食品添加物の全てが悪ではない!
食品を買うときの基準として、「食品添加物が入っていないこと」を大切にする人が増えてきています。しかし、そもそも食品添加物とはどういうものなのかと問われると、答えられない人も多いのではないでしょうか。それをきちんと知ると、食品添加物をむやみに怖がらなくてもよいことに気付きます。食品添加物について詳しく見ていきましょう。
人工的なものばかりが食品添加物ではない
食品のパッケージには、原材料がきちんと表示されています。その中に食品添加物が入っていなければ安心して買うという人は少なくありません。でもこの「食品添加物」とはいったい何なのでしょうか。
食品添加物は、食品衛生法の中で定義づけられています。それによると、食品添加物は「食品の製造過程または食品の加工や保存の目的で、食品に添加、混和などの方法によって使用するもの」とされています。
食品添加物というと「赤色〇号」といったものを想像する人も多いでしょう。しかし、梅干しに赤い色を付けるための赤ジソも立派な食品添加物です。豆腐を固めるにはにがりが必要ですが、これも食品添加物の一つです。
「天然のものも食品添加物になるの?」と驚かれる方もいるでしょう。そうなのです。食品の加工や保存をするときには、色を付ける、風味をよくする、香りをつけるなどの目的でいろいろなものを使用しますが、それらの全てが食品添加物というわけです。
食品パッケージの表示をよく見てみてください。ビタミン類、アミノ酸などの表記があります。それらは食品添加物の一種ですが、食材自体の成分としてよく含まれているものです。お菓子やアイスクリームに甘い香りをつけるバニラも天然の香料ですが、これもやはり食品添加物です。人工的に作られたものだけが食品添加物であるというわけではないのです。
食品添加物の種類は?表示についての決まりは?
食品添加物は、内閣府の食品安全委員会によって、食品安全基本法に基づいた安全性の評価がなされています。厚生労働省はその評価を受けて、食品添加物の安全性を管理しています。
また、日本において使うことが認められている食品添加物は4種類に分類されています。その4種類とは、
・指定添加物
・既存添加物
・天然香料
・一般飲食物添加物
になります。
「指定添加物」は、厚生労働大臣が食品衛生法に基づいて定めたものであり、448品目あります。長年使用されてきて実績も認められている「既存添加物」は365品目、動物や植物由来の天然の物質であり食品に香りをつけるために用いられる「天然香料」は612品目あります(平成27年7月29日現在)。
また、一般的に飲食物として用いられているが添加物としても使われるものを「一般飲食物添加物」と呼び、およそ100品目あります(平成27年5月19日現在)。これら食品添加物のほとんどが天然由来のものとなります。
さて、食品に添加物を使用する場合は、どんなに少ない量であっても、使用している添加物の名前と用途の目的をきちんと明記することになっています。例えば「甘味料(サッカリンNa)」のように表示されます。
また、多くの人によく知られている食品添加物については、正式名称を表示する代わりに簡略化した名称や類別の名称を表記しても良いとされているものもあります。例を挙げると正式名称「L-アスコルビン酸ナトリウム」は「ビタミンC」と記載しても良いことになっています。
さらに、物質名を表記する代わりに種類を表す「一括名」を書いても良いものもあります。例えば、「クエン酸」は物質名ですが「酸味料」と表記しても良いことになっていますし、「カフェイン」と表記する代わりに「苦味料」としても良いことになっています。
「食品添加物イコール有害」は間違い
「食品添加物は有害である」とする意見も多くありますが、それらはたいてい、普通に食事をしていたら摂れるはずのない大量の食品添加物を摂取した場合、体に有害になるという主張です。
国際的には、国連の食糧農業機関と世界保健機関が合同で食品添加物専門家会議(通称JECFA)を設け、食品添加物の安全性評価をしています。その上日本では、JECFAにおいて無害だとされた量についてリスク評価をしており、無害と言われた量の1パーセント量を毎日食べても安全な量だとしています。さらにリスク管理として、実際は1パーセント量よりも下回るように、食品衛生法などで食品添加物の使い方を細かく規定しています。
天然由来のものではない人工的に作られた食品添加物の場合でも、日本人が1日で口にする加工食品の中には、約0.1gしか含まれていません。しかもそれらの添加物も、科学的に裏付けされたリスク評価、リスク管理を経て使われたものです。つまり、食品添加物が、即、有害であるというイメージは間違っていると言えるでしょう。
食品添加物が良いと結論付けるつもりは毛頭ありませんが、世の中全体的な傾向・風潮として偏った認識になっているではないかと感じます。
無添加に騙されず食品を正しく選ぶ目を養おう!
「食品添加物は体に悪そうだから、避けておくのが無難」と考える人は多いかもしれませんが、深く考えずに「無添加」という言葉につられて食品を選んでいないでしょうか。
「無添加」という言葉は本来、その食品の原材料の産地から始まって、最終的な加工品としての形に完成するまで、どの過程においても添加していないという意味です。もちろん、「不使用」も「無添加調理」も同様です。
しかし、表記の仕方はメーカー側に任されているため、安易に「無添加」「不使用」などの言葉で選ぶことはできません。つまり、「食品添加物」について直感的に懸念感が出るのであれば、「無添加」についてもスルーせず懸念感を抱くのが無難なわけです。
大事なのは、私たち消費者がしっかりと食品添加物や無添加についての理解を深め、安全な食品を正しく選ぶ目を持つことです。
食品のパッケージやCMでは、食べ物が与える私たちの体への影響を誇張して伝えたり、それを多くの人が鵜呑みにしたりすることが結構あります。そのような波には乗らず、自分自身の鑑識眼を磨いて、賢く商品を選ぶようにすることが重要と言えるでしょう。
更新日:2019/11/29|公開日:2016/11/29|タグ:食品添加物