子育てとは何か?良い親とは何か?
親御さん方は日々、子供の世話に追われて忙しく過ごされていることでしょう。子供をよりよく育てたい、自分も良い親になりたいと願わない方はいないはずです。でも、今一度立ち止まって考えてみてください。子育てとはいったい、何なのでしょうか。そして良い親とはいったい、どのような親なのでしょうか。
子育てのゴール
子育てのゴールとはいったい、どのようなものでしょうか。それは、無力な赤ちゃんを、長い年月をかけて世話をし、社会の一員として独り立ちさせることです。
では、独り立ちしている人とはどのような人かというと、金銭面でも気持ちの面でも誰かに依存せず、自分の事は自分でやれる人のことをいいます。また、社会の中で責任のある行動をとることができ、自ら思考・判断し、人に面倒をかけさせず、懸命に努力する力のある人です。
親が子供にたくさん勉強させて、いい大学へ入らせても、子供がこのような人間に育つわけではありません。その子が秘めている力を引き出し、その力がぐんぐん伸びるようにサポートしてやるのが、親としての務めです。
野菜や花を育てる時、私たちは、育つのに適した土を用意し、適切な時期に適量の水や肥料を与えつつ、その野菜や花が自ら成長するのを待つものです。適切・適量というところがポイントで、そこを間違えると根腐れしたり、実がつかなかったりします。早く伸ばしたいからと、せっかく出た芽を引っ張っても、伸びるどころかちぎれてしまいます。
子供を育てることも、これに似ています。子供が伸びるペースを理解せず、難しすぎることをやらせようすれば、子供の才能を引き出し伸ばすことは不可能になります。今目の前にいる我が子は一体何を必要としているのか?それをよく考えて見つけ、ぴったり合ったものを与えなければならないのです。
親はいつでも、「今この瞬間に、子供にとって必要なことは?」と考えなければならないということです。
どうしたらいい親になれるのか?
親になるだけなら、誰にでもできます。「この資格を持たなければ親にはなれない」「これだけの経験を積まなければ親にはなれない」という決まりはありません。単に親になるのなら、子供を産みさえすればよいだけですから、とても簡単なことです。
しかし、いい親になるならそうはいきません。ここで、そもそもいい親というのは何なのかを考えてみましょう。子供が好きなように生きていける財力をもった人と答える人もいるでしょう。子供を正しい方向へ導く力を持った人と答える人もいるでしょう。「いい親」の定義は人それぞれです。
しかし、これだけは共通して言えることです。子供が独り立ちした後に「お父さんとお母さんの子供でよかった」と感じられる親は、いい親の1つの条件でしょう。
親はどんな子供を産むかを決められませんし、子供だってそれは同じことです。この国のこの場所で、あなたのもとにお子さんが生まれてきたことは、全くの偶然です。どのタイミングで何人くらい子供を産むかということは、少しはコントロールできることですが、それでも100%決められるということでもありません。これは運命と言ってもいいでしょう。
現代は、親が子供に与える影響がとても大きくなっています。そして、親が子育てをするのが大変になってきてもいます。子供にはお金がかかるからということだけが理由ではありません。子育てをするのが親に任されがちになっているからです。
昔は子供の周りにはたくさんの大人がいました。今に比べて家族が多かったため、祖父母やおじ・おばなど、いろいろなタイプの大人から様々な影響を受けて、子供は育っていました。親戚でなくても、近所のおじさん、おばさんから声をかけてもらったり叱ってもらったりすることも少なくありませんでした。
大人だけではありません。きょうだいの数も多かったため、たくさんの子供の中でぶつかったり認め合ったりしながら成長していったのです。家から出ればまた別の子供たちがたくさんいて、そこでもまれながら、様々な知識を得ていったのです。つまり、昔の子供たちは多くの人たちから育てられていたというわけです。
しかし今は違います。何でもかんでも親がやらなければなりません。だから親が感じる子育ての大変さが増しています。でも、どうか「大変だ」と思いすぎないでください。「自分がやらなければ」とかたくなに考えず、いろいろな人やサービス、施設を大いに利用して、子育てを楽しみましょう。
子育てをしている時には、どうしたらよいかわからないと悩んだり迷ったりすることはたくさんあります。子育てが苦しくて仕方ない時もあります。そのような時も自分の殻に閉じこもらず、誰かにその気持ちを打ち明けてほしいのです。話すだけで気分が晴れることも多いものです。夫でも友達でもいいので、気兼ねなく話せる人を見つけてください。
いい親になりたいと思ったら、そうなるように努力することが大切です。それは子育ての知識をつけよということではありません。子供を育てることによって、自分自身をも成長させようと努力することなのです。