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脱チーズ初心者を目指せ!チーズの基本データ、選び方・楽しみ方のポイント

チーズ売り場

チーズは歴史が古いだけでなく、世界各地で様々な種類のチーズが作られており、多くの人から愛されている食品でもあります。日本でも広まってきましたが、世界の国々から見ればまだ発展途上であるとも言えます。

 

データをもとに、チーズがどれだけ世界の食卓での存在感があるのか、また、これからチーズを食べてみたいというチーズ初心者が、どんなチーズを選べばいいのか、選び方のポイントについても見ていきましょう。

 

世界で愛されている食品「チーズ」はこんなに食べられている

およそ8000年前に西アジアで生まれたチーズは、世界でも最も歴史の古い加工食品とも呼ばれています。チーズは大きく分けて3つのルートを辿り、世界中で食べられるようになりました。また、伝播の過程において、地域の特性や文化に適応しつつ進化し、現在世界で生産されるチーズは1000種類以上にものぼると言われます。

 

一般的なチーズとは作り方が違うものですが、古代日本にもチーズの原型とされる「酥(そ)」が朝鮮半島から伝わるなど、古い歴史があります。また、本格的なチーズ作りは、明治維新後から始まり、今や日本人にもなじみ深い食材となりました。

 

2015年度の国内総消費量は過去最高を更新するなど、増加の一途をたどっていますが、海外の各国と比較すると、その摂取量はまだまだ少ないのが現状です。ここでは、チーズの生産量、輸出入量そして消費量という観点で、世界各国におけるチーズの位置づけを見てみましょう。

 

EUとアメリカでチーズ生産量の約8割を占めている

現在、世界ではどれくらいの量のチーズが作られているでしょうか?チーズは世界中のあらゆる国や地域で生産されていますが、ここでは、乳をレンネットと呼ばれる酵素で凝固させて作る、ヨーロッパやアメリカで主に製造されているチーズについてのデータを見てみたいと思います。

 

2017年8月にUSDA(アメリカ農務省)が発表した、最新版のデータによると、2016年度のナチュラルチーズの生産量は、世界の主要国合計で約1960万トンとなっています。内訳を見ると、EU諸国とアメリカが大きな割合を占めていることが分かります。EU合計で約990万トン、アメリカ1国でも約560万トン、両者を合わせると全体の8割に迫る勢いです。

 

なお、そのうちのおよそ9割は牛乳を使い、工場で生産されたチーズです。乳業メーカーではなく、農場で作られた牛乳のチーズや、羊やヤギ、水牛など牛乳以外の乳を原料としたチーズなどを全て合わせても、全体の10%程度に留まっています。

 

ちなみに、日本のナチュラルチーズ総生産量は毎年微増しており、2016年度は約4万7000トンとなっています。世界各国と比較すると、まだまだその生産量は追いついていないことが見てとれます。

 

チーズの輸出入量トップはEUとアメリカ、オセアニアが追い上げる

チーズの生産量が多い国の人々が必ずしも、チーズを多く食べている訳ではありません。生産したチーズ製品を輸出する方が多い国もありますし、自国での生産量だけで、国民のチーズ消費量が賄いきれなければ、他国からの輸入に頼る場合もあります。チーズの輸出量と輸入量を見ると、その国の食生活へのチーズの浸透度が見えてきます。

 

チーズの輸出量が多いのは、EU諸国、ニュージーランド、アメリカです。次いでベラルーシ、そしてオーストラリアが上位を占めています。オセアニア地域は、かつてはチーズの後進国だと言われてきましたが、ここ20年ほどで輸出量を大きく伸ばしてきました。オセアニアのチェダーチーズは、日本ではプロセスチーズの原料として重宝されています。

【2016年度 主要国のチーズ輸出量】
国名 輸出量(千トン)
EU 855
ニュージーランド 350
アメリカ 349
ベラルーシ 202
オーストラリア 190
アルゼンチン 50

(出典:USDA「Dairy:World Markets and Trade」)

 

特に近年は、ロシアが欧州の農畜産物の禁輸措置を行っている影響で、ヨーロッパで乳製品のだぶつきが見られ、その結果、オセアニア産チーズの市場価格が下落していることも、輸出量の増加に繋がっています。

