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米飯給食推進運動「給食の主食を全てご飯に!」

給食

あなたのお子さんの給食献立表を見てみてください。今の時代の給食のメニューは、実にバラエティに富んでいます。おかずもさることながら、主食にもいろいろなものが取り入れられています。

 

白いご飯だけでなく、パンやうどん、スパゲッティ、やきそばなどもあります。パン一つとってみても、揚げパンやブドウパン、ココアパンなどいろいろな種類があります。

 

学校給食の主食について、ある運動があることをご存知でしょうか?どんな運動なのか詳しく見ていきましょう。

 

給食の主食をめぐる運動と、それが起こったわけ

日本の学校給食の主食は、ご飯だけではありません。パンや麺類など、いろいろなものが主食として出されています。この主食のあり方に疑問をもつ人たちが中心となって、学校給食の主食を全てご飯にしよう!」という運動を起こしました。この運動が起こった背景には、どんなことがあったのでしょうか。

 

最近ではダイエットを意識して、ご飯を減らそうとする人が増えてきているそうです。減らすというよりはほぼ食べないという人さえいます。そして、ご飯を食べないでおいて、ご飯よりは軽いと思うのか、パンを主食としたり、お菓子やフルーツは通常通り食べたりしている人もいるのです。

 

主食であるご飯を全く食べずに偏った食生活をしていれば、いずれ体を壊してしまうため、このダイエットは危険だと言う人もいます。さらにその食生活に何の疑問をもたなければ、ダイエットをしている本人のみならず、その子供にまで悪影響を及ぼすだろうと予想されます。

 

ご飯は抜いてお菓子や果物で補おうとするのはよくないことだと、誰もが思うことのようで実は違うようです。というのは、テレビ番組や新聞、雑誌などを通して、たくさんの専門家の方々が栄養の摂り方について伝えてくれているにもかかわらず、乱れた食生活を送る人はあまり減っていかないのです。

 

これはなぜなのだろうと考えた専門家たちの中には、学校給食のあり方を考え直さなければならないのではないか、と考える人が出てきました。学校給食だけが原因ではないが、学校給食が子供に与える影響は非常に大きいと考えたのです。

 

日本の小学校では給食が出されます。中学校でも給食が出るところがあります。幼稚園によっては、お弁当ではなく全給食、あるいは週に数回は給食であるというところもあります。

 

そうなると、少なくとも6年間、長ければ12年間、子供たちはほぼ毎日給食を口にして育つのです。その影響はやはり大きいと言わざるを得ません。給食によって味覚が育ち、栄養に関する知識を身に付け、食に対しての意識が育つと言えるのです。

 

食生活についての考え方はいろいろですから、学校で出される給食のメニューを知って、子供には食べさせたくないと感じ、お弁当を持たせる人もいます。それは子供の体にとって良いことなのかもしれませんが、一方では、子供は友だちや先生の目を気にして、給食の時間が辛いものになるかもしれません。

 

とすれば、やはり給食の方が変わるべきでしょう。そこで、日本人はご飯を中心にした和食を食べるべきという考えの人たちの中から、まずは給食の主食を全てご飯にしようという運動が始まったのです。

 

給食の主食をご飯にすることで、日本の子供の食生活を変える

1997年の調査によると、東京都のある小学校では、米飯給食の日は全体のおよそ1/3でした。ではご飯以外に何が主食になっていたのかというと、圧倒的にパン類が多かったのです。これでは日本人のご飯離れがどんどん進んでしまうと指摘する人もいました。

 

現代の給食には、日本各地の郷土料理や、いろいろな外国の料理が出されます。また、子供が好む野菜なら旬でなくても頻繁に出てきます。その給食を当たり前に食べて育った大人たちは、おそらく和食だけでなく各国の料理を作り、食べるようになるでしょうし、自分が生まれ育った土地の食材や料理、また、旬の食べ物などについてもよく知らないままでしょう。

 

日本の給食には様々な課題があります。センター給食の是非、食品添加物や農薬使用の問題…。その中の一つに、日本の給食であるにもかかわらず、ご飯が出る回数が少なく、洋食が多いという問題があるのです。日本食といえばやはりご飯。それなのに、その日本の子供たちが毎日のように口にする給食は、主食がいつもご飯というわけではないのです。

 

