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子供の隠れた人間力を掘り起こせ!習い事の最新事情

プログラミングを習う子供

かつての学歴万能社会は形を変え、学校の勉強を頑張ったからといって、社会では必ずしも評価されない時代が到来しています。我が子の将来を見据え、習い事で経験値を上げ、人間力を高めたいと願う親のニーズが高まり、習い事市場は拡大し、その分野も細分化しています。

 

親の時代には存在しなかった今注目の習い事や、昔からある習い事の新たな取り組みなど、子供の習い事選びのヒントになる最新事情を見ていきましょう。

 

プログラミングは自分を自由に表現する手段である

親にとっては未知の世界、プログラミングが小学校で必修化

来たる2020年は、教育改革が行われる年として大きな注目を集めています。新しい学習指導要領も、20年度から順次実施されることになっていますが、その中に、小学校の段階からプログラミング教育を行うことが盛り込まれています。

 

プログラミング教育で育成される「プログラミング的思考」とは、自分が意図した処理をコンピューターに行わせるために求められる、論理的思考を指します。これは、将来どんな仕事をするにせよ、これからの時代には必ず必要となる力だとされているため、プログラミング言語の知識やプログラミング技能を早期から身に付けていきます。

 

学校教育の大きな変更を受け、プログラミング教室を習い事として選ぶ流れが加速してきましたが、ここには一つ大きな問題があります。親世代が子供の頃には存在しなかった習い事であるため、プログラミング教育がどういったものであるか想像がつきにくく、また、教室の情報もほとんど持っていないのです。

 

そこで、現在人気のプログラミング教室をご紹介します。きっと、プログラミングになじみがない親御さんでも、プログラミング教室でどんなことを学び、そしてそれがどのような力を育むのかをイメージしやすくなるでしょう。

 

プログラミング技術でものづくりを学ぶ、クリエイティブな空間

「LITALICO(リタリコ)ワンダー」というプログラミング教室を運営する、株式会社リタリコは、「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、障害者支援を行う会社です。しかし現在では、未就学から高校生まで、全ての子供を対象にIT技術を活かしたものづくり教室も開いています。

 

そのきっかけになったのは、ITを活用した発達障害児の療育や、学習障害を抱える児童に対する学習支援でした。それらが非常に高い効果を上げたことから、教育を提供する範囲を拡大したという経緯があります。現在の教室数は、東京と神奈川に合わせて10ヶ所に増え、拡大傾向にあります。

 

教室に足を踏み入れてみると、大人が想像する「パソコン教室」とは180度違う、カラフルなインテリアが目を引く楽しい空間になっています。秘密基地のようなプライベートテントがあったり、外の景色が屈折して見える不思議な飾り窓があったりと、子供の興味を引く仕掛けが盛りだくさんです。

 

コースは4つありますが、その中の「ロボットクリエイトコース」は対象が年長から小学3年生と、プログラミングの入門的な位置付けです。ここでは、まずレゴブロックでロボットを製作、その後、パソコンでプログラミングを行ってロボットを実際に動かすことで、プログラミングの基本と、機械が動く仕組みの両方を楽しく学ぶことができます。

 

「ゲーム&アプリプログラミングコース」の対象は小学1年生から高校生と幅広くなっています。個々の生徒の習熟度に合わせた教材を使いながら、自分の思い通りのゲームを作成します。初心者であれば、マウスを使ってプログラミングできる「Scratch(スクラッチ)」という子供向けの学習環境を使いますが、習熟してくればより高度な教材に移行します。

 

その他のコースも、3Dプリンターやデジタルカッターを使って、ゼロから自分でデザインしたものを形にする「デジタルファブリケーション」や、プログラミングによるロボット制御について更に理解を深める「ロボットテクニカル」など、興味深いものが用意されています。いずれも、その子供に合わせて柔軟にアレンジできるところが特色です。

 