 

続いて、輸入量ランキングについても見てみましょう。2016年度、最新のチーズ輸入量ランキングで1位に輝いたのは、なんと私達日本です。27万5000トンを輸入しており、前年と比べて6.6%の伸びを示しています。これまで1位だったロシアは、2014年から欧州チーズの輸入禁止措置を行っているため、2位に後退しています。

【2016年度 主要国のチーズ輸入量】
国名 輸出量(千トン)
日本 274
ロシア 235
アメリカ 140
メキシコ 130
韓国 120
オーストラリア 120

(出典:USDA「Dairy:World Markets and Trade」)

 

日本の主なチーズ輸入先は、ニュージーランド、オーストラリアといったオセアニアの国々が中心となっており、輸入量のじつに60%を占めています。デンマーク・オランダがこれに続きますが、ほとんどはプロセスチーズの原材料として使われています。チーズ王国と言われるフランスがランキング上位に入っていないのは、高い関税率が背景にあります。

 

2016年現在のナチュラルチーズの関税率は、29.8%と非常に高いものとなっています。これでも、1951年の輸入自由化当時の関税率35%と比較すればかなり下がっていますが、輸入チーズの価格に影響し、ナチュラルチーズの普及に歯止めがかかる原因となっています。国産の乳製品保護が目的ではありますが、チーズ好きにとっては残念な状況です。

 

一方、国産チーズと共にプロセスチーズの原料にする場合は関税がかからないという特例措置があります。そのため、日本で輸入するチーズの大半はプロセスチーズに加工するための原材料なのです。

 

また、これから注目すべきチーズ輸入国は中国です。現在、急激な経済成長とライフスタイルの近代化の最中にある中国では、年々チーズの輸入量が増加しています。2016年1~8月の輸入量は、前年同期比で30%増の6万4000トンを記録するなど、近い将来チーズ輸入王国と呼ばれるのは確実な状況だと言えます。

 

フランス人は、日本人の約12倍チーズを食べている

2016年度の主要国のチーズ消費量は前年と比べて微増で、合計約1900万トンとなっています。その中で最も多くのチーズを消費している国はアメリカで、約540万トンです。アメリカは生産、輸入ともランキングの上位につけており、名実共にチーズ大国と呼ぶことができるでしょう。

 

またEU諸国合計では914万トンを消費しており、ヨーロッパがチーズの本場であることを感じさせるランキングとなっていますが、ここにも新興国の波が押し寄せています。2000年代以降、著しい経済成長を遂げている「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)はチーズ消費量においても急伸長を見せています。

 

これを国民一人あたりに換算したデータを見ると、チーズがその国の食生活にどれだけ浸透しているかが、より分かりやすくなります。最も多いのはフランスで、年間一人あたり26.8㎏ものチーズを食べていることになります。2位以下にはフィンランド、デンマーク、アイスランドが続きます。

 

日本人の年間消費量はわずか2.2㎏で、1日当たりたった6gしか摂取していないことになります。一方フランス人は、我々の約12倍にあたる、毎日73gものチーズを食べています。やはり日本では、まだチーズは特別な食品であり、毎日の食卓を彩る「食材」としては捉えられていない現状の表れではないでしょうか。

 

とは言え、日本人は新しい食材を取り入れ、自国の食文化と融合させる才能を持っています。また、空輸によりフレッシュチーズの輸入が可能になったことから、少しずつではありますが、手に入るチーズの種類が豊富になってきました。TPP交渉の進展により、チーズの関税撤廃という話も上がる中、今後の日本のチーズ文化の発展にぜひ期待しましょう。

 

ちなみに、殺菌していない乳を原料としたナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなど、加熱せずにいただく加工食品からは「リステリア菌」という細菌が検出されることがあります。妊婦の感染リスクが高いとされており、無殺菌乳のチーズを禁輸している国もあり、国ごとの立場により対応が分かれるところとなっています。

 