ご飯が主食ではない食事をとるのが普通になってしまったら、日本人の食生活は変わってしまいます。そのことを危惧した人たちによって、給食の主食を全てご飯にしようとする運動が始まりました。

 

それから10年以上たつと、給食にご飯が出る回数がかなり増えました。中には給食の主食は毎日ご飯という自治体もあるくらいでした。主食がご飯になりさえすれば、給食の質はグンと向上します。

 

なぜなら、自然とおかずも和食になるため、魚料理の回数もふえますし、日本ならではの旬の野菜を使った料理も供されるでしょう。それに、もともと和食は洋食に比べて油の使用が少ないため、油脂類の摂りすぎも防げるのです。

 

給食の主食が変わるというのは、日本人の子供の食生活において、とても意味のある事だったのです。

 

なぜ給食の主食をご飯にするのか、その理由が大切

20年近く前の給食は、ご飯よりもパンや麺類が主食になることが多かったようです。しかし、そのことを問題視した人たちや政府の機関、農協などによって、日本人はもっとお米を食べようと働きかける動きが見られました。

 

その働きが功を奏して、10年もすると給食にご飯が出る回数がだいぶ増えました。平均して週に2回以上にまで増えたのです。しかしその背景を考えると、手放しでは喜べませんでした。

 

2005年に行われたある調査によれば、給食にご飯が出る回数は、米がよくとれる地方ほど多く、そうではないところでは少ないという結果が出ています。つまり、給食にご飯が出る回数が増えたのには、米が余って困るからという理由もあったのではないかと思われるのです。

 

とすれば、都会など、米がとれない地域の子供たちは、引き続き給食にご飯よりもパンや麺を多く食べなければならないことになります。これは大きな問題です。

 

一体、給食の目的というのは何なのでしょうか。給食を通して子供たちに伝えるべきことというのは何なのでしょうか。終戦後に導入された栄養教育を、もう一度振り返ってみましょう。

 

戦争が終わった後、日本人の栄養状態が非常に悪いと指摘されたことから、ご飯よりもおかずをたくさん食べよう、たんぱく質をしっかりとり、いろいろな食べ物を幅広く食べようと呼びかけられるようになりました。そのため、今の給食はとてもバラエティに富んだメニューになっています。

 

しかし、他の国の給食を見てみると、そんなにいろいろな国の料理が出ているわけではありません。ほとんどの国が、自国で主に主食としているものを、給食でも出しています。パンが主食であれば給食の主食もパン、パスタが主食の国なら給食もパスタが主食なのです。

 

でも日本は違います。日本食の主食といえばご飯であるにもかかわらず、給食となるとご飯よりもパンが多いのが現状なのです。

 

その国でとれたものを食べ、その国の特徴にあった料理を食べるというのは、とても自然なことであり、なぜそうするかといえば、それがその国の人の体に合っているからです。パンやパスタを多く食べることで、日本人の子供が健康になるかと言うと、そうではないのです。

 

給食で食べられるパンの多くは、輸入してきた小麦粉で作られていますから、ポストハーベストの心配があります。それだけではありません。パンに合うおかずは洋食です。となると、肉類や肉の加工品、乳製品の摂取が増えることになります。さらに、洋食は日本食よりも油を多用しますから、油脂類もたくさん摂ることになります。また、主食をパンにしてしまうと、日本食である焼き魚や煮物、浸し物などから遠ざかります。

 

日本人が、昔から食べてきた伝統食から遠ざかり、日本の風土に合わない食生活をしてきた結果、アレルギーを持つ子供や虫歯になる子供が増えてきたとも言われています。

 

昔の子供たちはこのような症状に苦しむことが少なかったのです。それは、ご飯と味噌汁、旬の野菜類や魚介類といった、日本人の体に合った、昔ながらの日本食を食べていたからだというわけです。

 

米が余ると困るから、という理由で、給食の主食をご飯にするというのは、給食の目的には沿わないものです。給食は、子供たちを健康に育てるもの。ですから、子供たちの健康のためを考えて、給食の主食をどうするかという問題を考えていくべきでしょう。

 

給食が和食になれば日本の食が改善される

ご飯は、昔からずっと給食の主食として登場していたわけではありません。日本の食料の事情から、パンばかりを主食にしていた時代もありました。それが、昭和50年に米飯給食が開始され、給食にご飯も出るようになったのです。

 

