子供たちだけの世界をもっと大切にしてあげよう

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子供たちだけの世界

現代の子供たちが、昔の子供に比べて不足しているものは何だと思いますか?「今の子供たちの方がずっと恵まれているに決まっているのではないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、そうでもないのです。今の子供たちが昔の子供たちに比べて決定的に足りないもの。それは、「子供たちだけの世界」です。

 

なぜ今は「子供たちだけの世界」が少ないのか

自分が子供だった時のことを少し思い出してみてください。放課後はどのようにして過ごしていましたか?年代にもよりますが、友達と公園で待ち合わせて鬼ごっこをした、校庭で野球をしていた、広場でかくれんぼやだるまさんころんだなどをして走り回っていた、そのような思い出がたくさんよみがえるのではないでしょうか。

 

そのように、大勢で集まった時には、何らかのルールが必要でした。野球をするのに人数が足りなければ、人数が少ない方のチームにはハンデを作るとか、自分たちよりも小さい子がいるときは、その子には特別ルールを作ってやりやすいようにしてあげるとか。そんないろいろなルールを決めていたのは、ほかならぬ子供たち自身だったのです。

 

そこには大人はいませんから、子供たちだけで現状を見つめ、方法を考えたわけです。周りの大人から支持されず、進んで考え、決める姿がそこにはありました。なぜ昔の子供たちはこのように自主的に行動することができたのでしょうか。

 

それは、子供たちだけの世界に浸る時間がたくさんあったからです。昔は今ほど習い事や塾は盛んではありませんでしたから、放課後、宿題さえ終われば(その宿題も遊びが終わってから済ませる子供もいたでしょうけれど)後は全て大人に干渉されない子供たちだけの世界です。そこでは、自分たちで何でも考え、決めることが可能だったのです。

 

子供たちだけの世界で、子供たちは様々なことを勉強します。先ほど少し述べたルール作りもそうですし、仲よくするにはどのような態度が必要かとか、自分の主張を通すにはどういう言い方にすればよいかとか、相手と意見が違ったらどうするかとか、喧嘩をした後はどうやったら仲直りできるかとか、そういったコミュニケーションの方法を学ぶのです。

 

ところが、現代の子供たちにはこのような「子供たちだけの世界」が足りていないのが現状です。子供同士で遊んだり何かの活動をしたりすることはありますが、そこには大人がいることが多いのです。

 

「学校の休み時間は子供たちだけの世界なのでは?」と思うかもしれません。しかし、実際のところきちんと休み時間が確保されているかと言うと、そうでもないことが多いのです。午前中の授業の間にある中休みはせいぜい20分ほど、昼休みは30分あるかないかと言ったところでしょう。それなのに、委員会の打ち合わせが入ったり、給食の後片付けに手間取ったりしているうちに、どんどん休み時間は短くなってしまうことがよくあるのです。

 

では放課後はどうかと言うと、たいていの子供たちは平日の放課後に習い事や塾などを入れていて、それも、週に3日とか4日とか言う過密スケジュールであることも多いのです。習い事や塾も、やはり子供たちだけの世界ではなく、大人が管理する世界です。

 

こう考えてみると、現代の子供たちというのは、大人が見ていない場がとても少ないということが分かります。つまり昔の子供たちに比べて、自分たちだけで今の状況を見つめ、自分たちだけで解決策を立てていく機会が圧倒的に足りないのです。これでは、自分たちで進んで何かをやろうという気持ちは芽生えなくても仕方ありません。つい大人になんでも頼ってしまうのです。

 

「子供たちだけの世界」がいかに大切かを知ろう

昔は今のように塾通いや習い事が一般的ではありませんでしたから、大人が入らない、子供たちだけの時間がたっぷりあり、そこで子供たちは、人間関係における対処の方法をたくさん学んでいました。

 

しかし今は違います。学校の休み時間もきちんと取ることがままならず、放課後は放課後で塾や習い事などに忙しく、子供同士が集まる場であっても大人が必ずいるという状況です。そのような状況では、子供たち同士で何とかやっていく、色々と工夫していくという力は育ちません。そしてこれは、現代の若者たちが抱えている問題に直結しているのではないでしょうか。

 

これは軽く考えてよい問題ではありません。私たちは何らかの手立てを打たなければならないのではないでしょうか。つまり、大人が介入しない子供たちだけの時間をきちんと確保してやることが必要だと考えられるのです。

 

これはすぐに実現することではないでしょう。なぜなら、大人たちは子供たちだけの世界やその時間の大切さを知らないからです。それどころかそんな時間があったら塾に行くとか習い事をするとかして、有効に使わせなければと考えている人が多いのが現状です。子供たちだけの時間にしたら何をするかわからないと思っているのかもしれません。

 

その証拠に、学校週5日制が導入される前は、「休みが増えたら子供たちに何をさせたらよいのか」ということが大きな問題としてたくさん議論されたのです。休みが増えたら子供たちだけの自由な時間をたくさんとってやればよいとは考えず、子供たちに与えられた時間をいかに有効に使わせるかということに議論が集中したのです。子供たちだけの世界の大切さには考えが及ばなかったのでしょう。

 

子供たちのコミュニケーション能力や問題解決能力を育てるためには、今一度、子供たちだけの世界の大切さを見直すべきではないでしょうか。子供たちが自由に集まり、大人たちのいない世界で自分たちだけで考え、何とかやっていく経験は、必ず子供たちの成長に良い影響を与えるはずです。

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