チーズ初心者でも迷わないチーズ選びのポイント

最近、本格的なナチュラルチーズを見かけることが増えてきたように思います。これまで日本では、チーズと言えばプロセスチーズを指していました。時間を経ても味の変化が少ないプロセスチーズとは違い、ナチュラルチーズは時間の経過とともに熟成が進み、匂いや味わいが変化していきます。また、種類も様々で、選ぶための知識が必要になります。

 

チーズの専門知識を持つ「熟成管理士」の資格を持つ販売員がいるお店で、気になるチーズをあれこれ試食しながら選び、必要な分を量り売りで買うのが理想ですが、海外に比べるとまだまだ身近な存在ではありません。

 

ぜひ、ナチュラルチーズの見分け方を知り、チーズを選ぶ際に見るべきポイントを身につけて欲しいと思います。デパ地下やスーパーマーケットで、好みに合ったチーズを自分の力で選び出せるようになれば、あなたのチーズ生活はぐっと豊かになるはずです。

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント①:原料乳

チーズの原料となる乳は、牛乳だけではありません。羊の乳、ヤギの乳、そして水牛の乳の他にも、地域によって様々な動物の乳が利用されています。チーズ初心者のあなたには、まずは牛乳のチーズをお勧めします。牛乳のチーズは、他の動物の乳と比べて匂いも少なく、マイルドな味わいになります。

 

日本でも人気の高いモッツァレラチーズは、イタリア原産のフレッシュチーズです。フレッシュチーズとは、熟成させずに新鮮な出来立てを味わうタイプのチーズで、マルゲリータピザやカプレーゼサラダに欠かせない存在です。本来は水牛の乳が原料なのですが、最近は原料を安定的に供給できる牛乳のモッツァレラの方が多く流通しています。

モッツァレラチーズ

 

ヤギ乳から作るチーズは、シェーブルと呼ばれています。その歴史は牛乳のチーズよりも古く、フランスではその消化の良さから離乳食やお年寄りの介護食に使われるなど、生活に根付いているチーズです。ですがヤギ乳には多くの脂肪酸が含まれており、それが独特な酸味と匂いを生み出しているため、初心者にはハードルが高いチーズの一つです。

シェーブル

 

シェーブルタイプは、フレッシュなものから熟成させたもの、また表皮に白カビを植え付けたものなど様々な種類がありますので、お好みの熟成具合のものを探してみるのも楽しいでしょう。フルーツやジャムと合わせたり、蜂蜜をかけたり、またハーブと合えたりすることで、独特の風味が和らぎ、美味しくいただけます。

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント②:微生物

チーズは、原料となる乳に菌を加え、その菌の力によって熟成させた食品です。使われる微生物の種類や組み合わせによって、全く違う食感や風味のチーズが出来上がるのですが、大まかに分類すると、「乳酸菌」だけで熟成させるものと「乳酸菌+カビ」の組み合わせで熟成させるものの2種類になります。

 

その中で一般的に初心者がトライしやすいものは、乳酸菌のみで熟成させるタイプで、ハードタイプ、セミハードタイプに分類されるものがそれに当たります。オランダを代表するゴーダチーズや、イギリス原産でアメリカでも多く生産されているチェダーチーズなどは、日本でも手に入りやすく、クセが少ないためお勧めです。

ゴーダチーズチェダーチーズ

 

ゴーダチーズはコクと旨味が特徴なので、そのままカットしてお酒のおつまみにしたり、スライスしてサラダのトッピングやサンドイッチの具にしても美味しくいただけます。また、チェダーチーズは他の食材との相性がよく、加熱するとよく溶けるので、タコライスのトッピングにしたり、オムレツの具にして味わってみましょう。

 

乳酸菌に白カビや青カビを加えて熟成させた、カビ熟成チーズは、刺激のある匂いと独特の風味があり、抵抗を感じる方も多いチーズです。白カビチーズは青カビチーズと比べると匂いや風味はマイルドで、食感もソフトでクリーミーです。一方青カビチーズは、舌を刺すような刺激や匂いが特徴的で、カビ系チーズに慣れてからが無難です。

 

チーズ初心者のあなたにまず試して欲しいカビ系チーズは、フランスの白カビチーズであるカマンベールチーズです。白カビ系チーズの中でも食べやすいとされていますが、特に熟成が進みすぎる手前の、チーズの中心に白い芯が少し残るくらいでいただくのがお勧めです。

