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やるべきことを自らすすんでやる子になるためのアイデア

自主的行動

子どもが小さい頃は、親が何でもやってあげなければなりませんから、親は大変です。そのくらいの時は、「小学生になれば、自分の事は自分でやってくれるだろうから、きっと楽になるだろう」と思っているものですが、実際にそのような年頃になっても、ちっとも楽にならないと感じている方も多いのです。それは、自分でやってほしいことを、子どもはなかなかやろうとしないからです。

 

「帰ってきたら手を洗いなさいと何度言えばわかるの!」「またこんなに学校からの手紙をためて…。ちゃんとその日のうちに出さなきゃダメでしょ!」…このようなお小言ばかりが増えて、ほとほと疲れてしまうのです。そこで子どもが自ら行動するようになるアイデアをいくつか紹介したいと思います。

 

動かしたいとき効果的なのは声かけよりも写真や絵

学校から帰ってきた子どもに対して、いちいち「さあ、手洗いうがいをして。終わったら学校からのお手紙を見せなさい。明日の準備は終わったの?それが済んだら宿題よ」などと言っていたら、親も子どももすっかり疲れてしまいます。親が何も言わなくても、子どもがやるべきことに気づいて、自ら行動するようにしたいものですね。

 

そんな時には、親の声かけのかわりに、帰ってからやることリストを紙に書いて貼るという方法を、ぜひやってみてください。帰宅後にやることに関して言えば、「①手洗いうがい②学校からのお手紙を出す③次の日の準備をする④宿題をする」と書いて壁などに貼るわけです。

 

これだけでも声かけはぐんと減りますが、効果を持続させたいなら、文字ではなく絵や写真で表して、それを貼っておくことをおすすめします。絵本のコピーを使ってもいいですし、手書きでももちろんかまいません。最近はネットから無料でダウンロードできるイラストもたくさんありますから、それらを利用してもいいでしょう。

 

そのようにして、子どもに自らやってほしいことの絵や写真を集め、それらを、やってほしい順に並べて紙に貼っていきます。パソコンが得意なら、はさみやのりを使わず、全てパソコン上で作れば楽ですね。それを、帰ってきたらまず見るような場所に貼っておくというわけです。

 

ここで、なぜ絵や写真の方が効果を持続させるのに適しているのかを説明しておきましょう。それは、当たり前のようですが、文字で表すよりも絵や写真で表した方がすぐに理解できるからです。

 

それは別に、子どもの世界にだけ通用する事実ではありません。デパートの中では絵でトイレやエレベーターなどの表示がされていますが、こうすることで日本語を読めない人でもすぐに探せます。しかし日本人であっても、そして大人であっても、絵のほうが分かりやすいのです。絵や写真で表されると、一瞬でそれらが表している情報を理解できるからです。

 

これがもしも文字だったらどうなるでしょう。「文字でも絵でも、判断する時間は同じでしょ」と思いますか?確かに、普通にしている時ならそうかもしれません。でも、車の運転中など、素早い判断が求められる時だとしたらどうですか?

 

道路標識が「ここからは一方通行です」「車はここを通れません」などと文字で書かれていたら、まずはその文字を読んで理解し、それから車をどう動かせばよいか判断して、やっと実際に操作することになります。しかしそれでは判断が遅すぎて、事故につながるかもしれません。絵や図で表示してあるからこそ、一定の速度であっても即座に判断し行動することができるのです。

 

絵や写真が効果的に働くのは、素早い判断が求められる状況下だけとは限りません。先ほどの、帰ってからやることリストの事に話は戻りますが、これがもし、文字で書いてあっただけだとどうなるか。きっと始めはきちんとやることでしょう。しかし時がたつにつれ、「何か書いてあるな」としか認識しなくなり、書かれてあることを行動に移そうとする作業が脳の中で行われなくなって、結局やらなくなってしまうことが多いのです。

 

その点、絵や写真で表示されていれば、一瞬にして自分がやるべき行動に結びつきます。後は実行するだけですから、行程が短くて済むため、より効果が持続するというわけなのです。子どもにやるべきことを毎日きちんとやらせたいなら、絵や写真を使ってやることリストを作り、はるのが一番です。

 

実はこのやり方は、子どもたちが毎日過ごす幼稚園や保育園、学校ではすでに取り入れられている方法です。黒板の上に、きちんと背筋を伸ばして座っている子どもの絵や写真が、よく貼られていますよね。「背筋をぴんと伸ばして座りましょう」と文字で書くよりも、ずっとわかりやすいからです。

 

発達障害のある子どもには一般的によく使われている方法ですが、障害があるなしに関わらず、絵や写真は分かりやすいのです。子どもたちの教育現場で取り入れられている方法を、ぜひお家でもやってみてほしいと思います。