それぞれの課題に取り組む個別指導のスタイルをとっており、子供4名ごとに1人のスタッフを配置しています。担当は決まっておらず、子供が多くのスタッフからアドバイスをもらえる仕組みです。また、プログラミングやものづくりに関する本も揃っており、クリエイティビティを刺激する環境が整っています。

 

子供のプログラミング教室が人気を集めている理由には、やはり2020年の教育改革を見据え、プログラミング教育を先取りしようという考えがあるのでしょうか?現在我が子をリタリコワンダーに通わせるある親に尋ねてみると、意外にも異なる答えが返ってきました。

 

プログラミング技術を活用したものづくりを通して、子供の自由な発想力を伸ばすことが目的だと言うのです。以前であれば、絵画教室や工作教室が担ってきた分野です。しかし、一般の絵画教室ではきちんと座って、絵の描き方を教わるというスタイルが多いため、自由にのびのびと創造力を伸ばせる場所として、ここを選んだというものです。

 

自分の考えを表現する楽しさは、子供を3時間も集中させることができる

リタリコワンダーでは、夏休みや春休みの期間に、1日完結型のワークショップを多数開催しています。「ゲーム&アプリプログラミング」のワークショップに参加していた親子も、自分の頭の中に浮かんだアイデアを形にする楽しさを口にします。

 

このワークショップでは、スクラッチを使って、マリオのようなコンピューターゲームを作ります。低学年の子供や初心者であってもスムーズにゲームが完成するように、マニュアル的なテキストにしつつ、ゲームの背景やキャラクターデザインを選ぶことで、ちゃんと作り手の意思が反映できるようになっています。

 

ゲームが完成するまで約3時間、参加した子供は集中を切らすことなく楽しんでいます。自分で考えたことを表現する喜びだけでなく、物事の仕組みへの興味も育まれる様子に、見学している親も満足しています。

 

プログラミングを学ぶことで、個性を発揮できる子供が増えてくる

教える側、つまり、プログラミング教室を主催する側の狙いはどういったところにあるのでしょうか?リタリコワンダーの教室長も、プログラミング教育の目的は、プログラマーの養成ではないと語ります。プログラミング技術を手段にして、子供達のクリエイティブな才能を開発することが目的だと言います。

 

ゲーム開発もロボットづくりも、正解はありません。作る人が100人いれば100通り、つまりそれぞれの個性がストレートに反映されるもので、これはアートに通じるところがあります。つまり、プログラミング教室は理系脳とアートが融合した習い事だと言えます。

 

学校の授業で習ったことを全て暗記して、テストで100点を取ったからといって、将来の安泰は保証してもらえない世の中になっている今、自分を表現する手段を見つけることが非常に重要です。昔は勉強かスポーツの出来る子だけが脚光を浴びがちでしたが、これからはプログラミングを始めとした、様々な手段で輝く子供たちが増えてくるでしょう。

 

リタリコワンダーの生徒数は、2016年末の時点で約1500名です。夏休みの特別講習「サマーラボ」だけでも、参加者は1000名を超え、教室への日々の問い合わせも1ヶ月に100件を超える勢いです。子供の内なる可能性を花開かせるべく、これからもプログラミング教室の門を叩く親子は増えて行くでしょう。

 

新しい価値を創造できる人が、日本の未来には必要である

リタリコワンダーでは、子供達が学びの中心です。先生が絶対的権威であった昔の教室の面影はなく、指導員のことは、先生ではなくニックネームで呼んでいます。敬語を使う必要もありません。それぞれの子供の中にある正解を引き出すのがプログラミング教室だから、正解を知っている先生から教えを乞う必要がないのです。

 

また、与えられたテキスト通りに進めるのを嫌がる子も、脱線して違うことを始めてしまう子もいますが、そんな子供こそ歓迎したいと、リタリコワンダーの教室長は言います。これまで日本人が得意としてきたのは、既にあるモノを小型化・軽量化することでした。これはお手本に忠実な、日本人の美徳とも言える姿勢から生み出された得意分野です。

 