カマンベールチーズ

 

そのままでも美味しくいただけますが、リンゴやマスカットなど、爽やかな酸味のあるフルーツと合わせたり、クラッカーに乗せれば、簡単に美味しいオードブルになります。また、カットしてフライにしたり、温めて野菜やソーセージにつけてもよいでしょう。

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント③:熟成度

チーズは、乳酸菌やカビなどの微生物の力で熟成させていく食品ですが、その熟成期間はチーズの種類によって様々で、短いものでは4〜8週間、長いものでは1年以上もの時間をかけて食べ頃を迎えるチーズもある一方、フレッシュチーズの様に熟成を行わずに出来たてを味わうタイプのチーズもあります。

 

乳酸菌のみで熟成させるチーズの場合、熟成期間が長くなればなるほど、チーズ内部の水分が減って硬くなります。食感も変わり、噛んだ時の弾力は失せ、組織はボソボソでもろくなりますが、例外もあります。

 

長期熟成タイプであるパルミジャーノ・レッジャーノなどは、熟成が進むとシャリっとした食感になります。これはうまみ成分アミノ酸の一種であるチロシンの結晶で、このチロシンがチーズ表面を覆う2年目以降が、パルミジャーノ・レッジャーノの食べ頃であると言われています。

パルミジャーノ・レッジャーノ

 

ちなみに白カビ系チーズの場合は真逆で、熟成が進むとトロトロの質感に変化します。原料は同じ乳であっても、熟成による違いは大きく、これがチーズの楽しみであるとも言えます。チーズ初心者の方は、熟成期間短めのハード・セミハードチーズか、クリームチーズやモッツァレラチーズといったフレッシュタイプから始めてみましょう。

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント④:殺菌乳と無殺菌乳

哺乳動物の乳には、元々様々な微生物がいます。かつてはこれらの菌を利用したチーズ作りが行われていましたが、現在では乳を63℃で30分間加熱する、低温保持殺菌で殺菌乳を作る手法が定着しています。

 

この殺菌乳に、人工的に培養したスターターと呼ばれる乳酸菌やカビなどを加えて作られたチーズが現在は一般的です。人工的に微生物を加えて発酵させた殺菌乳のチーズは、季節などに左右されることが少なく、風味が比較的一定ですので、チーズ初心者がまず試してみるのに適しています。

 

様々な味わいのチーズに慣れてきたら、次は無殺菌乳のチーズにトライして欲しいと思います。乳に自然に含まれる微生物は10種類以上とも言われ、熟成させると風味がより複雑で、個性の強いチーズとなります。

 

ヨーロッパ産のチーズでは、原料の乳が殺菌乳か無殺菌乳かを商品表示で確かめることができます。殺菌乳の場合は「lait pasteurise」、無殺菌乳の場合は「au lait cru」と記載されていますので、選ぶ際に参考にしてください。もちろん、どちらのチーズにも微生物が生き続け、発酵が進むにつれ味わいが変化する楽しみがあります。

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント⑤:形

チーズの専門店に行くと、様々な形のチーズがショーケースに並んでいます。実はチーズは、その種類によって、サイズだけでなく形状も色々あります。レコードのジャケ買いのように、形から選んでみるのも楽しいものですが、ここでは代表的な珍しい形のチーズをご紹介します。

 

バラカ
フランスのイル・ド・フランス地方で作られている、馬蹄形が特徴の、白カビタイプのチーズです。フランスでは馬蹄形は「幸運を運んでくる形」と言われており、贈り物として高い人気を誇っています。

バラカ

 

牛乳に生クリームを加えて作られているため、脂肪分が70%と非常に高いのが特徴ですが、癖の少ない濃厚な味わいは日本人の味覚にもよく合います。人を選ばないため、ホームパーティの手土産にも喜ばれる一品でしょう。かなり濃厚なので、リンゴやレーズンなどのフルーツの酸味と合わせていただくのがお勧めです。

 

