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性格はどんなふうにできあがるのか

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様々な性格

世の中にはさまざまな性格の持ち主がいます。こうした性格はどんなふうにできあがっていくのでしょうか。経験や生育環境、遺伝と言った切り口から眺めてみたいと思います。

 

いわゆる「いい子」はうつ病になりやすい?

近畿大学の大学病院にはメンタルヘルス専門の外来があり、毎日200名ほどの患者がやってきます。そのうち1/3はうつ病関連の患者です。うつ病の患者を年齢で分けると、一番多いのは30代や40代の働き盛りの世代だといいます。

 

広く理解されているとおり、うつ病の原因にはストレスに関係したものが多くなっています。しかしうつ病の患者を調べていくと、ある性格傾向を持つ人がうつ病を発病しやすいということも分かってきています。

 

ではどんなタイプの性格の人がうつ病になりやすいかですが、例えばまじめである、熱心に仕事をする、几帳面な性格、他の人に気を配る性格、強い責任感を持っている、自分に対する要求のレベルが高い、といったような特徴を持った人に多いようです。

 

このような性格はそれだけ見れば長所と言っていいものかと思いますが、こうした性格を持った人はいろいろなことを自分一人で抱え込みやすい傾向があります。そして自分一人ではどうにもならないような大きなストレス、例えば家族の死やリストラ、災害などに見舞われたとき、そのストレスによってうつ病になってしまいやすいのです。

 

人間がどのようにして自分の性格を形づくっていくかについてはさまざまな意見がありますが、その中に子ども時代の経験、例えば親と子の関係であったり、どんな環境で育ってきたのかといったことによっても影響を受けるという説があります。

 

近畿大学病院では、外来のうつ病患者たちに対して患者がどんな子ども時代を送ったのかということについてしばしば尋ねます。すると多くの人が、自分は手のかからない子どもで、何でも自らやっていたと答えるそうです。

 

手のかからない子どもというといいことだと思われがちですが、その背後に親や家族とのコミュニケーション不足という問題が隠れていることがままあります。自分の悩みを誰にも相談できないので、周りに文句を言うことも悩みを訴えることもせず、にこやかにしながら何でも自分でやってしまうようになるわけです。

 

もともと子どもというのは手がかかって当たり前です。自分の子どもがこのようないわゆる「いい子」だという親は、子どもとのコミュニケーションに何か足りないところはないか、自ら振り返ってみるべきなのかもしれません。

 

性格は数値化できるのか

精神医学の専門家の間では、性格や人格といったものは18歳ぐらいまでを一区切りとして形作られていくと考えられています。

 

逆に言えば、18歳ぐらいまでは育つ環境や受けた教育などによってさまざまに変わる可能性を秘めているということです。性格にアンバランスが見られる人格障害などの場合、原則的に18歳以上にそうした診断名がつくのはこのためです。

 

医療の現場でよく性格を検査するといったりしますが、そもそも性格は検査で測定して数値化することができるものなのでしょうか。

 

いわゆる「性格検査」は性格そのものを測定するものではありません。実際にはその人の行動について調べていることがほとんどです。「性格」というのは概念として捉えられてはいますが、はっきりと目に見えるものではなく、まして測定することはできないものなのです。

 

たとえば、ある集まりに参加している人の中で、Aという人物は周囲に見知った顔がないことに憂鬱さを感じているかもしれませんし、Bという人物は逆に新しい人と新しい話題について話せて楽しんでいるかもしれません。

 

ものごとの認知の仕方や癖、情緒の傾向、衝動をどのように抑えているか、対人関係に見られる傾向など、人間の行動には表に現れるものとそうではないものがあります。そしてそれらを全部ひっくるめたものがその人のいわゆる「性格」を形作っているのではないかと考えられています。

 

遺伝子と性格との関連性

よくあの人はこんな「性格」だと言ったりしますが、その中でも大元にあって容易には変えられない全体的な傾向、例えば臆病であったり、大胆、陽気や陰気といったようなものをその人の「気質」と言ったりします。

 

そしてこの「気質」が遺伝子によって一定程度あらかじめ決まっているのではないかという説が言われるようになってきています。さまざまな研究のデータから、性格のうちおよそ50%~60%はそうした遺伝による影響によるものと考えられるというのです。

 

アメリカでは、神経回路において情報を伝達する物質であるセロトニンやノルアドレナリン、そしてドーパミンに関わる遺伝子と、人の性格との関連性についての研究が盛んです。こうした分野の研究は日本でも同じように行われています。

 

こうした研究はまだ発展途上であり、セロトニンに関わる遺伝子の長さと不安の感じ方、そしてドーパミンに関わる遺伝子の並びと好奇心や衝動性などに何がしかの関連性が見られるということが分かっている他は、まだ未知数の部分が多くあります。

 

遺伝子と性格の間にはおそらくさまざまな関連性があり、そうしたものが組み合わさって性格への影響が出ていることも考えられるため遺伝子を1つ1つ研究していっても駄目なのかもしれません。それだけでなく性格には育ってきた環境もまた大きな影響を与えるので、すべてが遺伝子で決まるような考え方をするのは危険だとも考えられています。

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