将来の日本に求められるのは、まだ世の中に存在しないモノを創り出す才能であり、そんな人が多く登場すれば、日本の工業の未来は明るいものになるはずです。リタリコワンダーでは、テキスト通りにやらない子供に、新しい価値を創造する可能性を見出しているのです。

 

ダンス教室では重圧に打ち勝つ心の強さを育てられる

聞き慣れぬヒップホップダンスが中学で必修化!ダンススクールは激増

習い事としてのダンス教室は年々人気が高まる傾向にありますが、この背景には、ダンスが武道とともに2012年から中学校で必修化されたことがあります。

 

中学のダンスの授業は、「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」の3つに分類されており、表現や踊りを通して仲間とのコミュニケーションを深めたり、自己表現が行なえるとされています。

 

この中の「現代的なリズムのダンス」というのは、いわゆるヒップホップダンスのことです。親世代には全く馴染みがなく、家庭で教えられるものではありません。したがって、ダンス必修化が話題になり始めると程なく、ダンススクールが次々と開校し、親たちは我が子を送り込み始めました。

 

東京・自由が丘にダンススクール「ANGELO★(アンジェロ)」が開校したのも、ダンス教室熱が高まりつつある2008年のことでした。ヒップホップやハウス、ファンクなど、いわゆる「ブラックミュージック」に合わせるストリートダンスのレッスンを行っています。生徒数はみるみる増え、現在は保護者向けのレッスンも開講されています。

 

ダンスにハマった子供達は、重圧を乗り越える達成感を知る

ストリートダンスやヒップホップの要素を取り込んで、日本の音楽シーンを引っ張った存在として知られているのは、エグザイルであり安室奈美恵です。親がこういったアーティストのファンだったというような身近なきっかけで、我が子をダンススクールに通わせるようになるケースが多く見られます。

 

きっかけは親であっても、本人がダンスにハマると生活はダンス一色になります。小学3年生のある生徒は、レギュラークラスを週5日受けるだけでなく、週末に開かれるグループレッスンにも参加しています。キッズダンスの世界では、上達してくると5人1組のチームでコンテストに挑戦しますが、これに向けて1年がかりで作品を仕上げて行くのです。

 

そのために、毎日家での地道な練習も欠かせませんが、ダンスに夢中な子供にとっては苦になりません。その理由を尋ねてみると、楽しいからだと言います。この「楽しさ」は、作品が完成した時や、新しいダンスをマスターした時、また、1対1で即興ダンス対決をする「ダンスバトル」で勝った時に感じるようです。

 

これは言い換えると、ダンスバトルやコンテストといった、プレッシャーがかかる場面において、自分との戦いや重圧を乗り越え、やり遂げた達成感を楽しいと感じていることに他なりません。反対に、練習不足で満足に踊れない自分に対して腹が立ち、悔しさが込み上げてくるのです。

 

日々の練習、大会が近づいた時のプレッシャーや緊張感、それらを乗り越えるために自分を鍛えるという要素は、日本舞踊やバレエといった伝統舞踊のお稽古となんら変わらないことが分かります。

 

ダンスに夢中になった子供には、他の目標にも意欲的に立ち向かう力が生まれる

夢中になれるものが一つ見つかると、子供は意欲的になります。テーマパークで1日過ごすことも楽しいものですが、それよりも「目標に向かって頑張る楽しさ」の価値を知るからでしょう。

 

アンジェロのダンスレッスンを受けるある生徒は、憧れのダンサーの出身大学を目指すことに決め、ダンスと並行して、難関中学向け受験塾にも通っています。

 

ダンスだけでなく、英会話やピアノなど、他の習い事に通う生徒も多くいますが、ダンスへの熱い思いが、他の習い事にも集中する力を生み出しています。習い事を始めたきっかけは様々ですが、夢中になってくると、主体は子供となり、親はいい意味で巻き込まれて行くのです。

 

自分を自由に表現しつつ、周りとの調和を生み出すこともダンスの特性

アンジェロのレッスンは、笑顔が絶えません。インストラクターの先生は、少しのステップの間違いには目をつむり、「いいね!」と褒め、子供達のテンションを上げていきます。レベルの差はもちろん、ダンスへの向かいかたもそれぞれ違う子供達が皆、ダンスを楽しんで好きになってもらうことが第一だと考えているからです。

