のものだけに集中することは、本当に大切な物を見極める、とても大切な感覚です。なぜなら、仕事でも日常生活でも、優先順位が変わることがほとんどだからです。
どんなことでも「優先順位・段取り」ばかりにとらわれると、物事をこなすことが目的になってしまいます。変化に気づき、優先順位もそれに応じて変えていく事が大切です。
優先順位を付けることは、見極める事に慣れてしまえば比較簡単なことです。経営学の権威ピーター・ドラッカー氏は「優先順位の決定は比較的容易であるが、問題は優先順位の低いものを捨てられない事にある」と言っています。
私たちは限られた時間の中で、全てのことをやろうとしてしまいがちです。そして、余計な事を切り捨てることが出来ずにいます。例えば、調べものにスマホで検索して、気が付くと何時間も使用していることもあります。
子供の習い事にも同じことが言えます。あれもこれも大事と言って習い事をしても、本当に大切な物を決められずに「ただこなす」になっては、習い事の意味がなくなります。本人の興味がないものは成果の出にくいものと考え、切り捨てる覚悟も必要です。
現代社会では、大量の情報の中から何が大切かを見分けることが難しいでしょう。しかし、限られた時間の中では、集中できる時間は短いものです。子供にとって「何を捨て、何を活かすか」親がよく考え、行動することが大切になってきます。
物事を複雑にしない、シンプルに考える
「あれもこれも、考えなければいけない」「忙しくて複雑だ」と言っている人は、きちんと頭の中を整理できていない状態かもしれません。
忙しくて複雑と思っている状態は状況判断を迫られる場合、決断の鈍さに繋がります。決断が遅れると、行動が遅れて最終的には中途半端に終わってしまいます。思考はシンプルが一番だと言えます。
勉強は、基本を理解することで応用問題が解けるようになります。東大出身のある女性タレントは、「私が東大に入学できた理由は、過去問を復習したことにあります。間違えた過去問を整理して、確実に理解する。きちんと理解出来れば、類似問題を解くことは容易です」と話していました。
問題集は繰り返し解くことで、理解が高められます。今やるべきことは、過去問を解き、確実に理解していく。理解するのに時間が掛かっても、一問一問を大切にする。シンプルな思考で勉強した結果、合格できたというわけです。
私たちの心の中には、常に不安があります。不安を払拭して、大事なものに集中して邁進できれば、思惑・誘惑に惑わされず結果を出すことが出来るでしょう。
更新日:2019/11/29|公開日:2017/12/10|タグ:思考