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体の軸を感じて運動能力を維持しよう

運動する子ども

最近、子どもたちの間で運動を苦手とする人の数が増えています。そういった子どもは走り方を見るとすぐに分かるといいます。走ってもほどなく転んでしまったり、ひどい場合にはまるで水中でおぼれているような走り方をするからです。このように運動能力を下げないようにするにはどうすればいいのでしょうか。

 

運動が苦手な子どもが増えている

戦後の日本の子どもの体力は、昭和55年付近を境に低下してきているといわれています。例えば7歳~19歳について50m走のタイムを調べた記録があるのですが、昭和60年付近から毎年だんだんと記録が悪くなってきています。こうした記録の悪化は、年齢が低くなるほど傾向が顕著です。例えば7歳では15年観に0.5秒近く悪くなっているほどです。

 

「運動神経」と言う言葉があります。狭い意味で言えば筋肉に縮むようにという信号を伝えるための神経ですが、一般的にいわれるときには、運動が上手であるかどうか、あるいはある運動を習得する力が高いかどうか、といったような意味に使われるほか、反射動作などについてもこの言葉で言うことがあります。

 

この、一般的にいう意味での「運動神経」は、体力の基礎をつけることのできる発達時期を過ぎてからでも基礎的な身のこなしを習得することでぐっと改善することができます。

 

「基礎的な身のこなし」というのは、体の軸の動きを実感するような身のこなしのことです。体の軸というのはいわゆる体幹と言われる部分のことで、体の奥で意識せずに動く筋肉が付いている部分を指します。

 

体の軸について感じ取るには、肩や肘などを大きく回して円を描き、自分の体が動くのを空間的に認識するようにします。

 

あるいは、右の足を出すときに左の手を振る、というような一般的な歩き方(斜対側交差型動作)やそれに伴う神経の動きから解き放たれることも効果が上がります。昨今陸上選手たちの間で話題になっているナンバ歩き(ナンバ走り)などが有効です。

 

このナンバという動作には、右の足と右の手を同時に出すようにして歩くような同側型動作や、膝と腰を一緒に出すようにする膝腰同側型といった動作があります。例としては、日本の伝統的な動作である歌舞伎の見得、日本舞踊の科、剣道の袈裟切りといったような動きが上げられます。

 

体幹が実感できる機械も開発されている

最近では体の軸を実感できるようになるために機械も開発されています。例えば、自転車をこぐときにペダルが楕円軌道を描いて動く楕円軌道式と呼ばれる自転車があります。この自転車に乗るときには体を前屈みにし、ハンドルを踏み出す方の足と同じ方向に向けるようにして乗ることになるため、同側型動作に必要な筋肉を鍛えることができます。

 

楕円軌道式の自転車は三重大学の石川裕司選手などが練習に採り入れ、200mで好成績をマークしているなど実績も上がり始めています。

 

自転車以外にも、走る際の足の運びを訓練するための機械もあります。これはスプリントトレーニングマシンなどと呼ばれているもので、理想的な走り方の動作を身につけるためのものです。

 

この機械では回転するペダルに足をのせて訓練を行いますが、このペダルの軸は足の回転に合わせて自動的に前、後ろと動くように設計されています。東大の陸上部で実際に使って見たところ、多くの選手が自己ベストを更新するという結果を出しています。

 

また、女子陸上選手の早川英里さんは、まだ頭角を現す前にこの機械を使った練習を行い、たった4ヶ月で5000mの記録を2分も縮めるという快挙を成し遂げ、平成15年のホノルルマラソンで優勝したという経験を持っています。

 

子どもたちにも効果が出ている

楕円軌道式自転車や走動作学習マシンは、谷川真理選手も利用し、平成6年にパリマラソンで優勝しています。谷川選手はスポーツ塾を主催し、子どもたちにこうした機械を使った訓練の機会を提供しています。

 

このスポーツ塾に通う子どもたちは、1週間に2回、2種類の機械を使いランニングをして1時間ほどのトレーニングを行います。そうすることで、最初に走り方のフォームがよくなり、体の軸がぶれなくなり、背筋が伸びて腕がきちんと振れるようになってきます。中には、100m走の記録が2秒短縮できた子どももいたそうです。

 

スポーツ塾に通う子どもたちはおよそ1~2ヶ月程度で目に見える形で成績が出始めます。タイムが縮まったことでリレー選手に選ばれたというような子どももいるそうです。そういった形で結果が出ることで自信が出てくるだけでなく、より真剣に取り組むようになって積極性が増してきます。

 

いつも徒競走では最下位だった子どもが初めて一位を取れた、といったようなお礼の手紙もこのスポーツ塾にはいくつも届いているということです。

 

運動能力を下げないために

近ごろの子どもは中学3年生付近を境に運動能力が下がっていっているという調査結果があります。このような事態を招かないようにするには、小さな頃から体を使う遊びをさせることが一番です。

 

どういった遊びがよいかですが、竹馬や自転車、一輪車やローラースケートといった、技術も必要となるような遊びがいいとされています。

 

ちなみに、大きくなってからはウォーキングをすることで運動能力を回復させていくことができます。その際には、(一時期流行しましたが)足を出すときに同じ側の腰も一緒に前に出すようにするとなお効果的です。

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