 

まずは、絵や写真を準備することから始めましょう。手洗いをしている絵や写真、宿題をしている絵や写真…。手描きでもどこかから引っぱってきたものでも、何でも構いません。パッと見てどんな状況を表しているかが、子どもに分かればそれでよいのです。気楽に取り組んでみてください。絵を描くのが好きなお子さんなら、親子で一緒に描いても楽しいものです。

 

なかなか絵や写真を探せない、自分で描くのも苦手…という場合は、とっておきの方法があります。それは、我が子をモデルに、そのことをしている写真を撮ってしまえばいいのです。手洗いをしている子ども、宿題をしている子ども、お手紙を渡そうとしている子ども…それらを写真に収め、それを使って表示すればよいのです。

 

そんな時間もない、という方は、まずは文字でやってみましょう。写真や絵は後で時間のある時につけたせばよいのです。これだけでも、毎日口出しするよりもずっと楽になりますし、ずっと効果が出るはずです。

 

子どもが自然とやるべきことをやるようになる「役割演技」とは?

子どもに毎日「○○しなさい」と小言を言い続けるよりは、やるべきことを紙に書いて貼り、それを見て気付けるようにする方が、よほど楽ですし、確実に子どもが動くようになります。これは、子どもの頭に働きかけるやり方です。

 

方法は他にもあります。それは、体に働きかけるやり方です。そのやり方は「役割演技(ロールプレイング)」という方法です。読んで字のごとく、一人一人が役割をもち、その人になりきって演技をするのです。子どもにとってはごっこ遊びの延長のようにやれるので、楽しみながら身に付けることができます。

 

実際にどのようにやっていけばよいのかをご説明しましょう。例えば、回覧板を届けるなどの用事があって、他の家の人と話す時のマナーを身につけさせたい場合。お子さんは回覧板を届けるように頼まれた子ども役、お母さんは届けられる側の家の人になりきって演技しましょう。

 

お子さんにその状況を説明して、他の家のチャイムを鳴らすところから演技を始めます。お母さんは「は~い、どちら様ですか」とインターホン越しに尋ねます。ここからやり取りが始まります。子ども自身が考えながらセリフを言っていくのですが、もっとこうしたほうがいいなと思ったら、教えてあげましょう。

 

例えば、「回覧板を届けに来ました」と子どもが言ったら「ちゃんと要件を言えたね。その前に『隣の○○ですけど』と名乗るともっといいよ、やってごらん」という具合に。

 

「まあ、ありがとう。そうだ、おいしいりんごがあるのよ。ごほうびにあげるから持っていってね。」などと続けてもいいですね。子どもが「ありがとうございます。」と言って立ち去ろうとしたら、「ちゃんとお礼を言えて偉いね!失礼します、とかさようなら、とか言ってから帰ってこようね」とあいさつも教えてあげます。

 

このようにして、他の人とのやり取りを練習することを通して、他者とのコミュニケーションのとり方に関するしつけをしていくわけです。

 

もしもあなたのお子さんが、自然とこのような話し方を身につけているようなら、わざわざやらなくても結構ですが、日頃からそこに課題があると思われるなら、ぜひやってみてください。

 

役割演技で子どものコミュニケーション力をつける!

うちの子はどうもよその人に対して挨拶がうまくできないな、電車など公共の場でのマナーが身に付いていないな、と思った時、くどくどと注意するよりは、役割演技をやってみた方がうまくいきます。親がよその人役や電車に乗り合わせた乗客役をし、子どもがその場に居るとして、演技してみるのです。すると、コミュニケーションのとり方を体で学ぶことができます。

 

つまり、人とのかかわり方についてのしつけを、役割演技という方法で身につけさせるわけですが、この役割演技、しつけたいときにだけ効果を発揮するのではありません。子どもは様々な人とのかかわりの中で生きていきますが、そのすべての場面の練習に有効なのです。

 

例えば、我が子が友達に、下校時の寄り道に毎日誘われていて、それを断れず困っているとしましょう。まずは、言いたいことをはっきりと言う練習をしてみようと、役割演技を持ちかけます。お母さんが友達役をするから、寄り道に誘われたら断ってみてね、などと話しましょう。

 

そして学校からの帰り道だという想定で、演技をスタートさせます。「今日の宿題難しそうだね」「明日は水泳楽しみだね」などと話しつつ、親は子どもを寄り道に誘います。「あ、公園だ。ねえ、ブランコしようよ!」

 

「う~ん、でも…」「楽しそうだよ!ちょっとだけだから!さあ行こうよ!」「でも…寄り道はいけないから…」「すぐに帰るよ。少しならいいでしょ?」「…家に一度帰ってランドセルを置いてから、この公園で待ち合わせしよう。そうしたら、いっぱい遊べるから」「そうか、そうだね!そのほうがいいね!」…という具合に、会話を重ねながら、子どもなりに断り方を考えることができるでしょう。