ヴァランセ
フランス中心部のヴァランセ村で作られている、シェーブルタイプのチーズです。四角錐のてっぺんが切り落とされた、珍しい形をしていますが、これはエジプト遠征に失敗したナポレオンの怒りを買ったからだという伝説が残されており、このチーズの歴史の古さを物語っています。

ヴァランセ

 

ヴァランセチーズは、周りに灰がまぶしてあることも特徴の1つです。ヤギ乳のチーズなので、熟成が進むと独特の匂いが強くなってきます。チーズ初心者の方でしたら、春から夏にかけて出回る新鮮なものを味わってみましょう。秋頃になると熟成が進んできますので、シェーブルに慣れてきたら試してみても良いでしょう。

 

カチョカヴァッロ
南イタリアで作られる、牛乳を原料とするハードタイプのチーズで、馬の鞍にぶら下げる袋に似た、ひょうたんのような形をしています。モッツァレラチーズと同じ製法で作られており、熱を加えるとよく伸びるのが特徴です。

カチョカヴァッロ

 

このチーズのお勧めの食べ方は、何と言っても焼きチーズです。1cmほどの厚さにカットし、小麦粉を薄くまぶして、オリーブオイルを熱したフライパンでさっとソテーしていただきます。表面はカリッと、中はもちもちの食感が楽しめるでしょう。

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント⑥:硬さ

チーズの分類名の中には「ハード」あるいは「セミハード」といったものがありますが、これらはチーズそのものの硬さを表すものではありません。チーズの分類表示を見ただけでは、好みのチーズを硬さで選ぶことはできませんので、やはり色々と試してみることが必要です。

 

チーズ初心者の方が試してみる場合、軟らかくて水分の多いチーズでしたらまずはモッツァレラがお勧めです。フレッシュタイプですので癖が少ないチーズです。

モッツァレラチーズ

 

その次はカマンベールチーズにトライしてみましょう。熟成タイプの白カビチーズですが、牛乳のチーズなので風味がマイルドです。中でも、熟成が進みすぎていないものを試してみると良いでしょう。

カマンベールチーズ

 

硬さのあるチーズを試してみるのなら、セミハード系のチーズがお勧めですが、中でも初心者にも食べやすいのはゴーダチーズやチェダーチーズです。肉料理やサラダなど、料理に取り入れてみて下さい。

ゴーダチーズチェダーチーズ

 

もっと硬いチーズに興味があれば、ハードチーズのパルミジャーノ・レッジャーノで、熟成期間2年以上のものにトライしてみましょう。

パルミジャーノ・レッジャーノ

 

自分好みのチーズと出会う選び方のポイント⑦:風味

世界中で数多く作られている、様々なチーズを最も特徴付けるのは匂いや味わい、つまり風味の強さだと言えます。風味のもとになっているものは、原料となる乳とそれに加える微生物です。一般的には、牛乳はマイルドですがヤギ乳や羊の乳は匂いが強く、また乳酸菌や白カビ熟成はマイルドで、青カビ熟成は風味が強くなります。

 

チーズ初心者の方には、牛乳が原料で、乳酸菌か白カビで熟成した風味が穏やかなタイプがお勧めです。チェダー、ゴーダ、カマンベールは食べる人を選ばないチーズですので、美味しくいただけるでしょう。

チェダーチーズゴーダチーズカマンベールチーズ

 

舌にピリッとくるような刺激を感じるブルーチーズも、機会があればぜひ試して欲しいところです。イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォール、イギリスのスティルトンは、日本では「3大ブルーチーズ」と言われています。

ゴルゴンゾーラロックフォールスティルトン

 

反対に、個性の強い風味のあるチーズを食べてみたい方でしたら、まずは熟成タイプのヤギ乳・羊乳チーズを、次はウォッシュタイプに挑戦してみてはいかがでしょうか。ポン・レヴェックやリヴァロ、エポワスなど、外皮の強い風味と中身のマイルドな味わいのコントラストをぜひ楽しんで欲しいと思います。

ポン・レヴェックリヴァロエポワス

 

チーズ初心者はどこでチーズを買うべきか?

