日常生活で子供に手先を使わせる工夫
手先を上手に使えるということは、脳を活発に働かせることができるということです(→参考:手先が器用な子供は脳が発達している!)。子供にはぜひ、手先を器用に動かせるようになってほしいものですね。そのためにはどのようなことをすればよいのか、具体的にお話していきましょう。
0歳の頃から手先を使う練習を
子供が手先を器用に使って微細な動きができるようになるには、練習させるよりほかはありません。つまり、手先を使うような動作をたくさんさせることです。まだ赤ちゃんだから…と言っていたら、時期を逃すかもしれません。そう、0歳でもできることはたくさんあるのです。0歳児から幼稚園児のころにおすすめの、手先を使う練習をご紹介します。
「にぎにぎ」や「ガラガラ」で遊ばせる
ごく幼い赤ちゃんの玩具に、握って遊ぶ「にぎにぎ」や、振ると音が鳴る「ガラガラ」がありますね。これはとてもおすすめです。
生まれて間もない赤ちゃんの原始反射の一つに、手のひらに触れたものを握るというものがあります。この反射が見られる生後4か月くらいまでの赤ちゃんは、「にぎにぎ」や「ガラガラ」を無意識のうちに握りますから、それを繰り返させて、握力をつかせていくとよいでしょう。
食事の際には道具を使わせる
離乳食を始めたばかりの頃は、お母さんがスプーンで食べさせてあげることでしょう。しかしいつまでもこれではいけません。確かに、親が食べさせた方がずっと早いですし、衣服や食卓を汚すこともないでしょう。しかし、ずっとそうしていたら子供が手を使う機会を奪ってしまいます。
頃合いを見て、どんどん子供にもスプーンを握らせたり、コップを持たせたりしましょう。初めてなのですから、失敗して当たり前。手先を使う練習なのだと思えば、「なぜ上手にできないの?」とイラつくことも少なくなるでしょう。食事は毎日の事ですから、継続して手を使う練習ができる、いいチャンスだと言えるのです。
ボール遊びをさせる
赤ちゃんはボール遊びも大好きですね。これも手や指を使ういい遊びです。手全体を使って握る動作はもちろん、指先だけでつまむ動作もさせたいものです。
ごく小さいうちは握ったり投げつけたりするだけでしょうが、成長するにしたがって、なにかを狙って当てるという遊びもできるようになります。これも、手の力や動かし方を調整するよい練習になりますのでおすすめです。
頭と手を使って遊ぶおもちゃを使う
赤ちゃんの玩具には、手や指と同時に、頭も使って遊ぶおもちゃがたくさんあります。積み木もそうですし、ブロックやパズルもそうです。これらは、その子の発達の度合いに応じて、ぜひ使わせたい玩具です。
指相撲をする
昔からある遊びですね。これも指をよく動かすことができて、しかもコントロールが必要です。親子で楽しく遊びながら、手先を器用に動かす練習をしましょう。
お手伝いをする
お手伝いの中には、絹さやの筋をとるお手伝いや、さやからそら豆を取り出すお手伝いなど、手や指先を使うものがたくさんあります。家のお仕事にどんどん参加してもらいましょう。
身の回りのことを自分でさせてみる
日常生活の中で、手や指を使う機会は数多くあります。ところが、子供がやると時間がかかるため、つい親がやってしまいがちなことも多いのです。
例えば、洋服のボタンかけや靴をはくことなどは、急いでいるとつい大人がやってしまいがちですね。もちろん、お手本を見せるのは大切なのですが、ぜひ子供にやらせてみてください。大事な練習の場になります。ペットボトルの蓋の開け閉めや雑巾絞りなども、発達に応じてやらせてみてはいかがでしょうか。
腕の力を鍛える遊びも取り入れる
最近は、転んだ拍子に手を出せず、顔面から地面にぶつかってしまう子供が多いそうです。手先を使う練習と同時に、腕を動かす練習も、日常生活でやっておきましょう。例えば、はいはいができる赤ちゃんであれば、ただ床を這わせるだけでなく、親の体を障害物にして、這い上がったり下りたりする動きもさせてみるのです。
また、幼児になれば、公園や幼稚園でうんていや鉄棒に触れることもあるでしょう。そういったもので遊ぶのも、腕を鍛えることになります。
小学校に上がるまえでも、手指を使ってやれることはたくさんあります。この頃にたくさんやっておくことで、小学校にあがってからの複雑な動きにも対応できるようになるのです。
小学生の周りにも手先を使う機会はいっぱい!
小学校に上がるころになったら、さらに複雑な指の動きを必要とする作業にも取り組ませたいものです。いくつか例をあげましょう。
字を書いたり絵を描いたりする
小学生になると、鉛筆を使って文字を書く練習が本格的に始まります。これは、手先を器用にするためにとても良い練習です。
その上、文章を考えながら、習ったひらがなやカタカナ、そして漢字を思い出て適宜使い、かつ、マスからはみ出ないように書いていく作業は、手先だけでなく脳もフルに使うことになりますので、非常に良いことなのです。もちろん、絵を描くことも同じです。
昔のようにカッターや小刀で鉛筆を削る機会はないでしょうけれど、せめて字を書いたり絵を描いたりする作業はたくさんさせたいものです。
今はコンピューターで文章も書けますし、絵も描けます。コンピューターならキー操作だけで事足ります。しかし、だからこそ大人は子供に、自分の手で字を書いたり絵を描いたりする機会を、意識して与えてほしいのです。もちろん、カッターやはさみ、のこぎりなどを使う工作もさせたいものです。
日常生活でいろいろなことをやらせてみる
幼児の時よりもさらに、やれることが増えています。手の力が強くなってきていますから、瓶のふたの開け閉めもできるでしょう。
お手伝いも、難しいものにチャレンジできるようになります。洗濯物干しや洗濯物たたみは、より細かな動きが必要になりますし、頭も使うでしょう。洗濯ばさみを使うのも、指先の力が鍛えられるのでおすすめです。
どんなことも、まずは親がお手本を見せて、それを見てからやらせるのがよいでしょう。お手本を見ているときは、脳が活発に働いています。さらに、上手にできたら大いに褒めてあげてください。「ほめられてうれしい!」という感情が脳を刺激し、より活性化するのです。
子供の頃に、器用に手や指を使えるようになっていれば、大人になってからも変わらず、器用でいられます。逆に、子供のうちにこういったことをしていなかったら、大人になってもやはり不器用さは残るのです。
人間は、どの他の動物よりも手先を器用に動かせるようにできているのです。その恵みを無駄にせず、どんどん使っていきましょう。
更新日:2019/11/29|公開日:2016/08/13|タグ:手先