 

終わったら、「一生懸命考えてちゃんと断れたね、えらいよ!」とほめてあげてください。また、役割演技はもともと、自分以外の人や物になりきって演技することで、他者を理解するために行われるものです。ですからこの後、今度は子どもがその友達役になってやってみると、自分の断り方を客観的に見られて、より伝わりやすい断り方を知ることができるでしょう。

 

役割演技は、実際の場面を想定して練習するため、イメージが体に焼き付けられ、本番でもスムーズに動けるようになるのです。「きちんと練習したのだから。練習の時はうまくいったのだから」という思いが、怖気づく自分を励ましてくれるというわけです。

 

友達とのかかわりの中では、迷ったりうまく伝えられなかったりすることがたくさん出てくるはずです。喧嘩して仲直りしたいのにどう言ったらよいかわからない、嫌がらせに対してはっきり「やめて」と言えない…などなど。

 

友達に対しての話し方、対応の仕方に不安があるようでしたら、役割演技で練習させてみましょう。少しずつ、友達とのコミュニケーションの力がついていくはずです。

 

友達とのコミュニケーションだけではありません。もっと他の場面でもこの役割演技を利用してみてください。例えば、電話での話し方を教えたいとき。親は相手の家の人役です。「○○さんと同じクラスの□□です。○○さんはいますか?」と話し始めるように説明し、練習しましょう。

 

そしてもしも不在だったときのことも想定して、練習しておけばもっといいですね。「それではまた後でかけなおします。何時ころ戻られますか」とか「すみませんが、○○さんに伝えていただけますか?」など、その時の状況によって話すことを決めておき、練習しておけば、いざ電話したとき途中で困って黙ってしまうこともなく話せるでしょう。

 

子どもが誰かに対してうまく対応できるかなと心配な時は、どんなことであれ、この役割演技が効果を発揮してくれるでしょう。また、下校途中で地震が起きたらどう動くか、ということも、役割演技を応用して練習することができます。とっさの場面では、なかなか正しい判断ができず、右往左往してしまうことがほとんどです。しかし、普段から練習しておけば、いざ緊急事態になった時にも、スムーズに動きやすくなるでしょう。

 

この役割演技は、実際に教育現場でもよく用いられています。また、不審者対策として役割演技を取り入れている団体もあります。インターネットで検索すると、役割演技のやり方の詳細や、用いられ方について調べることができます。家庭でも気軽にやってみてはいかがでしょうか。

 

交通ルールは体で覚えさせよう!

子どもが小学生になり、親と離れて登下校するようになると、心配になるのが交通事故です。事故に遭わないためには、道路の右側を歩く、交差点では左右確認をする、など、いろいろな交通ルールを身につけなければなりません。

 

しかし、いくら交通ルールを口で説明してもうまくはいかないもの。子どもは頭では理解できても、なかなか行動に結びつかないことが多いのです。こんな時は、実際に体を動かして、交通ルールを守る練習をしてみるといいでしょう。

 

登下校の交通ルールを守らせたいなら、通学路を実際歩いてみます。ここでは道路の右側ではなく歩道がある場所を歩こう、ここは狭い道だから車が来たら進まずに止まっていようなど、その場に応じた歩き方を考えることができます。

 

もちろん、学校や幼稚園などでも、交通ルールについての学習をしているはずです。しかしそこでは一般的な道の歩き方しか学べませんし、一人一人丁寧に教えられることはありません。ですからこういうことこそ、家庭内でじっくりと取り組むべきなのです。

 

何度も繰り返し練習すれば、子どもは登下校の際の交通ルールを体で覚えることができます。同じように、習い事に行くまでの道や、友達の家に行くまでの道も練習するとよいでしょう。また、一緒に出掛けた時はチャンスです。この道はこのようなところが危険だということを、その都度教えてあげましょう。必要なら時間をとって練習もするとよいですね。

 

子どもは、何かに夢中になっていると他のことが見えなくなります。ですから、子どもはよく道路に飛び出して事故に遭うのです。練習中はそれに集中していますから飛び出さないかもしれませんが、時々、飛び出しをしたらどうなるかということも考えさせながら練習してください。それを繰り返すことで、実際に一人で歩いている時にも、飛び出しをしないよう心がけることができるようになるでしょう。

 

しつけの際には、言葉での説明に体を使った練習をプラス!