現在の日本は、チーズがかなり手に入りやすくなってきました。スーパーマーケットやデパ地下だけでなく、専門店も増えています。専門店は、実店舗のほかにネットショップもあり、チーズ初心者が商品を選びやすいような解説が充実しているのが特徴です。

 

ワイン初心者の方が安心してチーズが選べるのは、気になるチーズを試食できて、且つ必要な分を量り売りしてくれるようなお店です。そういった専門店には、専門知識が豊富な販売員もいるので、色々と質問しながら納得したチーズ選びができます。

 

最近は「チーズ王国」という専門店チェーンが店舗数を増やしていますので、お近くの店舗を検索してみても良いでしょう。なお、ネット通販部門もありますので、店舗に出向くことが出来ない場合はネットショップを覗いてみてはいかがでしょうか。

※チーズ王国:http://www.cheese-oukoku.co.jp/

 

チーズの品質に与えられたお墨付き、認証マーク

チーズ王国フランスには、「AOC」と呼ばれる品質保証制度があります。1995年にスタートしたAOCは「原産地呼称統制」の略称で、ワインやチーズなどの酪農製品が対象です。フランス原産地呼称委員会が定める非常に厳しい条件を満たしたものだけに与えられ、500種類を超えるといわれているフランス産チーズのうち2016年現在で43種類あります。

 

2008年からは、EU共通の品質保証制度として「AOP」が発足しました。AOCラベルのフランスチーズも今後はAOPラベルに統合されることになりました。その一方で、EUでは食品の品質と産地の地理的特徴とが一致していることを示す「PDO」や「PGI」といった品質保証制度も設けました。

 

現在流通しているチーズのうち、フランス産のものではAOCもしくはAOP、それ以外のEUチーズではPDO、PGI、EU非加盟のスイスチーズはスイス独自のAOCラベルが、高品質チーズを選ぶ目印となります。消費者にとっては少し分かりづらいですが、チーズを選ぶ際には、ラベルにも注目して欲しいと思います。

 

ラベルが読めると、チーズ選びはもっとはかどる

店頭で見かけるチーズのほとんどは、切り分けられた上で個別包装されていると思います。それぞれのチーズにはラベルが貼られているのをご存知でしょうか?このラベルに書かれているのは、チーズを選ぶ上で大切な情報ですので、知識としてぜひ身につけておきたいところです。

 

ラベルから読み取ることが出来る情報は、

①チーズの重量

②脂肪分の割合

③使用した乳が無殺菌乳か殺菌乳か

④AOC、AOPなどの認定を受けているかどうか

など数多くあります。関連するフランス語の単語が分かるようになると、ラベルを見ながらのチーズ選びが捗り、楽しみも倍増するでしょう。

 

チーズを家庭で美味しく保存するなら、ラップして野菜室へ

ナチュラルチーズの中には、生きた乳酸菌などの微生物がおり、時間とともに熟成が進み、味や匂いは変化し続けています。そんなチーズを購入したら、美味しさをキープするためにも正しい保存法を学んで実践して欲しいと思います。これさえ身に付ければ、ヨーロッパ人並にチーズを使いこなすことができるようになります。

 

チーズは野菜室へ

チーズを保存する際に最も避けなければならないのは、直射日光と高温です。温度が高くなると、チーズ内部の乳酸菌の活動が活発になり、熟成が進みすぎてしまいます。冷蔵庫の野菜室は、つねに温度が5〜10℃に保たれ、また直射日光も当たらないことから、チーズをゆっくり熟成させながら楽しむのに向いています。

 

日本の冷蔵庫は非常に高機能で、一部の野菜室では、野菜に特殊なLEDライトを照射し、光合成を促す機能がついているものがあるため注意して下さい。野菜にとっては役立つ光も、チーズにとっては乳酸菌にダメージを与える害ある光となってしまうため、ご自宅の冷蔵庫の機能をチェックしてからご利用ください。

 

チーズの乾燥対策はタイプ別に工夫を

乾燥はチーズの大敵です。食べ残したチーズなどを冷蔵庫で保存する際は、しっかりラップをしてから密閉容器に入れるのがルールです。ほとんどのチーズはこのやり方で問題ありませんが、例外はカマンベールなどの軟質チーズです。