 

毎日の学校生活では、どうしても「こう振る舞わなければならない」「これをやってはならない」という縛りが強く、子供達は疲弊しています。自分を思い思いに表現できる場であるダンスが、自己を解放する手段になり得るという訳です。また、音楽と触れあう機会が増えることで、生活に彩りが生まれるとも考えています。

 

一方、ダンスを通して「礼儀」や「協調性」も身につけて欲しいと願っています。レッスンでは挨拶をしっかりさせ、人と話すときはちゃんと目を見るなど、基本的なコミュニケーションのルールは徹底しています。

 

また、メンバーの皆で一つの作品を作り上げるというダンスの特性からも、協調性が得られます。ダンスそのものは、内なる自分を解放し、それを自由に表現するものですが、続けていくことで、周りとのコミュニケーションを深めるなど、協調性・社会性を身につけることができるのです。

 

どう踊れば良いかではなく、何を表現したいのか?

ダンス教室はここ10年程でその数が非常に増えてきましたが、それぞれの指導内容の違いは分かりづらく、何をポイントに選べば良いか迷ってしまいます。

 

実は、最近急激に拡大した市場のため、キッズダンスの指導法は定まっていません。ダンスを楽しむことに主眼を置く教室もあれば、コンテストでの勝利のために難しい技を仕込むところもあります。

 

ダンスはそもそも、自由な自己表現の手段だとアンジェロでは考えています。ですので、コンテストやダンスバトルといった競争が主体になってしまうと、子供が模範解答を求め、大人の顔色を伺うようになってしまうため、下手でも構わないからダンスを楽しむよう、子供達を指導しています。

 

大人は、どう踊ればいいのかを教えない代わりに、自分ではどう思うのかを考えさせています。自分で気づいたものを、身体で表現できるように導く訳ですが、この場面においては子供扱いせず、プレッシャーをかけて子供達を追い込み、自己の内面との対話に持ち込みます。

 

親には、子供が苦しんでいても、助け舟を出さないで欲しいと伝えています。この苦しみの果てに、ダンスの上達が待っています。子供達は、自分で選んだ苦しさであれば、最後までやり遂げることができるはずですから、かわいそうに思ったとしても、見守ってあげることが大切なのです。

 

様々な立場の大人が関わっているダンス教室を選ぶべし

バレエ教室などでよく見られますが、発表会の配役やコンテストへの選抜を巡り、付き添いの親同士の関係がこじれることがあります。また、先生に決定権が集中しているため、その判断によっては、保護者と先生との信頼関係に響く場合も多々あります。コンテスト出場を目指して切磋琢磨するダンス教室でも、こういったトラブルは起こりがちです。

 

教室側に大人のスタッフが何人いるかは、教室選びの際、気にしていない方が多いかもしれません。しかし、長い期間その習い事を続ける上で、教室との信頼関係を保つのは非常に重要なポイントとなることを考えると、なおざりにはできません。

 

アンジェロでは、ダンスのインストラクターの他に「スタッフ」と呼ばれる大人が常駐しています。スタッフは、生徒・保護者の双方と、コミュニケーションを密に取っています。インストラクターとは異なる視点で、レッスンに励む子供を見守り、時には子供を励まします。保護者にとっては、先生に直接言いにくい意見を伝えることができる存在です。

 

何人かの大人の目があることで、先生の意見が絶対という事態を回避し、教室全体の雰囲気もよくする効果が見られます。ダンススクールでも、閉鎖的な雰囲気に耐えられず、教室を変えざるを得ないケースが最近増えています。教室選びの段階で、何人の大人がどう関わっているかを考慮することは重要でしょう。

 