大人でもそうですが、ただ言葉で「このような時には○○をしてね」と言っただけでは、実際その場面になった時にその言葉通りに動くのは難しいものです。子どもならなおさらのことでしょう。ですから、何かを子どもにしつけたいと思ったら、言葉での説明に、体を使った練習をプラスしてみてください。体で覚えさせるということです。

 

例えば、友達に本を渡す時。表紙の文字が友達の方に向いていた方が親切ですね。物の渡し方という点でははさみも注意が必要です。これらは実際にやってみると身に付きやすいものです。

 

刃物の安全な使い方を教えるときにも、危ないからと言って言葉だけで説明するよりは、実際に包丁で野菜を切らせてみて、「包丁を置くときは刃の部分を向こう側に置くんだよ」という説明を聞きながら、自分でやってみると、次からもそのように置くことができるでしょう。

 

帰宅後、玄関に入った時も練習のチャンスです。よその家の玄関に入ったという想定で、「お邪魔します」という挨拶から、靴の揃え方など、実際にやらせてみれば、いろいろなことを学ばせることができます。

 

おじいちゃんやおばあちゃんが遊びに来たことを想定して、「いらっしゃい!」「こんにちは」などのあいさつ、スリッパを出してあげたり、重そうな荷物を運んであげたりといった気配りなどを練習させておけば、実際おじいちゃんやおばあちゃんが来た時にもやってあげられます。きっととてもほめられて、ますますこれらの動作が身に付くようになるでしょう。

 

雨が降った時のおでかけ中も、いろいろな練習ができます。傘をくるくる回しながらさして歩くことを、子どもはよくやりますが、それだと近くの人に水滴が飛んでいってしまいます。「水がかかって冷たいわ。傘は回さないでね」と説明しつつ、実際にやらせて練習しましょう。外に出た時の傘の開き方、建物内に入った後の傘の畳み方についても同様です。

 

それから、外を歩いている時に不審者に遭ってしまった場合、頼りになるのは近くにあるお店や知り合いの家、子ども110番の家などです。子どもがよく歩く道沿いにこのような店や家がどこにあるのか、親子で実際に歩いて確かめておきましょう。

 

そして、可能ならそのお店や家に、実際に入ってみましょう。ここには入っても良いと知っていても、実際緊急事態に陥った時に、遠慮して入れなかったのでは意味がありません。個人の家の場合は、「練習させてください」「これからもよろしくお願いします」とお願いすることも忘れずに。相手もその方が、いざという時に助けてあげやすいはずです。

 

言葉で説明しただけではなかなかその場で行動に移せないことは、このほかにもまだまだたくさんあるはずです。そのような時はこのように、体で覚えさせる練習を加えてみてください。きっと身に付くはずですよ。

 

親の愛情を感じていれば、子どもは自ら危険な道には入らない

親であれば誰だって、子どもを危険な目には合わせたくないし、悪い道に踏み入れさせたくないものです。ですから、日頃から危ないことややってはいけないことはきちんと説明しておくべきですし、それに加えて実際に行動して練習してみる必要があるのです。

 

しかしそれでも、親がいない時に実践できるかが問題です。常に子どものそばにいて見張っていれば、子どもは安全かもしれませんし、道を踏み外すこともないでしょう。けれども実際問題そんなことはできません。ですから、親から離れた時に、親から教わったことをきちんと思い出せるかどうかが大切なのです。

 

どうしたら、親がそばにいなくても、危険なことをしないでいられるか、悪いことをせずにいられるか。それは、親からの愛情を実感することです。「お父さんやお母さんは自分の事を大切に思っていてくれる。自分がこんなことをしたら(危険な目に遭ったら)きっとお父さんやお母さんは悲しむだろう」そう考えることが、心のストッパーとなってくれるのです。

 

ですから、危険なことをしないよう、悪いことをしないよう説明しながら練習している時、ぜひとも、子どもが「自分は愛されているんだ、心配されているんだ」と感じられるような言葉をかけてあげてください。例えば「大事なあなたが事故に遭ったら、お母さんは死ぬほどつらくなる。だから、絶対に気をつけるんだよ」「あなたが大好きだから、もしも悪いことに誘われたらどうしようと、いつでも心配しているんだよ」という具合に。

 

このような言葉をたくさんかけられた子どもは、実際に危険な目に遭いそうになった時や悪いことをしそうになってしまった時に、両親の顔が思い浮かぶことでしょう。「自分を大切に思っている人たちを悲しませちゃいけない。自分を大切にしないと、お父さんやお母さんが傷付くんだ」と感じることができたら、踏みとどまることができるはずです。

 

そうすれば、交通ルールをしっかりと守ろうとするでしょうし、行ってはいけないところに行こうとしたり、やってはいけないことをやろうとしたりする気持ちに打ち勝つこともできるようになるでしょう。つまり、自分を守り、大事にするように心がけるようになるのです。

 

親の愛情をしっかりと感じることが、危険なことや悪いことから子どもを守るためのストッパーとなってくれることを、どうぞ忘れないでください。

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