米の消費を増やそうという政府の考えによるものでした。これには助成の制度があり、当時の農林水産省から安い政府米を買うことができたので、その後30年もたつと、ほとんどすべての学校で、給食にご飯が出るようになりました。

 

すると、米飯給食は達成されたとして、政府は給食への補助を徐々に少なくし、最終的には制度そのものがなくなってしまったのです。安い政府米が手に入れられなくなったわけですが、その代わり、生産者のはっきりした、地元でとれた米を給食に出すようになってきました。

 

さらに、米だけでなく野菜など他の食材も、近隣でとれたものを使うところが増えてきました。農薬の使用を抑えた野菜を近くの農園から届けてもらっている学校もあります。地産地消というわけですね。素晴らしいことです。

 

ところが、近隣で野菜がとれないような都会の学校ではそのようなことはなかなかできません。都会の栄養士にとっては、農村部のやり方がとてもうらやましいことなのだそうです。しかし、健康な体を作る給食にすることは、本当に都会では難しいことなのでしょうか。

 

確かに、農村部に比べて都会では、給食にご飯が出る回数が少ない傾向にあります。でもそれは、近くから簡単に米を手に入れられないからという理由だけではないようです。なぜなら、政府からの助成があった時からすでに、都会の給食でご飯が出る率が低かったからです。もっとご飯を食べようという運動も、あまり目立つものではありませんでした。

 

都会にも、安全な給食を食べさせるとして有名な学校はあります。その学校では確かに無農薬や食品添加物不使用の食材にこだわってはいますが、その材料で何を作るかと言うと、和食ではなく世界各国の様々な料理なのです。これでは費用も手間もとてもかかることでしょう。

 

このことから分かることは、栄養士を始めとした多くの人たちが、給食には安全な食材を求めているということであり、その食材を使って何を作るかということにはあまり関心を持っていないのではないかということです。彼らは欧米の食生活を習った栄養学をもとに、当然のように洋食中心のメニューで給食を作っているのです。

 

都会では確かに、新鮮で安全な材料を近隣から求めることは容易ではありません。でも、ご飯に味噌汁、野菜や魚のおかずといった、日本人が昔から食べてきた和食を作ることはいくらでもできるはずです。健康的な体を作る給食は都会でも作れるはずです。

 

それに、給食を和食にすれば、自然と安全な食材を使うことにもなります。パンを主食にすれば食品添加物の心配は必ずついて回ります。でも米ならそんな心配は無用です。

 

また、パンが主食だとそれに合うおかずも肉や肉加工品が多くなりますが、それにも添加物はつきものです。ご飯に合うおかずであれば、焼き魚や漬物、浸し物などですから、添加物の心配はありません。

 

つまり、メニューが洋食のままで食材を安全なものにしようとすると大変になるけれど、和食にすれば簡単に安心素材で給食を作ることができるというわけなのです。

 

また、給食のメニューを和食にすると、日本の食料自給率を上げることも期待できます。日本の食料自給率をご存知ですか?平成26年度の日本の食料自給率は39%。フランスは129%、アメリカは127%という数値と比べて見ると、先進国であるにもかかわらずこの自給率の低さは驚くべきことだと言えるでしょう。

 

輸入食材が多いということは、それだけ食品添加物や農薬などの心配が高まるということです。もちろん、そのような食材を使わないようにするのも大切ですが、洋食中心の現代日本の食生活を変えることで、輸入食材の利用が減るということを理解すべきです。

 

日本人の食生活を改善させるのに一番よい方法は、学校給食を変えることです。給食の主食が全てご飯になれば、おかずも和食になり、健康な体作りができます。そんな給食を食べて育った子供は、大人になってもやはり和食中心の食生活を送るでしょう。そうなれば、日本の農業はもっと安定しますし、ひいては自給率もあがっていくはずです。

 

給食の主食を全てご飯にすることは、決して不自然なことではありません。逆に、大人である私たちが、昼はいつもパンを食べなければならないと決められたとしたらどう感じますか?そんなにいつもパンばかりでは…と思うことでしょう。

 

しかし今の給食の現状は、それと同じです。毎日パンということはないにしても、ご飯よりもパンや麺類が多いことはよくあるのです。

 

子供たちが、そして日本人全体が健康な体になるためには、給食の主食を全てご飯にすることが、一番の近道なのかもしれません。

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