 

軟質チーズに直接ラップをかけると、水分が生じてそこからカビが生える危険性がでてきます。そこで、保存中にはこまめにチェックし、水分が出てきていたらキッチンペーパーなどで取り除き、表面も拭き取った上で清潔なラップをかけ直して下さい。

 

また、カッテージチーズなど、乳酸菌のみで熟成させた軟質チーズはむしろ、やや乾燥気味の環境で保存した方がよいとされています。余分な水分はしっかりとキッチンペーパーで吸い取ったうえで、なるべく早く食べ切りましょう。

 

他の食品からの匂い移りに注意

チーズを冷蔵庫内で保存する場合は、匂い移りに要注意です。チーズの主成分は「カゼイン」というたんぱく質の一種ですが、周囲の様々な成分を吸着する性質を持っています。例えば漬け物や納豆など、匂いの強い食品からは離した上で、密閉容器に入れて保存して下さい。

 

冷凍していいのはハード、セミハードだけ

基本的には、チーズの冷凍は避けた方が無難です。特に軟質チーズは水分が多いため、凍らせる際にたんぱく質が壊れ、解凍すると食感がパサパサに変化してしまいます。

 

セミハードチーズやハードチーズの場合は、水分含有量が少ないため、小分けして冷凍することができます。冷凍することにより、乳酸菌の働きを抑え、熟成のスピードを遅くすることができるという利点もありますが、長期間にわたる冷凍保存は出来ません。解凍する際も、冷蔵庫に移して自然解凍し、組織の破壊をなるべく避けてください。

 

ちょっとしたコツをつかめば、ご家庭の冷蔵庫でチーズを保存することは簡単です。またもし、表面にカビを発見しても諦めないで下さい。お餅にカビが生えた時と同じように、その部分をナイフで取り除けば、残りの部分はまだ食べられます。乾燥して硬くなってしまったものも、すりおろしてサラダのトッピングにしてしまいましょう。

 

チーズとワインを合わせるための5か条

ワインと食事との調和を、フランスでは「マリアージュ」と呼んでいます。中でもチーズは、「ワインの最良の友」であり、「運命の相手」とされています。チーズも様々な味わいや風味のものがありますが、ワインにも多くの種類があります。チーズとワインの相性には5つの原則があり、知っているとチーズ選びがぐっとスムーズになるはずです。

 

酸味の強いチーズには酸味のあるワイン

シェーブルなど酸味のあるチーズに合うのは、やはり酸味が感じられるワインです。あまり熟成させていないシェーブルは酸味が強いため、ソーヴィニヨン・ブランなど辛口の白ワインやロゼワインがお勧めです。また、やや熟成が進み酸味がマイルドになったものには、赤ワインの中でもフルーティなタイプを合わせると美味しくいただけるでしょう。

 

塩味の強いチーズには甘口ワイン

ブルーチーズなど塩味が強いチーズと相性が良いのは、甘口でコクのある白ワインやポートワインだと言われています。極甘口の白と言えば、貴腐ワインです。糖度が高い干しぶどうのような状態の貴腐ぶどうから作られるワインで、フランスのソーテルヌやドイツのアウスレーゼなどが有名です。この組み合わせは最高のデザートとなるでしょう。

 

脂肪分高めのチーズにはタンニン系赤ワイン

乳脂肪分が60%を超えるような、クリーミーで濃厚なチーズに合うのは、渋みのある赤ワインやコクのある白ワインです。特にタンニンがしっかりしたフルボディの赤ワインと一緒にいただくことにより、口の中に残るチーズの脂肪分をスッキリとさせる効果があります。

 

ワインの香りを打ち消さないチーズを選ぶ

ワインとチーズが持つ、香りの系統を揃えることがポイントになります。例えば匂いの強いチーズには、個性が強く香りもしっかりしたワインが合いますし、スパイシーなチーズには、スパイスが感じられる香りのワインが良いでしょう。例えばナッツの風味があるハード系チーズと合うのは、熟成し、樽香のあるシャルドネワインだと言えます。

 

