母乳とミルク、脳の発達に良いのはどっち?
赤ちゃんが生まれてから最初に学ぶことは、お母さんのおっぱいをさがすことです。赤ちゃんがどんなふうにこの最初の学びを行っているのかについて見ていくとともに、母乳とミルクはどっちが良いのか考えていきたいと思います。
赤ちゃんが生まれて最初に学ぶこと
人間の赤ちゃんは動物の赤ちゃんに比べるとかなり未熟な状態で生まれてきます。生後2ヶ月目あたりまでは脳もまだ完全にできあがっておらず、自らの意志で体を動かすこともほぼできません。
この時期の赤ちゃんは最低限の反射による運動だけをすることができ、これらを原始反射と呼びます。反射というのは、特定の刺激に対して意識されることなく動く生理作用のことで、大脳と関係なく発生するかなり原始的な作用のことです。
主立った反射の中でもっとも大事なものとして吸啜反射というものがあります。この反射は、赤ちゃんの口元に指や乳首などを持っていくとちゅぱちゅぱと吸い付こうとする行動のことです。また、口角や頬のあたりを指などで触れたりつついたりすると、それを追いかけて探すように口に含もうとする行動を取ることがあります。これを追吸反射といいます。
こうした行動により、赤ちゃんは口の周辺に乳首が当たった時にそれを探し当てて吸い付き、おっぱいを飲むことができるのです。生きるために必要な行動を取れるようになっているというわけです。
生まれてすぐの頃は口のすぐそばまで乳首をあてがってやらないと上手に吸い付くことができませんが、しばらくすると口の周辺に当たっただけで口を回して乳首をくわえることができるようになり、2週間から3週間もすると自分から顔を乳房に押しつけて乳首を探すような行動を取り始めます。
また、生まれてすぐの頃は口に当たったものを乳首でも指でもくわえて吸い付きますが、そのうちに乳首とそうでないものとの区別がつくようになり、乳首以外のものを吸わなくなってきます。
こうした行動は、単なる反射による行動ではなく、自分で外界に反応してきちんと行動ができるようになってきたことを示しています。つまり、赤ちゃんは生まれて初めて学習し、それによって適切な行動を取るようになったのです。
このため、赤ちゃんにおっぱいをあげるというのは赤ちゃんの肉体に栄養を与える以上の意味があるといえます。赤ちゃんの脳の発達という意味でも、お母さんが赤ちゃんの口まで乳首を持っていくのではなく、赤ちゃんが自分で乳首を探して吸い付くことができるように見守ってあげることが大事になってくるのです。
母乳があまり出ずに粉ミルクなどを使うような際にも、赤ちゃんの口にほ乳びんをいきなりくわえさせないで、口の周辺をほ乳びんの乳首でつつくなどし、こうした赤ちゃんの学習を促してあげましょう。ほ乳びんから飲ませる時にも、お母さんの乳首のそばに持ってきて乳首を探させるようにするのも効果があります。
母乳は赤ちゃんのための最高の栄養食品です
赤ちゃんの脳の発達に関する効果という点を抜きにしても、お母さんが赤ちゃんに母乳を与えるということには粉ミルクなどを使うよりもいい面がたくさんあります。母乳はどんな人工栄養よりも優れているからです。
赤ちゃんが生まれてから2日から3日の間に出る母乳は初乳と呼ばれており、それ以降の母乳よりもタンパク質が豊富でカルシウムやビタミンも多く、赤ちゃんが消化しやすいかたちのものとなっています。
初乳は摂取する量が少量でもカロリーが高く、赤ちゃんの体が発達する際に必要となってくる栄養分のすべてを含んでおり、まだ消化がうまくできない生まれたばかりの赤ちゃんにとって理想的です。また、初乳には赤ちゃんが病気になりにくいようにしてくれる免疫抗体も入っています。
初乳の次に出てくるようになる母乳は牛乳よりも乳糖が豊富です。乳糖は糖分ですので吸収しやすく、また赤ちゃんの脳の活動をサポートしてくれます。
人工の粉ミルクなどの場合、こうした点を補うために乳糖が強化されています。しかしやはり粉ミルクなどを飲ませていると乳糖が不足気味になりますので、5%から8%程度の乳糖を加えて赤ちゃんに飲ませるようにした方がよいでしょう。
粉ミルクと比べると母乳は赤ちゃんが消化しやすいだけでなく、母乳でアレルギーが起きることはありません。また母乳には神経系を構成する細胞のうち神経細胞ではないもの(グリア細胞といいます)の材料になる不飽和脂肪酸が多く含まれています。
このように、母乳は赤ちゃんに必要な栄養素がすべて含まれ、かつ消化もしやすいという赤ちゃんにとって理想の食品となっているのです。
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更新日:2019/11/29|公開日:2015/03/12|タグ:母乳