キックボクシングでは、体力と同じくらい精神が鍛えられる

強い子よりも頑張って練習する子が評価される、キックボクシング教室

キックボクシングは、これまでの格闘技イメージから、ダイエット効果も期待できるエクササイズとしての地位を確立しつつあります。子供の習い事としてもまた、近年注目を集めており、多くのボクシングジムがキッズクラスを併設しています。

 

世田谷区のとある商店街にある「テッサイジム」は、現役のキックボクサーである小磯哲史さんが会長を務め、会員数は、未就学児から大人まで合わせておよそ100名です。そのうちキッズクラスには約20名の小学生が在籍しており、平日のうち4日間、夕方にレッスンが行われます。

 

1時間のレッスンでは、ミット打ちやシャドーボクシング、サンドバッグなど、大人と同じメニューを取り入れたトレーニングを行います。また、トレーナーや先輩や友達とのコミュニケーションや礼儀作法を身につけることも、トレーニングの目的とされています。

 

キッズクラスでは、定期的に昇級審査が行われます。審査基準はボクシング技術でもなければ型の美しさでもありません。日頃と同じ練習メニューをこなし、そこでの姿勢を見ています。ボクシングの練習は3分間1セットで、後半にはかなり疲れてしまいますが、そこから自分に打ち克ち、どれだけ頑張れるかがポイントなのです。

 

ボクシングのキッズクラスの目的は、強い体と優しい心を育てることにあると、テッサイジムの小磯会長は話します。身体面では、子供達が今後別のスポーツに取り組む際にも役立つ体力と、基本的な体の動かし方を教えます。

 

また精神面では、自分より大きく強い子と対戦する時に勇気を振り絞る経験や、年下の子と当たる時に手加減をすることなどを通して、子供の心を育てていきます。決してキックボクシング界のスター選手を発掘することが目的ではないのです。

 

昇級審査の基準も、この考え方をベースにしています。特に1〜3年生のうちは、一生懸命頑張っていれば昇級できます。これは、日頃の練習をおろそかにしているようでは、試合でいくら結果を出せたとしても認められないのだということを、子供に認識してもらう意味合いがあるのです。

 

他のジムとの交流試合の場で、小さい子が最後まで戦い続けるというのは、想像以上に勇気が必要です。それでも諦めずに一歩前に出て、パンチを繰り出す姿は、指導者から見ても、子供達の成長が感じられて、やりがいなのです。

 

自分のペースで競技に取り組みたい子は、マイナースポーツがオススメ

子供時代から取り組むスポーツとしてのキックボクシングは、まだ歴史も浅く、発展途上であると言えます。同じ武道系のスポーツである空手や柔道と比較しても、小学生対象の全国大会が組織的に開催されることもありません。更に言えば、テニスや水泳のように、将来有望なジュニア選手を囲い込んで、英才教育を施すシステムも確立されていません。

 

これは、テコンドーや総合格闘技など、キックボクシングと同様に最近人気を集める新興の習い事にも共通して言えることです。こういったマイナー競技に子供を参入させるメリットとデメリットは、どのようなことでしょうか?

 

キックボクシング界では、子供の頃からボクシングに取り組んできた選手が頭角を現し始めました。以前は大半を占めていた、空手からの転向組と比べても体の動きが良く、今後の日本のキックボクシングには大きな期待が持てる状況です。

 

ですが、先ほど述べた通り、光る才能を早期に発見し、恵まれた環境を与えて育成する制度は整っていません。マイナー競技であるためのデメリットは、こういった点にあります。

 

一方メリットもあります。それは、自分のペースで続けていける点です。メジャー競技や、育成システムの整った音楽系の習い事では、頑張って上達すると育成コースに組み込まれます。一部のスーパーエリートとその他大勢という構図が発生し、結果的に、子供一人一人に目を向けた指導からかけ離れて行ってしまいます。

 

そうなると指導者も、良い選手を育てて大会で実績を上げることが目的になってしまいます。キックボクシングが好きで、一生懸命練習に打ち込み、体力と精神力を養って欲しいという、指導を始めた頃の気持ちを持ち続けられるのは、教室側としても望ましい姿であると言えます。

 