また、「グランヴァン」と呼ばれる、銘醸ワインはデリケートな香りをまとっています。こういったワインと合わせるチーズを選ぶ際は、個性的な風味があり、主張が強すぎるチーズは避けましょう。

 

原産地が近いものを組み合わせよう

本場フランスでは、チーズとワインは同じ原産地のものか、より近い地方を原産とするものを合わせていただくのが原則です。やはり、口の中で一緒に味わうことになる訳ですから、原産地に注目して選べばまずハズレはないと言っても過言ではありません。

 

銘醸ワインをより美味しくいただくために製造されたチーズもあります。「ブルゴーニュの王」と呼ばれ、ナポレオンが愛したことでも知られるシャンベルタンワインは、フルボディの赤ワインです。このワインと組み合わせるために生まれたのが、「ラミ・デュ・シャンベルタン(シャンベルタンの友)」という名のウォッシュタイプのチーズです。

ラミ・デュ・シャンベルタン

 

また、辛口白ワインの代名詞とも呼ばれるシャブリとともに味わうために、アフィネ・オ・シャブリというウォッシュタイプのチーズが作られました。

アフィネ・オ・シャブリ

 

このような原則を知っておくことは、チーズ選びの際に非常に役立ちますが、やはり感性で選ぶことを忘れないでいただきたいと思います。色々な組み合わせを試しながら、自分の好みを知り、その好みに合ったマリアージュを見つけてください。

 

また鉄板と思われた組み合わせも、時代とともに変化していきます。かつてはチーズと言えば、赤ワインと合わせるのが常識と捉えられていました。昔から、レストランでは、メインディッシュの後はチーズと決まっていました。従って、メインとして一般的な肉料理に合わせた赤ワインの残りとチーズとの組み合わせが多くなったのです。

 

しかし、チーズ・赤ワインの常識も変化しており、これからはより多様なマリアージュが生まれるでしょう。

 

チーズと相性の良いお酒は、ワイン以外にも世界中にもっとある

フランスを始めとしたヨーロッパ諸国で花開いたチーズ文化ですが、人や情報の行き来がよりグローバルになった現代において、新たな局面を迎えています。フランスやイタリアなどの国々は、食事の時にはワインをいただく習慣がありましたが、実は、そうではない国の方がはるかに多いのです。

 

世界の食卓で、日々最も飲まれているのはビールです。日本も、一般家庭の夕食のテーブルには、ワインではなくてビールの方が登場機会が多いのではないでしょうか。チーズとワインの相性の法則から考えると、ビールの生産が多い国では、産地が近いビールとチーズの相性の方が良いということになります。

 

ビールはワインほど香りや風味のバリエーションが多くないので、ビールの色味を基準に考えると分かりやすいでしょう。淡色のピルスナータイプはホップの香味が効いており、爽快な飲み口ですが、マイルドな風味のチーズやスパイシーなチーズがよく合います。スタウトに代表される濃色のビールには、脂肪分が高くて濃厚な味わいのチーズが良いでしょう。

 

蒸留酒に合うチーズはどのようなタイプでしょうか?蒸留酒には、アルコール度数が高いウイスキーやブランデー、ジンやウォッカなどがありますが、相性の良いチーズはしっかり熟成させたものだとされています。

 

近年チーズ文化の広がりが見られる日本ですが、日本酒とチーズのマリアージュというのは、これまであまり考えられたことはありませんでした。

 

しかし、日本酒は、日本各地で風土を生かした生産が行われており、その種類が数多い点、そして、味わいも甘口から辛口まで多様で、フルーティなものから米の旨味やコクが感じられるものまでバリエーションが豊かな点はワインとの共通点であると言えます。

 

従って、チーズと日本酒のマリアージュの可能性は大きく、これからが楽しみな分野です。2015年のミラノ万博でも、日本酒試飲イベントを開催し、新しい日本酒の楽しみ方を紹介しています。日本酒とイタリア食材のマリアージュとして、キャビア、チョコレート、生ハムなどと共にチーズも、今までになかった組み合わせとしてお披露目されました。

 

チーズの運命の相手は、ワインのみにあらず。これからの展開が非常に楽しみであり、チーズ文化の更なる広がりに期待が膨らみます。

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