武道・格闘技系の習い事は選択肢が豊富になってきました。何をやらせるか迷った時には、メジャー競技・マイナー競技それぞれのメリット・デメリットを比較してみて欲しいと思います。

 

子供が試合に立ち向かう勇気は、指導者の戦う姿を見ることで湧き出てくる

ジムに子供を通わせるある親に話を聞くと、幼稚園の頃、少人数指導型の個人競技をと思い、バレエや体操教室も検討したそうです。

 

その中で、型にはまりすぎないキックボクシングが本人にぴたりとはまり、小学生になった今も続けています。体力がついてきただけでなく、礼儀や打たれ強さなど、精神面での成長が感じられて親も満足しています。

 

テッサイジムの小磯会長は、自身が現役のキックボクサーですが、この点もまた、子供達の成長に影響を与えています。小磯会長の試合には、多くの生徒や保護者が応援に来て、試合終了まで諦めずに前に出続ける気迫溢れる姿を目の当たりにします。そして子供達は勇気をもらい、自分達の試合に立ち向かって行くのです。

 

子供にとって、交流試合に出ることはとても怖いものです。中には試合に出ることができないままの子もいます。しかし、一選手として戦う小磯会長の姿に刺激を受け、その後の自らの試合で最後まで戦い抜くなど、明らかな成長を見せてくれることもあります。その姿に親は喜びを感じます。大切なのは、勝敗ではないからです。

 

どのような習い事でも同じですが、小さい挫折を感じるたびに辞めてしまうのではなく、その挫折を乗り越えるという経験をさせてあげることが大切です。一定期間頑張って続けさせて得た精神力は、これから先の長い人生でその子を支えてくれるはずだからです。

 

平成のそろばん教室は、多面的な教育で生徒の満足度を上げている

昔気質のそろばん指導より、臨機応変に指導法を変化させた教室が勝ち組に

そろばん教室は、昭和の習い事の定番です。ご自身がそろばん教室に通われた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?ある調査によると、団塊ジュニア世代が小学生だった1980年前後に、そろばん教室の生徒数はピークを迎えました。その後10分の1にまで減少しましたが、現在は少し持ち直しています。

 

少子化が進み、習い事の種類も豊富になっている現在、少ないパイの奪い合いが起こっています。そろばん教室の数も1万を割り込んでいますが、これは、ピーク時と比べて半分以下の教室数です。とは言え今も、地域におけるそろばん教室間の競争は続いています。

 

したがって、これまでと変わらない教室運営をしていては、厳しい生き残り競争を勝ち抜けません。数ある教室の中でも、そろばんの枠を越えた、時代に即した指導を行うことで、多くの生徒を抱える人気教室となるところも出てきています。

 

例えば、数の概念を理解させる導入期において、そろばんを使わない指導法を取り入れている教室があります。一般的に、そろばん教室では、全てそろばんを使いながら教えて行くというイメージがありますが、幼児の場合、積み木や図を使った方が理解が早いと考え、そろばん以外の教材も活用するというわけです。

 

また、そろばんを習う場合、普通は「たし算九九、ひき算九九」を暗記します。そろばんの玉の動かし方を覚えることで、頭の中で計算しなくてもそろばん上に答えが出る仕組みです。6+4は、6に「5足して1取る」となりますが、既に一桁の足し算を知っている子は混乱する場合があります。

 

ですが、6+4=10だと既に分かっている子供には、たし算九九にとらわれずにそろばんを使う指導を行うことにより、かえってスムーズにそろばんを学ぶことができます。そろばんは、弾き方のルール・型を身につけることにより計算を速く、正確に行うための道具ですが、頭を使って工夫できるようになることも大切だと考えているのです。

 

勉強の基礎だけでなく、礼儀や言葉遣いまでそろばん教室に期待している

また、入会したばかりの子供達に、そろばんの前にまず、知能開発教材に取り組んでもらう教室もあります。幼児・小学生を対象とするこういった学習教材を使えば、算数だけではなく国語の指導も可能になり、この点が教室選びの決め手となったという保護者もいます。

 

そろばん教室で学習教材を使い、主要2教科の勉強をする経験は、学習塾に通わせる前段階として、日々の学習習慣を身につける訓練ができます。さらにそろばんを習うことで、そろばんのお稽古本来が持つ、集中力や注意力を鍛える効果も期待できるというわけです。

 

数の概念が理解できたらそろばんに移行します。昇級するにつれて、1回60〜80分のレッスン時間のうち、そろばんを弾く時間が増えていきます。数概念がしっかりした子供が地道に練習を積めば、短期間での1級取得も夢ではありません。

 

そろばん教室は、地域に根差したものが多く、親子2代に渡り経営しているところも珍しくありません。昔ながらのこういった「町の習い事」では、そろばんの技術だけでなく、挨拶や言葉遣いなどのしつけ面でも大きな役割を果たしており、地域との関わりといった意味でも大切にしたいものです。

 

ボーイスカウトこそ、我が子を将来求められる人材に仕込んでくれるかも?

習い事の種類がますます増え、目的によって自由に選べる時代を迎えていますが、長い歴史を誇る「ボーイスカウト」についても知っておいて欲しいと思います。様々な野外活動を通して、青少年に生きるための知恵を授ける世界標準の教育活動ですが、参加メンバーの数は年々減少を続けています。

 

ボーイスカウトの歴史は1907年にまで遡ります。イギリスの退役軍人、ロバート・ベーデン・パウエル卿が、子供達だけでキャンプをしたら楽しいと思いつき、20人の少年と小さな島で実験キャンプをしたのが始まりです。

 

「スカウト」とは「先駆者」のことで、「率先して自らの人生を切り開き、社会の先頭に立って、その発展に寄与する子供達」というのが、ボーイスカウトの意味するところです。キャンプや奉仕活動を通して、ハイキングやゲームなど、学校や家庭ではできない経験をしながら、体力、協調性、リーダーシップなどを総合的に育てていきます。

 

日本にボーイスカウト運動が伝わったのは実験キャンプの翌年である1908年と非常に早く、1922年にはボーイスカウト国際事務局に正式加盟をしています。現在日本連盟には、地域ごとに分かれた2000を超える「団」があり、その下に「隊」が置かれています。

 

ボーイスカウトでは、年代別に分かれた隊に所属するシステムになっています。まず、最年少の小学1・2年生はビーバースカウトに入隊します。自然に親しみ、みんなと仲良く遊ぶことを覚えたら、3年生からはカブスカウトに移ります。ここでは、自分のことは自分でする、みんなでルールを作って楽しく遊ぶ、など自立心や創造力を育てます。

 

6年生からは、いよいよボーイスカウトに入ります。中学3年までの4年間で、リーダーシップや社会性、協調性に加え、奉仕活動を通して「人に役立つことの大切さ」を学んでいきます。その先は、ベンチャースカウト、ローバースカウトと呼ばれ、さらに指導者としてスカウト活動に関わる道もあり、まさに生涯教育であると言えます。

 

ボーイスカウトでは、活動を通して知識や技術を学ぶと、それに応じてバッジがもらえる制度があります。その分野は救急救命やキャンプ、通信、自然観察などにわたり、どんな環境でも生き抜く知恵が身につくようになっています。ボーイスカウト以上では、さらに広範な教養・知識が求められ、そのレベルに応じて階級が上がる仕組みです。

 

非常に組織的な運営がなされているボーイスカウトですが、最少単位である「班」は、小さな社会を模した自治グループです。6〜7人の異年齢のメンバーそれぞれが、与えられた役割を果たしながら、「社会=班」に貢献して行きます。

 

自らの知識や技術を身につけながら、社会で役割を得て働いて行くというのはまさに社会の縮図であり、隊員たちは幼い頃から、社会で役立つ人になるための教育を受け続けているとも言えます。知識に偏らない人間を育てる、いわゆる全人教育という意味でも、ボーイスカウト活動が見直される時がやがて訪れるのではないでしょうか。

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